国王陛下からの招聘
そして今日、俺と父さんは王城に来ている。
いきなりどうした!? って思われるかもしれないが、文字通り俺と父さんは超ド田舎からはるばるこの王国の中心地である王都のさらに中心に位置する王城へとやって来ているのである。
もちろん、何も無いのにやって来たりはしない。
ご丁寧な内容で国王陛下名義の招聘を、遠い王都から使者さんが持って来ちゃったもんで、それを読んだ両親が慌ててちゃって出発したからここに居るのだよ。
超ド田舎な我が家のある開拓村から王城のある王都までは、実に馬車で14日。
マジで王国の西の端っこだったんだな。
我が家には馬車なんて無いから、王都に帰る使者さんの馬車に同乗させてもらったんだが、ゴム製のタイヤどころかサスペンションも無いこの世界。
止めに街道はず~~~っと土。舗装なんてあるわけない。
なので、激しい振動と衝撃で、俺のケツは見事に割れたぜ!
我が家は上級勲民なので、年1回開催される議会に参加する義務がある。
領地を持たない貴民・勲民が主に王都で政治を行っているんだが、その政策や翌年度の予算配分なんかの原案を練って、それを議論・検討・承認する場らしい。
領地持ちは基本的に国家の運営にはノータッチだから、検討と承認をするだけ。
よっぽど問題が無い限り否認しない、儀礼的な議会なわけ。
実は、今回の招聘状が来なくても、あと1週間程で父さんは王都に向けて出立していたはずだったんだ。
だけど、招聘状には議会の1~2週間前までには登城して欲しい云々って内容だったんで、両親が大慌てしちゃって早めに王都へ向けて出発したんだ。
なので父さんが参加する義務のある議会には余裕で間に合う予定だったんだけど、今回はちょっと様子が違うんだ。
何たって、招聘状には俺も一緒の来て欲しいとか書いてあったんだから。
え~っと、確かにこの俺ってば容姿端麗な美少年ではあるけれど、王城にお呼ばれする様な理由がわからんのですけど?
はっ! まさか、国王陛下ってショタじゃないよな!?
いや、王妃様が何人も居て、王子とか王女がダースで居るぐらいだから、それは違うか…んじゃ、何なんだろ?
まあ、そもそも議会には俺も一度は連れて行って欲しかったから丁度良いけどね。
さて、そんなこんなで俺と父さんが王都に向かう理由はご理解頂けた事だろう。
ちなみに、我が愛狼のブレンダー君は、家で通常モードでお留守番。
家族や領民にめちゃ可愛がられてモフられながら、村の周辺をレーダーで警戒中。
もしもの時は、勝手に戦闘モードになって村を守ってくれる。
ちゃんと家を出る時に、目いっぱいエネルギーをやったから、精霊さんと戯れてても、俺が帰るまではもつだろう。
マジで創って良かった…便利なペットって最高だな。
って、俺もお留守番が良かったよぉぉぉぉぉぉ!
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俺と父さんが王都に到着した日は、議会の丁度1週間前の日の夕方。
到着したと同時に、王都まで馬車に乗せてくれてた使者さんは王城へと報告にすっ飛んで行った。
何の報告かって? そりゃ、俺と父さんが王都に到着したって報告だよ。
んで、俺と父さんは、王都の門の近くで放置されたのだった。
うん、そりゃ我が家が王都に別邸なんて持ってるわけないからね。
なので、取りあえずそこそこのグレードでセキュリティーのしっかりしてそうな宿屋を探して10日程度の予定で宿をとった。
ふぅ…長旅だった。
この世界の馬車って、どう考えても自転車より遅い。
多分、俺が思うに時速3~5Km程度じゃないだろうか?
そう考えると、我が家から王都までは多分420~700kmぐらいかな?
前世だと、高速を車で飛ばせば日帰り出来そうな距離だけど、この世界だと結構な日数がかかるんだなぁ…。
ま、これは仕方ないか。
そんな事を考えながら、父さんと旅装を解きながら、とりま荷物を解いていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
はて? まだ夕食には早い気がするが?
父さんが少しだけ警戒しながら扉を開けると、そこに立っていたのはさっきまで一緒の馬車に乗っていた使者さん。
彼曰く、「明日の朝一番で陛下と謁見する事となった」らしい。
え~っと、ちょっと早すぎません? それって、陛下が俺達の到着を待ってたみたいなんだけど? え、マジで待ってたの!? そですか…。
何かいや~な気がしてならない…。
とりま、国王陛下への献上品を、明日の登城前にと父さんが使者さんに手渡した。
献上品を陛下が直接手に取る前に、色々と検査があるはずだ。
前世でも、どっかの国の王様には毒見役が居たとか聞いたことあるし。
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そして、明くる日の朝一番。
父さんと二人で宿で朝食を食ってると、宿の前に滅茶苦茶豪華な馬車が停まった。
周りには剣とか槍を持ったフル装備の兵隊さん? 騎士さん? も沢山。
誰がどう見てもあれって、超高貴な人用の馬車ですよね?
この宿にそんな人も泊まるのか? へぇ~凄いなぁ~…。
え、俺達を迎えに来た馬車だって? うん、そんな気はしてたよ…。
支度もそこそこに急いで着替えを済ませると、宿の客やら周辺の人々の視線が集まる中、俺と父さんは豪華な馬車に乗り込みました。
それがめっちゃ居心地悪くって、何だかさっき食った朝飯吐きそう…。
馬車は大通りのど真ん中を堂々と進み、馬車の周りにはとってもご立派な鎧で身を固めた騎士さんかな? がずらっと並んで馬車を護っている。
いや、もしかしたら、俺達が逃げ出さないように見張ってるのかも?
何だか色々と怖いんで、お外は見ないようにしました。
本当は、ゆっくりと王都の街並みとか見たかったんだけど、それは謁見が終わって落ち着いたらにしよう。
多分、宿屋を出てから1時間が過ぎた頃だろうか。
馬車はクソでっかい門の前で止まった。
目の前には馬車の窓からじゃ全貌が見えない巨大な建物が聳え…って、これって間違いなく王城だよね。
今更ながらに、心臓がドキドキしてきたよ…。




