お前は何なんだよ!
で、結局お前はこの鎧と何の関係があるんだ?
『鎧ではありませーん! これはアーマードスーツでーす!』
あーまーどすーつね、はいはい。
『棒読みですね』
いいから答えろよ!
『はいはい。と言うか、このスーツにちゃんと名前を付けてくださいね』
…え? 名前がアーマードスーツなんじゃ無かったの?
『いやいや、あんたが名前を付けないから、あくまでも仮称を付けたんですけど! わ・た・く・しが! だからさっさと名前を付けてくださいね!』
う~~~~ん? もう、アーマードスーツでいいよ…。
『あ、そうですか』
ってか、結局お前は何なんだよ!
『ですから、私はナビちゃんですってば! エネルギー変換カプセルやあなたの生活全般から下の世話までOKな、超優秀で可憐で可愛いアニメ声のナビちゃんです!』
し、しも!? 霜って、寒いときに地面を押し上げる氷…?
『おしい! それは氷柱ですね。霜とは空気中の水分が水にならずにそのまま氷結して植物とか物体の表面に付着する現象の事で凝華とも言います…って、そんな事はどうでも良くて、しもは下ですよ! あんたのナニの事!』
うん、それは分かってた…。
『あなたの童貞も貰ってあげますよ?』
それは、のーせんきゅー!
ってか、声だけで何をしようってんだよ!
『ふっ…このナビちゃんが、いつまでも声だけの存在だと思わない事です!』
何か怖えーよ! お前、マジで怖えーよ!
『ま、異世界ファンタジー物のお約束ですからね。そのうち分かります』
そう言われると、何だか納得できてしまう俺がいる…。
確かに異世界物だと、そんなパターン多いよな。
いや、だが絶対に下の世話にはならん!
『ちっ…これだから童貞野郎は…』
「うるせーよ! まだ5歳なんだから当たり前だろうが!」
おっと、思わず叫んじまった。
ここって、誰も居ない深夜の林の秘密基地の中だったんだ。
お馬鹿なナビとやり取りしてたから、すっかり忘れてたよ。
きっと今頃は夢の中の両親とかわええコルネちゃんを起こすわけにはいかぬ!
『夢〇中へ~夢の中〇~♪ 行っ〇みたいと思いませんかぁ~♪』
「思わねーよ! ってか、何でお前が井〇陽水知ってんだよ!」
『しぃーーーー! 大声を出さない!』
あ…確かに…って、お前がそうさせてんだろうが!
だが、確かに声は抑えねば…こいつに言われると、めっちゃ悔しいけど…。
▲
『さて、漫才はもうよろしいでしょうか? そろそろ時間も遅くなってまいりましたので、いい加減このスーツの説明をさせて頂きたいと思うのですが?』
お前が俺に突っ込ませてんだろうが!
『ま! 女の子に突っ込むだなんて、セクハラですよ、セクハラ!』
もう、こいつの戯言には付き合わんぞ、絶対!
『このスーツの呼称は、アーマードスーツ(仮称)です。身体能力や肉体を非着用時と比較すると、およそ10倍にまで引き上げる、いわゆるパワードスーツとなっております。つまり、筋肉や骨、内臓に至るまで、全てにおいて性能が10倍向上します。また、物理的、魔法的な攻撃に対する耐性を持っており、いかなる攻撃もこのスーツを傷つける事は出来ませんし、着用者を傷つけることは極めて困難な仕様となっております』
ほうほう、そりゃ凄い! って、唐突に真面目に説明始めよったぞ、こいつ!
『ただし、物理的、魔法的な攻撃自体は無効化出来ましても、スーツの耐衝撃性の許容を越えた衝撃に関しましては着用者に伝播いたしますのでご注意ください』
たいしょうげきせい?
『本来の言葉の使用法とは若干違いますが、スーツの耐衝撃性とは、瞬間的に大きな負荷が掛かった時の耐久力を指します』
な、なるほど。それは確かに納得できる話だな。具体的な数値は?
『はい。表面積で約1㎠あたり3tの衝撃以上は許容範囲外です』
それはどんな攻撃なんだよ!
そんな攻撃、あり得るんか? たった1点に3tの衝撃なんて…あ、いや…ファンタジー物の魔法でお馴染みのアロー系とか、とんでもなく強い剣士とか槍士の一撃とかなら、もしかしてあり得るのか?
