↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロノス・ギア〜故郷を焼かれた俺は、魔獣の時間を喰らって強くなる。ただし、喰らうほど人間ではなくなっていく〜  作者: 錆びた歯車


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/14

絶望の底、目覚める刻の番人:【3】灰の記憶、消えない誓い

淡い青光りに照らされた登り通路を、二人はゆっくりと歩き出した。


壁面に走る結晶の脈動が、まるで遺跡そのものの心臓のように、鈍く明滅を繰り返している。


足元に敷き詰められた結晶質の床は、一歩ごとに硬質な音を鳴らし、

その響きは狭い通路の奥へと吸い込まれるように消えていった。


錆びた鉄パイプを杖代わりに引きずるアレンの足取りは重く、

隣を歩くルカの木の杖の音も、いつもよりずっと弱々しかった。


地上での戦いで負った傷が、歩みを進めるたびにじくじくと疼く。

だが、その痛みよりもずっと重く、二人の胸の奥にのしかかっているものがあった。


しばらく、どちらも口を開かなかった。


聞こえるのは、二人の呼吸と、足音と、遠くから響く得体の知れない駆動音だけ。


青白い光の帯が壁を這うたびに、ふと、燃え盛るエミールの村の光景がアレンの脳裏をよぎる。


赤く染まった空、崩れ落ちる家々、


そして――


自分たちを庇うように両手を広げた、じいさんの背中。


あの瞬間の熱と、爆風の匂いすら、まだ肌にこびりついているような気がした。


やがて、ルカがぽつりと呟いた。


「……じいさん、最後まで、僕たちのこと守ろうとしてくれたね」


その声は、震えを必死に押し殺しているのが分かるほど、かすれていた。


アレンは前を見たまま、小さく頷いた。


「あぁ。……あの人は、いつも歯車ばっかり見てたけど、俺たちのことちゃんと見ててくれたんだな。今更、分かったよ」


言葉にしてしまうと、喉の奥が締め付けられるように痛んだ。


もっと早く、ちゃんと伝えればよかった。


そんな後悔が、今更のように込み上げてくる。


ルカの瞳から、また涙が滲む。しかし、今度はそれを拭おうともせず、ただ静かに歩き続けた。


「村のみんなも……エミールも、もうどこにもない。分かってる。分かってるけど……まだ、信じられなくて」


声が、途中で小さく崩れる。


ルカは唇を噛み締め、それでも足を止めなかった。


「……いいんだ、ルカ。今は、無理に飲み込まなくていい」


アレンはそっとルカの背中に手を添えた。


地上での戦いで裂けた傷が、その僅かな動きだけで鈍く痛む。

だが、その痛みは、今は不思議と心地よくすら感じられた。生きている証のように。


「俺だって、まだ実感なんてない。何もかも、あっという間に奪われて……それでも、今できることは、前に進むことだけだから」


アレンは一度、拳を強く握りしめ、ルカは唇を噛み、涙を拭った。


「……うん。僕、ちゃんと歩くよ。アレンの隣で」


ふいに、アレンは足を止めた。ルカが不思議そうに振り返る。


「ルカ」


「……なに?」


「約束する。……村を、エミールを焼いた奴らに、絶対に落とし前をつけさせる。そして――お前のことは、俺が必ず守る。もう、誰も失わせない」


声は小さかったが、そこには、これまでのアレンにはなかった、静かで固い意志が滲んでいた。


ルカは一瞬目を見開き、それから、泣き笑いのような表情で頷いた。


「……うん。僕も誓うよ。アレンを、一人にはしない」


二人は再び足を踏み出す。


悲しみは消えない。


だが、それを抱えたまま前に進む強さと、消えることのない誓いだけは、確かにこの瞬間、二人の中に芽生えていた。



最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。


アレンと、ルカ、決意を新たに歩みだし、これからの目標をかみしめる。

今後の展開と、アレンの決意、ルカとの歩み。いろいろ思い浮かぶこともありますが、

ボリュームオーバーにならないように執筆していきます。

これから先書きたいシーンがいくつかあるので、自分自身楽しんでいきたいと思います。


お手数ですが、☆での率直な評価をいただけると、今後の執筆の参考になります。どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。