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システムバグで輪廻の輪から外れちゃったけど、どうやら他の星に転生したらしいです。  作者: 大国 鹿児


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実演!

 さてさて、いよいよ謁見の開始です。


 とは言っても、俺が発言する事などほとんどない。

 基本的な話は、領主であ貴族の一員である父さんのお仕事。

 ダンジョン発生からスタンピード事件の顛末、それと表に出して問題ない様なモフリーナとの大まかな取り決め等々。

 所々つっかえながらも、父さんが陛下へと報告し、陛下の近くに控えている文官さん? もしかしたら大臣とかかもしれないけど、そんな人が補足してくれた。

 この謁見の間に集まった貴族にも、何故こんな筋肉ダルマとガキが陛下に招聘され謁見しているのかが、きちんと伝わった事だろう。

 俺はきっと緊張してたんだろうな。

 陛下と父さんが何やら挨拶を交わし、色々と父さんが話したり陛下が質問したりしてたのは知ってるんだが、その内容どころか、陛下の顔も声もよく覚えていない。

 人って緊張しすぎたら、記憶だけじゃなく、色々と飛んじゃうらしい。


 ってなことをぼう~っと考えていると、貴民の席から物言いが付いた。

 なんかね、どうやらその人だけでなく、この謁見の間に集まった方々から何やら俺達の話は出鱈目だ、作り話だと言う物言いの様だ。

 中でも一番多かった文句は、『あんな子供が魔法を使うなどとは、とうてい信じられない』だってっさ。

 他にも、スタンピードを防いだなどという報告その物が出鱈目だ! とかも。

 


 こいつら馬鹿なのか? そもそも議会で投資の話もまとまって、大規模に資金を投入して開発してんじゃん。

 何度も王城から偉い人がやって来ては、開発状況を確認してたし、そもそもダンジョンなんて目立つもの、その人たちが見逃すはず無いじゃん。

 え、ダンジョンの発生自体は疑ってない? 父さんの報告内容が疑わしい…っと?

 報告が本当ならば、スタンピードを防いだ魔法を実演して見せろと?

 はいはい、んでは僭越ながら、この俺が実演してあげましょうね。


 謁見の間に居た方々に、見たい人がいるなら練兵場に移動してもらうよう言うと、 なんと全員がぶつくさと文句を言いながらも移動した。

 全員って…あんたら暇人だねえ。

 陛下以下えらい人たちが来るのは‥‥まあ、分かってたから気にしない。

 全員、練兵場の観覧席っつーの? そこに座って邪魔しなけりゃ別にいいよ。

 んでこのクソ広い練兵場で、俺は何見せりゃいいんだ?

 サッカー場が3~4個は取れるぞ? ここ城の中だよな……?

 あ、お城の横にあるんですね、失礼しました。

 なるほど、あの一番高い場所の真ん中にある豪華な席に座ってるのが国王様か。

 王冠や豪華なマントで良くわからないけど…父さんと同級ぐらいか?

 お前、何中よ? あぁん!? とかは、この世界無いんだろうな。

 え、俺の前世では結構あったよ? 大喧嘩になった事もありましたけど、何か?

 う~ん遠くて良く見えないけど、髭も無いから思ったよりも威厳無いなあ。

 金髪は分かるんだが…父さんの方が男前な気がする(身贔屓)。 

 

 ぼ~っと観覧席を見てたら、兵士さん? が来た。

 何々…魔物を倒した力が見たいから、模擬試合する?

 父さんも一緒にやるの? あ、父さんは陛下に解説する係ね。

 はいはい、了解! って言う前に、観覧席の方まで走って行っちゃったよ。

 おっさん、子供をこんな所に置き去りにすんな! 育児放棄か、この野郎!

 っちゅーか、子供相手に何を兵士が10人も並んでるんだよ!

 え、これが一個小隊なの? 小隊単位での訓練の一環だから許して欲しいと?

 はぁ、仕方ないですな…んで相手はどなたですか~? 

 え、あれが相手? ゴリラじゃね? 身長2m以上あるぞ!

 オークなのか!? …ほう、この小隊の隊長様でしたか、これは失礼。

 めっちゃごついフルプレートアーマーにデカい盾と長い槍を持ってるな。

 俺、5歳なんだけど!? 何で本気装備なんだよ!!

 お前、俺を殺す気まんまんだろ!!

 ハイ、質問質問! 国王陛下! 魔法は使っていいですか?

