あなたの永遠のアイドル
誰もが寝静まる丑三つ時。
いえ、嘘です。
晩御飯を食べて、風呂に入って布団に入って…多分、地球時間で2時間ぐらい?
この星…この国だと、1刻っていうらしいけど、多分それぐらい。
なので、きっと地球時間でまだ23時になるかならないかだと思う。
あ、ちなみに1週間は6日で、5週間で1か月で、12か月で1年らしい。
つまりは、ちょこっと地球よりも1年の日数は短い。
とはいえ、この星の1時間が地球の1時間と同じなのかは不明だけど、多分近いんじゃないかと思う。
おっと、話が逸れた。
俺は今、こっそりと家を抜け出しある所へ向かおうとしいる所だ。
通いのお手伝いさんのセリスさんも、もう仕事を終えて帰っているので、家の中に居るのは両親とらぶりー妹ちゃんのコルネちゃんと俺だけ。
両親と妹ちゃんは同じ部屋で寝てるから、その前を通る廊下さえ越えてしまえば、俺の前に立ちふさがる障害物は無い!
ちなみに、我が家は結構大きな平屋だ。
なら、窓から出たら簡単だろ? って思うからが居るかもしれないが、この星ではガラスが高価なので窓には使われておらず、半分しか上に跳ね上げることが出来ない重い木窓で、開ける(持ち上げる)のに結構力が必要なのだ。
たかだか5歳児の力では、クッソ重い木窓を持ちあげるのは難しいんだよ。
いや、実際にやったことあるけど、頭が通る隙間すら作れなかった。
そん時は、セリスさんが笑って手伝ってくれたけど、俺が悪戦苦闘している様子を微笑ましく見ていたらしい。
もっと早く助けてほしかった…もう少しで途中で力尽きて頭を挟まれるところだったよ…窓に…。
ってなわけで、両親とコルネちゃんが寝ている部屋の前の廊下を、こそっとこそっと、抜き足差し足…。
うん、今夜は父さんと母さん、大人しく寝て居る様だ。
ギシギシっていう木製ベッドの軋み音も聞こえないし、母さんの『あぁん…』とかのあえ…声も聞こえないから、きっと大丈夫。
ちょっと眠いけど、俺はそのまま廊下を抜けて、家の外へ。
目指すは俺の秘密基地!
今夜こそ、今夜こそは、変身しゅるのだ! …ちょっと噛んだ…。
▲
さてさて、やって来ました秘密基地!
夜の林は真っ暗で怖かったです。
止めに秘密基地の中も真っ暗です。
だが、この時の為に俺はこっそりとくすねておいたのだ、ちびた蝋燭を!
さあ、明かりをって、火が無いじゃん! 蝋燭点けれないじゃん!
お、俺って馬鹿…。
ま、まぁ気を取り直して、真っ暗でもやることには変わりない。
ずっと楽しみだった変身をするのだ!
えっと、まずはベルトを…念じたら腰に装着されてるはず…。
でも、何の掛け声も無いのはどうなんだろう?
ん~~~~、まぁ取りあえず、
「へ・ん・し・ん!」
俺はそう呟くと、両手を上に…これ、ちょっと違う…とか思っていると、
『了解! アーマードスーツ、転送シマス!』
何か知らん声が頭の中に響いた。
「え、何だ今の…」
っと思う間もなく、俺は光に包まれて、いつの間にやら銀色の鎧をまとった姿に変身していた。
『開拓村のトールヴァルドが、戦闘の際アーマードスーツを装着するタイムは僅か2・72秒にすぎない。では、装着プロセスをもう一度見てみよう!』
いや、何でやねん! そんなん誰が見んだよ!
ってか、それってまんま宇宙の刑事のギャ〇ンやないかい!
しかも、めっちゃ微妙な時間だな、おい!
違う、違うんだよ! 俺が思ってたのは、どっちかって言うと仮面でライダーな人の変身なんだよ!
『そうは言いますが、この星にはバイクがありませんよ? バイクに乗らないのにライダーっておかしくないですか?』
そうかもしれないけど、それでもライダーな人の変身ベルトに憧れがあるんだよ!
『はぁ…これだから、おっさんのオタクは…』
ため息つくなよ! って…、
「お前…誰?」
さっきから、何か誰かと喋ってる気が? いや…俺、間違いなく喋ってるよな?
『私が誰かとな? 何を仰るウナギさん!』
誰がウナギか!
『おっと、まだタケノコのチョコぐらいでしたね。これは失敬!』
どこの話をしとるんじゃい!
『ナニの話ですが、何か?』
やかましーわ! んじゃなくて、お前は一体どこの誰さんなんだよ!
『それはひみつ、ひみつ、ひみつ、ひみつの…』
止めれ! めっちゃ版権に引っ掛かる!
『だってなんだか、だってだって…』
それも駄目だーーーーー!
『何ですか、いちいち文句の多い人ですねぇ』
いいから、とにかく、お前は誰なんだよ!
『私ですか? 私はあなたの永遠のアイドル、ナビちゃんです! 私のことは嫌いでも、A〇B69のことは嫌いにならないでください!』
ナビってアイドルなのかよ! ってか、69って何だよ!
『いえ、男の人ってこの数字を見たり聞いたりしたら興奮するでしょう?』
……………。
『否定しないとは、潔いですね』
う、うっせーわ!




