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システムバグで輪廻の輪から外れちゃったけど、どうやら他の星に転生したらしいです。  作者: 大国 鹿児


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国王陛下には袖の下!

 ってことで謁見の間に戻ってきました。

 え、何で? まだ終わってなかったの?


「さて皆の者、これでヴァルナル卿の嫡子の実力は十分にわかった事だろう。そしてヴァルナル卿が尽力しておる開拓地にダンジョンが出現し、スタンピードを被害一切無しで乗り切り、さらにはダンジョンマスターと良き交渉をしたと言う事も既に聞き及んでいる事と思う」


 陛下が謁見の間に居る面々に向かってそう言うが、オラが領への公金投入を議会で決議したんだから、そりゃダンジョンの事は全員が知ってるっしょ。


「さて、そのダンジョンマスターであるが、このヴァルナル卿と我が国とに大いなる感謝と、今後も良き関係を築いてゆきたいと、ヴァルナル卿に献上品を託したそうじゃ。ダンジョンから自主的な献上品があるなど、歴史上初めての事じゃの。おい…あれを持ってまいれ」


 確か使者さんに謁見の前に父さんが献上品を預けてたの、完璧に忘れとったわ! 


 さっき前説(?)してた近衛騎士さんが、真っ赤な布の掛かったでっかい銀色のワゴンを恭しく押しながら謁見の間に入って来た。

 その後ろには別の騎士さんが数人続き、全員力を合わせてえっちらおっちらと大きな箱を持って入って来た。


「さぁ、皆の者、見るが良い! これがダンジョンよりの献上品である!」


 ワゴンの上に掛かっていた布が取り去られると、そこには1枚の黒く艶やかな鱗。

 んで、騎士さん達がえっちらおっちら運んでた箱の中身は、煌びやかな剣と鎧。 

 そして、大小様々な魔石の数々。

 その献上品を見た、謁見の間に集まる人々から、大きな 歓声が沸き起こった。

 俺は大したことないと思ってた剣や鎧だったが、実はめちゃくちゃ高価らしい。

 もしかして、ファンタジーな金属のミスリル製とかだったのかな?

 え? ああ、神銀製なのね…って、それをミスリルって言うんじゃねぇの!?


 

「どうじゃ! これは、かの有名な黒竜の鱗じゃぞ!! しかもこの見事な神銀製の剣と鎧! そしてこの魔石の数々!」


 おおお…っと、どよめく貴族の方々。

 え、黒竜って有名なん? 皆、知ってるの?

 ああ、神銀製の方に驚いたのね…そですか。


「この献上品…特に剣と鎧は国宝とする! ヴァルナル卿、トールヴァルド、良くやった! 今後もダンジョンと良き関係を築くようにの」

「「ははー!」」


 これよこれ! 国王陛下には袖の下! 損して得取って大正解だよ!

 もうこれであの領地は俺達のもの! 国王の言質はとった!

 これで、金の匂いを嗅ぎ付けたクズ貴族が、あの手この手で領地替えしろとか言い出せない様になったぞ!


「ヴァルナル卿。そなたには異例の措置ではあるが、貴民として子爵位を授ける」


 国王陛下はそう言うと、玉座から立ち上がりゆっくりと段を降りて来た。

 そして、父さんに近づくと、先ほどのミスリル製の剣で父さんの両肩を軽打した。


「これより其方はヴァルナル・デ・アルテアンと名乗るが良い」

「有り難き幸せ」


 父さん、爵位授与式を経て、なんと貴民に…子爵になっちゃった!


 初代の勲民が納税義務をきちんと果たし、次代に引き継いで、初めて家が…要は父さんが貴民になるってのが普通なんだと。

 つまり、俺が当主になる時に、初めて胸を張って貴族だ…って言えるようになるのが一般的な認識らしい。


 余談だが、俺の子供…つまりは父さんの次の次の当主までが、王国の法的には貴族って事になるんだと。

 俺の孫が何らかの手柄とか上げない限り、そこで貴族家は終了…になるらしいのだが、まぁそこは色々と法の抜け穴があって、結局は子々孫々と貴族家は続くって。

 法の抜け穴って…何か嫌な言い方だよなぁ。

 その方法ってのは、また今度教えてくれるらしい。

 ま、まぁ…聞くだけは聞いておいてもいいかな…。


 そんで、次に国王陛下が俺の方を見下ろして、


「トールヴァルドよ、そなたも特例措置として貴民…準男爵とする。これは余の願いではあるが、成人後は是非とも城にて剣と魔法の技を活かし、ヴァルナル卿の様に騎士となって欲しい。近衛騎士団が良ければ席を空けておこう」


 俺まで下級だけど貴民として独立した家を興す事になっちゃった!

 準男爵程度なんで大したこと無いような気がするが、それでも貴族家当主だよ!