 構わない? 殺さなきゃ何でもあり? でも武技が見たいから最初は剣を使えと。

 魔法の鎧と武器がなけりゃ戦えませんが? え…もちろんOKとな?

 へ~へ~、了解しましたよ。

 あ…審判みたいなおっさん出てきた。

 準備は良いかって? 良いわけないだろ!

 俺は素手だぞ! 素手であんな本気フル装備のゴリラ相手に子供が勝てるか!


 ちょっと待ってろ、準備する。


「メタルガード……へ・ん・し・ん……トゥ!」


 メタルガードの変身プロセスは、わずか数秒で完了する。

 0.05秒じゃない微妙な時間なので、もう正確な変身時間は忘れました。

 おっと、身体能力補助倍数を5倍に変更しとこう。

 何度かこのスーツを着て訓練したおかげで、5倍までは使いこなすことが出来る様になったのだ。


 さて、変身ベルトの左右に付いている銀色の箱は四次元ポケット的な物であることが判明し、俺の虎の子の武器であるナイフが格納できたのだ! ベルトと共に出現し、ベルトと共に消える! うむ、完璧だ!

 でも、ポッケにはナイフしか入らなかったんだけど、何故? もしかしてガチャ玉で創り出した物しか入らないとかの制約があるのかもしれない…まあ、それは今は置いといて。

 そのポッケから、漢の夢が詰まったロマン武器登場!

 元は肥後守ナイフぐらいの大きさだが、俺が念じると片手剣へと変わるり、右手でその剣をゆっくりとなぞると、青白く輝く光の剣へと早変わり!


「エネルギー…ブレード!」


 青く輝くこの美しい剣を見よ!

 ふっふっふ、観覧席がざわついてるな?

 お前たちが見たいと言ったんだから、しっかりとその目に焼き付けろ!

 よっし、準備完了! さあいつでもいいぞ、審判合図だ!


 鎧ゴリラと向かい合った俺は、軽く礼をすると開始線で合図を待つ。

 審判役が手を上げ開始の合図をした。


「始め!」

 

 開始早々、ゴリラが猛ダッシュしてきた。

 ふむ…ダッシュ力はあるが、その重い鎧で左手に超重量級の盾を構え右手に槍持ってって、そりゃ走りにくいだろう。

 足運びがめっちゃドタバタしてるぞ。

 お前には運歩法という、足運びの基礎を教えてやらにゃいかんな。

 父さんはフルプレート着てダッシュしてても、きちんと出来てるぞ。

 この隊長程度では、父さんの足元にも及ばなって事か…さすがは英雄の父さん。

 おい、ゴリラ野郎! そんなんじゃ重心がブレブレで、体重がどっちの足に乗ってるか一目瞭然だぞ? 

 俺は一瞬身をかがめると、盾を目指して猛突進。

 盾が目の前に迫ったら、素早く右にステップしてゴリラ野郎の後ろに回り込む。

 ゴリラが目標(俺)を見失ったらしく、辺りをキョロキョロしながら棒立ちになってる所に、 回し蹴りの要領で必殺の膝カックンだ!

 ちなみに膝カックンは、実はかなり危険。

 体重の乗った足の膝裏をカックンするかと、勢いついて全体重  + 重力 + 加速した膝が舗装なんかにブチ当たり、下手をするとマジで骨折するから、良い子は絶対にマネしちゃだめだぞ。

 あ、ゴリラ野郎が土下座みたいになった。

 しかも膝をおさえてるけど…ありゃぁ、やっちゃったな…膝。

 うっわー! フルフェイスのヘルムだけど怒ってるの丸わかり!

 なんか、めっちゃ笑えるんですけど!

 おっと、今度はすり足でにじり寄ってきたな。

 足運びを学んだんじゃなく、単に膝が痛くて足をあげれないんだろ、ぷっ!

 ならば正攻法&必殺技で行くまでよ。

 間合いに入ったと同時に突き出して来た槍を俺は紙一重でかわし、槍を引き戻す時に一緒にゴリラの懐まで飛び込んで一瞬で近づき、


「メタルガード・クラッシュ(ちょい斜めバージョン)!」


 盾と槍を両方とも一刀両断にしてやった!

 あ、勢い余ってゴリラの腕と胴の鎧も切れちゃった!

 あああああああ、血が噴き出た! めっちゃ出てる出てる!!

 誰か誰か! 病院呼んで! じゃなくって救急車呼んで! 早く早く!!


