↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロノス・ギア〜故郷を焼かれた俺は、魔獣の時間を喰らって強くなる。ただし、喰らうほど人間ではなくなっていく〜  作者: 錆びた歯車


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/14

絶望の底、目覚める刻の番人:【2】 起動する刻の番人 イヴ

チカチカと不規則だった青い光が、次第に一定の周期を持つ波のような脈動へと変わっていく。


浮遊したデバイスは、アレンの目の前、ちょうど視線の高さで静止した。


すると、


デバイスの表面から何条もの緻密なレーザー光線が照射され、


光の粒子が宇宙の星々のように急速に集束し、一人の「少女」の姿を形作っていった。


それは、透き通るような銀色の髪をなびかせた、



----光のホログラムの少女だった。----



彼女の瞳には生身の人間が持つような揺らぎはなく、冷徹なそして無感情な美しさと、絶対的な理性が宿っている。


少女のホログラムは、ゆっくりと瞬きをすると、目の前にいるボロボロの少年二人を見つめ、抑揚のない無機質な声を響かせた。


『――システムチェック、完了。言語リソース、周辺言語に適合。バイオメトリクススキャンを開始します』


少女の瞳から放たれた薄いグリーンの光の膜が、二人の身体を瞬時に通り抜けた。


『対象の遺伝子情報を解析……』


二人はなにが起こっているか理解できず、立ち尽くしている。


『クロノ・ファクター保有率、98.7%』

『基準値をクリア』


『マスター権限の「登録」を実行します』


『……はじめまして、マスター・アレン。および、随行者ルカ』


その瞬間、その声は空間から消え、二人の脳内に直接響くようになった。


『私は、クロノス・ラビリンスが生んだ古代遺物《アーティファクト》、識別コード【イヴ】』


『これより、マスターの生存および目的達成のための永続的サポートを開始します』


『現在の状況を報告します』


驚く二人を無視して、無機質な声は続けて話す。


『ここは、地上からの垂直距離、約3,500メートル。超古代文明遺跡の【地下50階層】です。』


『この遺跡の構造は地上へと垂直に繋がっており、各階層を繋ぐ連絡通路を上がっていくことで、物理的に地上へと帰還することが可能です』


二人はその言葉を聞き、ハッと我に返る。


「地上へ戻れる……! じゃあ、今すぐ上へ戻ろう、アレン!」


ルカの瞳に、パッと希望の光が灯った。


しかし、イヴは表情を一つ変えず、淡々と冷酷な現実を付け足した。


『ただし。ここから地上の出口までの通路には、変異した凶悪な野生の魔獣たちが無数に巣食っています』


ルカは愕然とした表情を浮かべている。


「……だったら、ここに出てくる化け物を片っ端から倒して、強くなればいい」


アレンは痛む身体を引きずりながら、壁に手をついて、ゆっくりと、確実にその足で立ち上がった。


そして、床に転がっていた一本の、長さ一メートルほどの錆びた鉄の棒を拾い上げ、それを両手で固く握りしめた。


「ルカ。地上のあの四天王ガイルは、俺たちじゃ逆立ちしても勝てない化け物だった。じいさんは俺たちを逃がすために命を捨てたんだ」


「……このまま怯えてここで死ぬか、ここで化け物を倒して、レベルを上げて、ガイルをも超える力を手に入れて地上へ殴り込みをかけるか。答えは一つだろ」


無力さへの怒り。理不尽に全てを奪った魔族への激しい憎悪。


それらの感情が混ざり合い、アレンの胸の奥で、熱い「復讐の決意」へと生存の炎が昇華していく。


「強くなるんだ」


はっきりと、そして自分自身に刻み込むように、アレンは続けた。


「この遺跡の化け物どもを全部俺たちの経験値にして、レベルを上げて、あの四天王ガイルをこの手で絶対に叩き潰す。そのためなら、何百回だって戦ってやる・・・」


アレンは強く拳を握りしめたまま、ルカを見つめた。


「ルカ、俺と一緒に上に上がろう」


少年の剥き出しの強い感情の鼓動を、イヴは静かに検知していた。


『マスター・アレンの精神変容を確認。感情エネルギーの急上昇を感知しました』


『これより、当機のシステムとマスターの脳波のシンクロ率を向上。戦闘適合化プログラムを、フェーズ1からフェーズ2へと移行します』


イヴのホログラムが、アレンのすぐ傍へと滑るように移動した。


『マスター。あなたのその「復讐と逆襲」の決意をデータとして受領しました。私には、あなたのように怒ることはできません』


『しかし、あなたが地上の強者を打ち破り、その正義を成し遂げるため、この遺跡の全ての知識をもって、あなたをアシストすることを約束します』


イヴが細い指先を上層へと続く前方の通路に向けると、それまで閉ざされていた巨大な結晶質の隔壁が、ゴゴゴゴ……と重低音を立てて左右に開き始めた。


その先に広がっているのは、淡い青光りに照らされた、どこまでも続く未知の登り通路。


ルカは、アレンの横顔をじっと見つめていた。


彼の瞳にある炎は、地上のどんな絶望の火よりも熱く燃えていた。


ルカは深く息を吸い込み、涙を袖でゴシゴシと拭い去ると、杖を両手で強く握り直し、一歩、アレンの隣へと並んだ。


「……行くよ。アレンが突っ走るなら、今度こそ僕が後ろからしっかりサポートしてあげる。ここでレベルを上げて、あの化け物ガイルを一緒にぶっ飛ばそうじゃないか!」


臆病で泣き虫なルカは、今ここにはいない。


「 地上へ向けて、出発だ!」


手に持った杖を高らかに上げ、声高に叫んだ。


「あぁ、当たり前だろ! 頼むよ、ルカ!」


二人はお互いに視線を交わし、力強く頷き合った。


『これより、超古代文明遺跡《クロノス・ラビリンス》の逆侵攻を開始します。あなたのデータ解析を開始しましょう』


イヴの力強い声と共に、アレンとルカは


開かれた通路の奥へと、並んで足を踏み出した。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!


絶望の底に突き落とされたアレンとルカ。

しかし、超古代アーティファクト『イヴ』との出会いによって、二人の反撃の物語が幕を開けます。

ここからアレンたちは、どのように強くなっていくのか……?

楽しみにしていただけると嬉しいです。


お手数ですが、☆での率直な評価をいただけると、今後の執筆の参考になります。どうぞよろしくお願いいたします。


次回の更新もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。