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クロノス・ギア〜故郷を焼かれた俺は、魔獣の時間を喰らって強くなる。ただし、喰らうほど人間ではなくなっていく〜  作者: 錆びた歯車


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序章:崩壊の調べ :【3】 狂ったシンクロ、地獄の幕開け

アレンは再度、広場の方角へ向けて立ち上がりビシッと構えてみた。


「――くらえっ! 大爆発《エクスプロージョン》ッッ!!!」


アレンが木の杖を突き向けた、まさにその一瞬だった。


――カァッ!!!


一瞬、世界が白夜のように反転する。


アレンの叫び声の残響を完全に掻き消して、その視界にあるすべてが、無慈悲な暴威によって跡形もなく吹き飛ばされた。


アレンが狙いを定めた、まさにその村の中央広場が、突如として眩い『極大の炎球』に包まれ――

次の瞬間、天を衝くほどの凄まじい大爆発を起こしたのだ。


――ドズゥゥゥゥンッッッッ!!!!


地響きを伴う凄まじい爆風と衝撃波が丘の上まで駆け上がり、アレンとルカの身体を激しく揺さぶる。


「え…………?」


アレンは木の杖を突き出した姿勢のまま、完全に硬直した。


ドクン、と心臓が嫌な音を立てて跳ね上がる。


(俺の……魔法? いや、違う、そんなわけがない……っ!?)


あまりにも完璧すぎる、呪われたタイミングのシンクロ。


あまりの恐怖と混乱に、喉の奥がカラカラに干からびていく。


爆煙がゆっくりと晴れた先、のどかな村の景色の中心に突如として現れたのは、

漆黒の凶悪な鎧に身を包んだ、人間とは明らかに異なる異形の軍勢


――『魔王軍』の魔族兵たちだった。


彼らは、人間たちを嘲笑うかのように、魔法を無慈悲に放ち始めた。


「燃えろ、原始人どもの巣が! ――『火炎弾《ファイア・ボール》!」


魔族兵たちの手元から、幾重もの炎の球が高速で撃ち込まれる。


次々とアレンの知っている幼馴染の家が炎に包まれ、一瞬で瓦礫の山へと変わっていく。


飛び交う悲鳴。


崩れ落ちる木造の家々。


「ひ、ひぃっ! 助けてくれ! 誰か、誰か……っ!」


広場の中心、燃え盛る大屋根の影で、村の長老が腰を抜かしていた。


その目の前には、両腕に巨大な戦斧を構えた大柄な魔族兵が、冷酷な笑みを浮かべて迫っていた。


長老の脳天に向けて、斧が冷徹に振り上げられる。


「やめろぉおおッ!!! その人に触るなァ!!」


アレンは我に返り、ルカに杖を押し付けると、高台の坂を一気に駆け下りた。


考えるより先に身体が動く。それが彼の強い正義感だった。


アレンは地面に転がっていた重い薪割りの斧を両手で引っ掴むと、全身のバネを爆発させて魔族兵の背後へと躍りかかった。


狙いは魔族兵の無防備な首筋。


だが、その刃が肉に届く直前


――魔族兵は振り返りすらせず、ただ鬱陶しそうに黒い鉄の肩当てを突き出した。


――ギィィィンッ!!!


激しい火花が散る。


・・・しかし、手応えは皆無だった。


まるで巨大な岩塊を叩きつけたかのような凄まじい衝撃が両腕を駆け抜け、アレンの手から斧が派手に弾き飛ばされた。


骨にまで響くような衝撃に、両腕の感覚が一瞬で吹き飛ぶ。


手のひらの皮が摩擦で破れ、赤黒い血が滲む。


「あァ? なんだ、人間のガキか」


魔族兵が不快そうに声を低め、アレンの胸元を蹴り飛ばした。


――ゴバァッ!!!


胸骨がきしむ嫌な音と共に、地面を何メートルも転がり、血と泥の混じった不味い味が口いっぱいに広がった。


呼吸ができない。痛みが遅れて脳を焼き、絶望に視界が歪む。


死が、目の前に迫っていた。


うっとおしい羽虫を叩き潰すかのように、振り上げた戦斧を無感情に振り下ろそうとする魔族兵。


アレンが思わず目を瞑った


――その瞬間。


「アレン、伏せてッ! ――『集え、我が呼び声に、狂えよ大気の刃――風よ、弾けろ爆裂風(ウインド・バースト)』!」


ヒュンッ!!!


激しい風切り音が、アレンの鼓膜を鋭く突き刺した。


背後からの叫びと共に、目に見えない空気の塊が魔族兵の顔面へと真っ直ぐに炸裂した。


ルカが全魔力を振り絞って放った風の魔法。


威力的には、大人の男が全力で殴りつけた程度の衝撃だったが、不意を突かれた魔族兵の巨体が、わずかに一歩だけ後方へとよろめいた。


「ルカ……っ!?」


「早く走って、アレン! 僕の魔法じゃ、これが限界だ……っ!」


アレンはルカの手を強く引っ張り、燃え盛る民家の隙間を縫うようにして、再びあの高台へと全力で駆け上がった。


ご一読いただきありがとうございます!!!


突如として始まった魔王軍の襲撃。絶体絶命の危機を、幼馴染であるルカの魔法によって辛うじて切り抜けたアレンたちですが、高台に逃げ延びた二人の前に、さらなる『絶対的な絶望』が待ち受けています。


次回――【4】絶望

お手数ですが、☆での率直な評価をいただけると、今後の執筆の参考になります。どうぞよろしくお願いいたします。

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