 審判がめっちゃ慌てて救護班呼んできた。

 あ、治療の魔法もあるのね。それって何属性の魔法ですか?

 え…忙しいから後にしろって?

 はい、ごめんなさい。後で教えてね。

 ゴリラの出血はすぐに止まった。

 ふらついてはいるけど、もう歩いけるらしく、自力で退場していった。

 魔法ってすげえ!

 っと思ったら、ゴリラさんがこっちに戻って来た。

 

 ヘルムを取った顔は意外と…やっぱりゴリラでした…カイゼル髭付きの。


「正直に言えば、こんな子供が魔物の大軍を退治したなど法螺だと思っていた。だが我身でそれが真実であったと理解した。これからは互いに国のためにその力を振るおうじゃないか!」


 なんかヒゲゴリラってば、良い人かも。

 ニカッって笑ってグローブみたいな手で握手求められちゃったよ。

 俺も手を出して互いの健闘をたたえ合う…って、お前、力入れすぎだろ! 俺の手を握り潰すつもりだな? やっぱ怒ってるだろ!? 

 そっちがその気なら、もう遠慮なんてせんぞ! 我が強化された握力を思い知れ!

 俺の小さな手の中で、ミシッ! ゴキョ! って嫌な音と何かが砕けた感触した瞬間、またガックリと崩れ落ちるヒゲゴリラ。

 馬鹿め! 自業自得だ!

 

 んで、治療の魔法って何属性なの?


 しかしゴリラあっけなかったなあ。

 父さんの方が、多分…かなり…天と地ほどの差で強いと思うぞ?

 レベルとラベルぐらいは違うはず。

 ん…陛下が呼んでるって? ハイハイ、今行きますよ。


「見事だトールヴァルドよ。その鎧と剣も魔法なのだな?」

「はい。陛下のおっしゃる通り、この鎧と剣は魔法で出来ております」

「うむ…では次に、魔物を焼いたという魔法を見せてもらえるか?」

「御意に」

 

 え~っと、危ないんで兵士や騎士の皆さん下がってください。

 もちょっと…もうちょい…、はい、その辺で結構です。 


 んでは、王城にいる精霊さ~ん! ご飯ですよ~!

 ほっほ~! これまたいっぱいいますなあ。

 出来れば火の精霊さんには、ちょいと力を貸して欲しいんですけど。

 あ、精霊さんネットワークですでに知ってるのね。

 うん…あの炎の壁を派手にやりたいんだけど、大丈夫?

 OKなのね…んじゃ俺の合図でお願いしますね。

 俺が手を上げながら魔法名を叫ぶ…別に叫ぶ必要は無いんだけどね。


 「ムービング・フレイム・ウォール!」



 うぉ! びびった!スタンピードの時よりデカい炎の壁だな!

 え? 負けたくない? 誰に? あ…うちの村の精霊さんにね。

 ま、まあ…良いですけど、やりすぎには注意してね。

 俺に手を出せばどんな目に合うかって、貴族連中が思い知ればそれでいい。

 俺は田舎でのんびり幸せな家庭を築くんだ!

 まあ、こうなっちまったら、いくらか王都で奉公しなきゃならんだろうがな。


 良い感じの炎の壁ですよ~精霊さん。

 さあ! んじゃだんだん動いて中央辺りに集まってね。

 ハイ、1・2、1・2、みんなで足並みそろえて~! 

 1・2、1・2…って、なんか運動会の先生みたいだな、俺。

 背後で観覧席がめっちゃどよめいてるけど、今からがフィナーレだぜ!

 中央に集まった炎の壁は、渦巻いて空高くまで伸びていく。

 やがて竜巻となった炎の壁は、俺が上げた手を下ろした瞬間、フッっと瞬時に全てが綺麗に消え去った。

 この一瞬にして消え去るのって、めちゃ気持ちいいんだけど!

 

 これで陛下も満足できたかな?

 振りかえって観覧席を見ると、全員が口を開けて固まってた。

 いやいや、皆さん。小学校の歯科検診じゃないんだから、口は閉じなさいよ。

 口の中に虫が入るよ?


 さぁ~って、これで全部終了かな? んじゃ、さっさと帰ろう!

 俺、まだ王都をちゃんと見て無いんだよね。

 留守番してる母さんや最愛の愛妹ちゅわゎ~んと、あとミルシェちゃんにもお土産買って帰らなきゃだし。

 さあ、父さん! 街に繰り出そうぜ!

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