『ええ。矢とか投げナイフとか、ともかく超人が一点を狙った攻撃ならば可能性はあります。ただし、3tまでの衝撃はスーツが吸収しますので、それ以上の攻撃の衝撃のみが伝わるだけです。あなたにも理解できるように説明すると、一点に4tの衝撃を伴った攻撃が当たったとすると、3tはスーツが衝撃を吸収する…つまりは減衰するので、残る1tの衝撃のみがあなたに伝播します』
なるほど…。それだと、無敵で無双というのも難しい…のか?
スーツの限界以上の攻撃だと、間違いなく俺も怪我をする。
いや、待てよ? そんな衝撃を一点に集めるような攻撃はそれこそ達人のクリティカルぐらいだろう。
普通だと面での攻撃になるはずだから、今の俺の体重を考えると、そんな攻撃を受けたらまずは俺自体が吹っ飛んでいくんじゃね?
変身物のヒーローも、爆発とかでは怪我は無いのに敵さんに吹っ飛ばされてるのを良く見るから、これはこれで当然の事だし、そんなに危険はない様な気がしてきた。
吹っ飛ばされるなら、衝撃は運動エネルギーに変換されるわけだから…つまりは、俺にその衝撃が全て伝播するわけじゃ無いんじゃね?
完全に力を一点に集中して、その衝撃を吹っ飛ばすのではなく全てスーツの内部、つまりは俺に伝える様な攻撃って、中国武術とかの浸透勁とかぐらいじゃねえの?
『そういう事です。そんな技能を持った人は、まずこの星に存在しませんのでその点は安心できるかと思います。が、私はあくまでもスーツの性能を述べているだけですからね。まあ、稀にそんな攻撃もあるかも程度に注意してくだされば大丈夫です』
なるほど、了解した。
まあ、スーツは無傷でも、中身が死んだら意味ないからな。
注意するに越したことはないよね、うん。
『さて、それでは続けて説明しますね。このスーツの内部は、外気温や湿度に関係なく、常に一定の温度と湿度が保たれており、装着者が常に快適な状態で入れる様になっております。例として、外気温が摂氏一万度であろうと絶対零度であろうとも、スーツ内は常に常春です!』
そ、それは凄い…。
『ちなみに、う〇ちやおし〇こ等の排泄物を処理する機能はありませんので、注意してください。着るなら出すな、出すなら着るな! です』
それは言わんでもええわ! そりゃそうだろ、当たり前だ!
『いえ、結構誤解してる人多いんですよ。中身がサイボーグとかなら別ですが、あくまでも人が着ているのですから、生理的現象は避けては通れません』
そりゃそうだな…。
『そもそも、内臓の機能も10倍に引き上げられてますので、おし〇こやう〇ちも、常人の10倍早く溜まるんですよ? まあ、どっちも常人の10倍耐えられるのですから、結局常人と同じだけ我慢が必要なわけですが…。脱いだら、即トイレに行かないと10倍出ますからね?』
おぉ!? そりゃ気を付けんと、めっちゃやべぇじゃねぇか!
『はい、お願いしますね。もし漏らしたら、ちゃんとスーツを洗ってください』
漏らさねーよ! ってか、脱いだら消えるのに、どうやって洗うんだよ!
『次に、このスーツの連続着用時間ですが、ほぼ制限はありません』
はっ? 連続で大丈夫なん? ってか俺の質問の答えは? 無視なん?
『スーツは任意での装着解除、もしくは装着者の意識が無くなった場合は強制解除となりますが、連続装着に問題はありません。どっかの3分でピコーンピコーンと胸に点滅するエネルギー残量表示システムを持つ赤銀の巨人とか、どっかの魔界の金色の狼型の鎧の様に99.9秒しかこの世界にとどまれないとかいう、へんてこりんな制限は無いです』
お前、かなり際どい事言ってんぞ…。
『但し、スーツの装着を解除すると再装着までのインターバルは5時間ですので、この点だけはご注意ください。我慢できなくなってトイレに行くためにスーツの装着を解除しますと、再装着は5時間後ですので、装着前にトイレは済ませてください』
インターバルは5時間か。
ってか、トイレは戦いの前に済ますわ!
『ご理解いただけたら良いのです。ちなみに、インターバルの時間は、どっかの7種類の姿に変身する虹の戦士のヨガの眠りと一緒の時間となります』
だから、版権ーーーーーーーーーーーーーーーー!




