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圧倒的な不利

あけましておめでとうございます。これからも応援、よろしくお願いします。

ハーツが手を振りかざすと大量の針が僕の進行先に展開された。向かってくる僕をそのまま針だらけにしようという魂胆だろう。


「それくらい読んでいたよ。五の塵──豪剣連斬」

五連斬で自分の身体の大きさ分だけ斬り伏せて通り、残りでハーツに斬りかかった。それは予想外の動きであったのだろう。判断が鈍ったハーツは僕の斬撃を避け切ることが出来なかった。


(入った!けど、やはり傷が浅い……)

魔獣の亡骸は硬く剣が入りづらい。その上、装甲として何十も重なっているからハーツに与えられるダメージは少ない。

まずは亡骸を剥がなければならないが、あれは吸収してハーツの身体から生えているように見える。死骸の部分だけを切除しようにも彼が大きな損傷を負ってしまうことは免れない。


「『魔獣強化』」

防御が強い以上に厄介なのが、魔獣だ。皆んなが魔獣を狩り切れるという所でハーツは更に追加、強化してくる。アルガレム達の暴衝打ちならばハーツの装甲を破る事が出来ると思うが、彼らは危険に陥っている他の生徒を救出している。


──力の差、数の差が圧倒的な不利を生み出している。


「『針山』」


「一の閃──雷轟、五の塵──豪剣連斬」

前面を埋め尽くす程の針を右に大きく避けてハーツに迫ろうとすると──


「はは、掛かったな」


地面から図太い針と共に泥の塊なようなものが噴き出してきた。


(この泥はまずい)

吹き出してきた泥はハーツが使っていた『爆裂』付与『泥岩』付与『雷電』の爆発の後に出てきた電流が拡散する泥の塊にしか見えない。このままでは電流で行動を制限されて、針が当たってしまう。


「よっと」

「ぐふっ」


泥の塊に当たる瞬間、横から大きな衝撃が発生して横に吹き飛んだ。


「大丈夫か、トロム」


「うん、大丈夫だけど。もっと丁寧に助けてほしかったな」

クロエが横から飛び蹴りをしてくれたお陰で僕は針に貫かれなくて済んだ。が、蹴らなくても方法はあったと思う……。


「悪い、咄嗟に出たのが足だった」


「まあ、ありがとう。危ない所だった」


クロエが剣を直して戻ってきた。単純に攻撃の手が増えるのは良いが、クロエも速さ重視の戦い方だ。それではハーツを倒せない。


「クロエ、どうしよう。攻撃が通らない」


「ああ、見るからにあの胴は硬い。けど、顔では纏っていない」


「いや、いくらハーツでも顔を攻撃するのは……」


「思い切りが足りないな。もうアイツは完全に敵だ。このまま倒せなければ多くの者が死ぬ。それを防ぐには殺す気で止めなければいけない」

クロエの言っていることは確かだ。反論はないが、半ば自分のせいで狂ってしまった彼を殺す決断はそう易々と下せなかった。


「まあいい。トロムも言っていただろう、攻撃してみないと分からないと。なら、考えなしに突っ込むしかない」


「いつまで話している。多少は待ってやろうと思っていたが遅すぎる。『爆裂』」

何故かずっと攻撃してこないと思っていたらそういう事だったのか。舐められているが、今はそれが良い。


「なら一つ、考えがある」


「何だ?」


僕らは連続して発生する爆発を避けながら話を続ける。


「僕がオワリノ型で突っ込む。ただ、打ったらしばらく僕は動けなくなってしまうから何とかして助けてほしい」

オワリノ塵──大嶽穿。全ての力を一撃に込める剣技は塵山流には一つしかない。しかし、オワリノ型は四の型が切れてしまい、今の僕の身体では全力で打つと反動で動けなくなってしまう。

今出来る範囲でハーツの守りを突破するにはそれしかないから、多少のリスクは負ってでもするべきだと判断した。


「いいよ、分かった。しっかり守り切るから派手にやって」


「決まりだ。まずはしっかり決めるために隙をつくりたい」


「了解。裏・三の塵──秋霖斬り」

クロエはすぐさま二つの短剣を抜いて飛び出していった。


「一の閃──雷轟、三の塵──五月雨斬り」

ハーツの剣に攻撃を加えると地面から多量の針が飛んでくる。背面に回り込んで斬りかかると爆裂で阻止してくる。


(ハーツの攻撃で守りの性能が高いのは爆裂と針山。後者は豪剣連斬で何とかなるにしても爆裂か。発動が少し遅いから、そこを突くしかないか)


「『身体強化V』」

更に肉体と魂の一致の寸前まで行う。少しでも加減を間違えたら暴走してしまいそうだ。


「何度も何度もチクチクとウザったい。『縛緑』」

ハーツの手から緑色の輪が射出された。


「クロエ、それに当たっちゃダメだ」


「大丈夫。裏・一の塵──十ニ斬り」

正面から飛んでくる緑の輪をクロエは何もなかったかのように斬り伏せた。


「ちっ、植物が少ない。効果はないか」


「三の塵──五月雨斬りッ」

何やら落胆しているハーツの背から斬りかかると彼はギョロリと振り返り右手を突き出してきた。その手は僕の首を掴み、握りしめた。


「いい加減飽きた。もう終わりにしよう」

地面から浮かされて首を絞め付けられている。あの日にもこんな事があった。こんな単純な首絞めに皆んながやられた。


「トロムを離せ」

「……クッ」

上空から降ってきたクロエは勢いを乗せた斬撃を放ち、ハーツの腕を斬り落とした。それによって僕は自由になって──


「今しかないッ!オワリノ塵──大嶽穿」

地面に降り立った僕は身体中に漲る全ての力を剣に乗せて、最大の一撃をハーツの胴に叩き込んだ。


「がああアアア、ぐうッッ」


「ハアアアアアッ。ハアッ」

僕の最大の振り下ろしはハーツの胴を斬り裂いた。死骸の装甲を抜いた。


全ての力を出し切った僕は膝を折りながらハーツに視線を飛ばすと。


──彼の胴には僕が刻んだ傷の奥に更に深い傷が開いていた。

奥の傷は何だったのか……。

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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