 まあ、でもこれって、名誉的な意味でくれたんだな。

 

「はは! 有り難き幸せ」


 俺には、剣でポンポンは無かった。お言葉と書類だけ。

 だけど親父も俺も本物の貴族になったんで、姓は名乗れる。


「今後は、トールヴァルド・デ・アルテアンと名乗り、よく父を支えよ」

「はは~!」


 けど、前世のどっかの国みたいな貴族家門名とかミドルネームとかは名前に入らないのかな? ああ、アルテアンが貴族家門名? えっと、それって単なる姓なんじゃないの? え、そうじゃ無くて『デ』って名乗れるのが名誉な事?

 あ、そですか。 


 って事で、いきなり俺みたいな子供が貴民となって家を興すなんて事は、王国史上でもかなりレアな事なんだそうだ。

 レアって事は、他にも居たんだろ? まあ、それが誰かはどうでも良い事だけど。

 しかし近衛騎士の席を空けておくって、さっきみたいなゴリラが居るんでしょ?

 謹んでご辞退申し上げちゃったら駄目ですかね。

 別に成り上がりたいわけじゃないし、基本のんびり楽しく幸せに暮らせればいいんだよね。

 それに、出来れば可愛い女の子に囲まれたいです。ゴリラはのーせんきゅー!


 さて、俺は現在の王国において、最年少で貴民になったわけだ。

 爵位に応じて国に納めるべき税金は、俺が国から貰える年金から天引きされて相殺になるらしく、実質0円! じゃなかった、払う必要なし! 

 代わりに国からの収入も無くなるけど、そこは問題ない。

 不労所得が既に確立してるんで、下手したら税金だってちゃんと納められるよ?


 ってな事で、我が家はこれで実質的に貴族位を2つ持ってるって事。

 無茶な継承とかで無ければ、子爵位と準男爵位は、家族で相談して継ぐ者を決めてもいいらしい。

 つまり、俺が子供に貴族位を継がせても良いし、コルネちゃんが準男爵位となって、俺が父さんの子爵位を継ぐ事だって可能。

 まぁ、そもそも父さんは将来的に俺に爵位を継がせたいみたいだから、浮いた準男爵位をコルネちゃんに継がせるのは間違いないかな。

 愛しのコルネちゃんが女準男爵で、将来婿養子を迎えるのもいいな。

 もし父さんと母さんの間に弟が出来たら、その子に準男爵でもいいし。

 あの仲良し夫婦の事だからまだまだ励むだろうから…もしかしたら妹か弟か妹が出来る可能性の方が高いかもしれん。

 妹の方が多い? そりゃ弟より妹の方がいいから当然! 

 まぁ、もしも弟が出来て準男爵位を継がせたとしても、コルネちゃん一人…いや妹の一人や二人ぐらい、余裕しゃくしゃくで養ってやるから安心してくれ!

 よっし! これでどう転んでも、我が家の将来は安泰だ!

 

 それに、これで俺も爵位持ちだから、堂々と父さんの代官も勤められる。

 本当は領地持ちの貴族家ともなると、領地を持たない官僚系の貴民か勲民の代官を最低でも1人は雇い入れなきゃ駄目なんだそうだが、我が家には俺がいる!

 実は、今までは王国の端っこの開拓地って事で、その辺は大目に見てくれてたらしい…来たがる人が誰も居なかったとも言う…。

 でもダンジョンとの取り決めのおかげで収入が安定して上向いている我が領であれば、ちゃんとお国に既定の税金を払えるだけの収入は安定してある。

 税をきちんと納められる程の収入があるというのに、誰も雇い入れないって事は後々大問題になるだろう。 

 だが、俺が名目上だけでなく、実際の代官になれる爵位と立場を得たんだから、無駄な出費が抑えられて経費が浮いたぜ! やったね父さん。

 浮いた経費の分だけ、帰りに王都で官能小説の新刊…じゃない色々な本を買って帰れないだろうか? 後で真剣に相談してみよう。 


 これで我が村と周辺の領地は、アルテアン領と呼称する事となりました。

 わー! どんどん! ぱふぱふ!

 

 ちなみに家紋っていうか紋章は陛下に貰ったアルテアンって姓に付いて来た。

 大昔の戦争で功績を上げたが血筋が途絶えた家がアルテアン家だったらしく、特に悪い話も無かったのでそのまま受け継いだんだが、紋章を簡単に説明すると《盾を中心に向かい合う狼》なんだよね。

 いや、かなりイケてね? 俺は格好いいと思う。

 しかも紋章付きの馬車と馬まで貰える事になりました!

 来る時は使者さんの馬車に同乗させてもらったんだよなぁ。

 今考えると、あれはちょっと恥ずかしい。

 だが、そんな貧乏領主家が、何と2頭牽きの箱馬車持ちになったのだ!

 そこそこ速度も出るそうだし、御者+8人乗りだそうから結構大きいぞ! 

 まあ地球でいう中世の頃の馬車に近いみたいだから、往路と同じくサスペンションもショックアブソーバーも付いてない、超乗り心地が悪い奴だろうけど。

 お尻環境には全くもって良くないが、それも帰るまでの辛抱だ。

 帰ったら魔改造してやる! それまではクッション買って我慢我慢。 


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