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クロエと実力

『フィオナ選手もやって参りました。さあ、Bブロック第三試合目を開始いたします。フィオナ選手は五歳の頃に魔女の呪いを受けて透明になってしまった可哀想な少女。当大会でその彼女の前に現れたのが王子様。その王子様が魔法を使用すると彼女の呪いはさよならバイバイ。見える様にしてもらった彼女はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか』


(何なんだこの実況は……。僕が王子様になっているじゃないか)

横からロニエが「王子様ですって」とツンツンと肘で脇腹を突いてくる。面白がっている様だ。


『対するサコン選手はAブロック第一試合のアルガレム選手の双子の弟。力の兄に対してスピードの弟、その実力は学院内では知らない人はいないほどです。兄が見せた様な迫力ある試合を弟は超えていけるのでしょうか。それではスタートです』

進行が終わり、開幕の鐘が鳴り響く。それと同時に両者の姿が消えた。いや、目にも止まらぬ速さで動き出した。


「どうなりますかね、クロエちゃんは」

本人から許可はもらっていたからロニエにもフィオナ、クロエについて話した。驚くと思っていたが割とすんなりと受け入れてくれたからこうして普通に試合を見れている。受け入れてくれなければ、延々と説明をしなければならなかったところだ。


「クロエの実力は分からないけど、陣地取りで僕に悟らせないほど気配を消せていた。こういった試合では気配消しが有効に使える場面は少ないからどうなるか、だね」


僕は肉体と魂の結び付きを目に限定して彼女らの動きを追う。


クロエの得物は短剣で塵山流。動きからするに素早い動きに絡めて使い、相手を翻弄しながら確実に防御を崩して行く戦法の様だ。

サコンの得物は身体に似合わず大剣で虎翼流。力強さに重きを置いた流派を自分なりに改良して持ち前の素早さを発揮させている様だ。


解説の通り、互いに速さを重視した戦法。いかに相手を出し抜けるかが今回の鍵になりそうだ。


「二の翼──真空斬、三連」

本来、強力な横薙ぎ払いの剣技が、ヌメヌメとした動きでクロエに襲いかかる。


「一の塵──六切り」

一発受け止めて剣の腹を叩いて落とす、一発受け止めて叩き落とす、と確実に防いだクロエは剣を振り込んだそのまま勢いで後ろ回し蹴りを繰り出した。

その蹴りは寸前の所で受け止められて投げ飛ばされた。


「やっぱり服が邪魔だな。脱ぎたい」

クロエが何やらまずい事を言っている。しかし僕は観客席。彼女を止めることが出来ない。


「まあ、いいや。さっさと四の型を使うとするか」

そう言うと何処からか握っているのと同じ様な短剣を取り出して構えた。当然、その隙をサコンは逃すはずがない。


「三の翼──暴衝打ち、五連」

クロエを取り囲む様にして衝撃波を放ったが、悪手であった。当然、一撃一撃に集中して放っているのだがら多少は疲れる。それは呼吸が乱れるにしろ集中力の欠落にしろ何らかの形で現れる。サコンの場合は集中力の欠落だった。


暴衝打ちを放ち終わった後、サコンはクロエから意識を外してしまった。その一瞬の隙を感じ取ってクロエは気配を消し、サコンの視界、意識から完全に逃れた。


「裏・三の塵──性質変化・速」

元々速かった速度が更に上がり、僕の視界からも姿を消した。


──裏・塵山流。それは速きに重きを置いた塵山流が四の型で重さを加えたのに反発して創られた流派。塵山流の二刀流版である裏・塵山流はとにかく速い事が良しとされる。

しかし、要求される速度は高く、速さに才能がないものには使いこなす事が出来ない。使いこなす事が出来れば、使用者本来の速さを超えた強力な剣技となる。


クロエはそれを使いこなせている。感じ取れるのは微かな気配だけで視認出来ない。


「裏・五の塵──千刃連斬」

クロエを完全に見失ったサコンは周囲に警戒している。が、彼は気付いていない、もう既に己が斬られた後であると。


「二の翼──真空……」

クロエがその姿を見えた時、サコンはクロエに斬りかかった。しかし、ボロボロに傷つけられたその身体では虎翼流に耐えられなかった。

細身な身体が意識という支えを失い、正面に倒れ込んだ。


『……っは。勝者フィオナ選手。正直、彼女達の戦いは私達には見えなかった!?力の勝負とは正反対の視認を超えたスピードで勝負が決まったこの戦い。それを繰り広げた両名に盛大な拍手をお願いします』


観客の反応は困惑している様だったが、自分達が到底知り得ない領域で戦ったクロエ達に盛大な拍手を送った。

見えていた僕や各学院長ら、そして一部の生徒はクロエに向かって拍手を送り続けた。


──他の者が見えなかっただけで、この試合は殆どクロエの独擅場であったのだから。


さっさと観客席に戻ってきたクロエは僕らの方に寄って来た。


「お疲れ様。勝利、おめでとう」


「ん、ありがとう。それよりも話の続きをしよう。早く話したくてウズウズしていたんだ」

クロエは試合の結果なんてどうだって良い様子であった。むしろ、あの戦いの最中もずっと話したいと思っていた様に見える。


もしそうであるならば、クロエは相当、いやとてつもなく強い。


僕の前に新たな好敵手が現れたかもしれないこの学院対抗戦の出会いに僕は感謝した。

イティラが戦闘狂に染まって行く。

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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