マッハでGOGO!
でもようやく便利グッズ詰め合わせの意味が理解出来てきた気がする。
どんな便利なグッズでも創れる卵を詰め合わせたセットって事だったんだなあ。
だけど神様、詰め合わせって言う割に、ガチャカプセルしか無いんですけど?
もしかして詰め合わせ内容を間違ったのかな?
まあ確かに便利に使えそうだからいいんだけどね。
そう言えば、次は7歳とかメッセージにあたな…あれ?
もしかしたら、詰め合わせって一気に貰えるもんじゃないのかな。
勝手に便利グッズ詰め合わせって一回でドバっと貰えると思ってたけど、本当は何回かに分けて貰えるんだろうか。
何か混乱してきたぞ。
いや、それは今はどっちでもいいか。
大体、この星に生まれ変わらせてくれた事だけでも感謝もしてるんだし、こんな事で文句は言いませんよ。
俺は別になり上がりたいわけでもないし、ハーレム作りたいわけでもない。
ただ今度こそ幸せな人生を送りたいだけなんだから。
その為なら使える物は何でも使ってやるってぐらいには、開き直ってるけどさ。
面倒ごとは嫌だけど、身近な人が苦しんだり悲しんだりするのはもっと嫌だ。
自重なんてクソくらえ!
父さんの領地経営方針は、‟子供は宝”、‟贅沢は敵”、‟領民みな家族”だ!
前の二つは何と言うかコメントに困るんだが…。
まぁ、秘密にしてとお願いすれば、きっと俺の事は黙っててくれるでしょう!
信じてるからね、父さん、母さん!
願わくば、まずはこの村の危機を無事乗り越えられますように。
ベルトとナイフを装備した俺は、ブレンダーを引き連れ家の前に向かった。
どうやら女子供は、ちゃんと地下のシェルターに避難した様だ。
良かった良かった。
家の前で遠くの塔を睨んでいた村の男衆と父さんの所まで行くと、みんなはブレンダーを見てぎょっとした。
みんなちょっと腰が引けてる…見てるとおもろい。
「も、モンスターか? トール、危険だこっちに来い! このモンスターめー!」
父さんは剣を引き抜きブレンダーに切り掛かろうとしたんで、ここはすかさずちょっと待ったコールだ。
「ちょ~っと待ちね~! お父様。この青いオオカミは僕が契約している使い魔で、危なくなんてナッシング! ふわふわの毛皮がすっげぇ気持ちが良くて、強くて賢いナイスガイなんだぜ!」
雄かどうかは知らんけど。
「使い魔? お前…まさか伝説の契約魔法を使えるのか? 凄いな!」
え…伝説? 契約魔法ってなんぞ?
村の男衆も、「偉大なる大魔法使いの再来だ…」とか言ってるけど?
チートな神様から貰ったグッズで創ったなんて言えないから、魔法使いの定番である使い魔って事にしたのに、勝手に話が伝説級になっちゃったぞ、おいっ!
そもそもブレンダーは、獣って言うよりも、ホムンクルスとかロボットの方が近いんだけど…どうする俺、考えるんだ! 出て来い出て来いナイスな言い訳……。
そんなん、ある訳無いよな。
もう、ここは適当なでっちあげと勢いで乗り切ろう。
「実はこのオオカミが林で怪我してたから、一生懸命看病してたら懐いたの。名前はブレンダーって言うんだ。俺の言葉は分かるみたいだから、ちゃんと言う事も聞くし、危険はないよ。でも僕とブレンダーに攻撃したりしたら、自衛の為に反撃するかもしれないから注意してね」
うん、自分で言ってて何だけど、めちゃくちゃ嘘っぽ。
でも父さん&男衆は、なんか納得してる…あっれ~、皆、単純すぎじゃね?
「そうだったのか、トールはすごいな。あんな立派な避難壕も魔法で作ってくれたんだよな。きっともっとすごい魔法も使えるんだろ? 内緒にしたいならそれでもいい。父さんはお前の味方だからな」
するとセリスさんの旦那さん(名前はまだ知らない)も、
「そうですぜ坊ちゃん! あっしらはみんな坊ちゃんの味方でさ! 秘密は守りますぜ! 坊ちゃんはこの村の宝だ!」
と、すっげぇ力強く言ってくれた。
男衆も「そうだそうだ!」と、なんか勝手に納得されちゃったよ。
そもそも、まだ秘密にしてとも何とも一言も言って無いんだけど、俺…。
ま、まあ、結果的に受け入れられたから良しとしよう。
「それでそのオオカミはブレンダーという名前なのか?」
「うん、そう、ブレンダー。すっごく賢いから、僕の言う事はちゃんと聞くよ。あと、さっきも言ったけど、もの凄っごく強いからね。だからスタンピードが起きてモンスターが押し寄せたら、僕達も一緒に戦う!」
さすがに5歳児を前線に出すのは躊躇われるのか、父さんは渋い顔してる。
ん~ダメ押ししとくか。
「でもその前に、村の外に魔法で高い防壁を造りたいんだ。だから父さん、一緒に行こう!」
お、防壁は欲しいんだな。めちゃ悩んでる。
「わかった。走って行くから、背中に乗りなさい」
ダディー…そんな鎧の背中にしがみ付けるわけないじゃん。
硬いし痛いし滑るよ?
まあ、そんな事しなくても移動手段はある。
「大丈夫! ブレンダーが乗せてくれるから。ブレンダー騎乗形態!」
『ワオォーーーーン!』
おお! あの新造な人間のアニメ通りの遠吠え!
一鳴きしたブレンダーの身体が、グググググと大きくなっていく。
周囲がざわつくが、大きい姿になっても僕の顔をペロペロ舐めてくれる愛い奴。
伏せしてるのに、俺の顔を舐められるとは、さすがの大きさだな。
「さあ父さん、後ろに乗って!」
さっそく跨った俺の後ろに乗る様に父さんに言うと、
「と……トールヴァルド…大丈夫なのか?」
おっかなびっくりだが、ゆっくりと跨った。
「もちろん大丈夫さ! さあブレンダー村の外れまで行こう!」
ゆっくりと立ち上がったブレンダーは、男衆の間をゆっくり歩いて抜けると徐々にスピードを上げた。
「父さん、しっかり掴まっててね。ブレンダー、マッハでGOGO!」
父さんが捕まってるかなんて確認してないけど、とにかく全力ダッシュを指示。
「うんぎゃーー! はやいはやいーーー! とめてくれーーーー!!!」
後ろに跨った父さんが絶叫していたが無視無視!
いちいち確認してる時間が勿体ない。
タイム イズ マネー だよ…て使い方が違うか。
結局、父さんの絶叫は村はずれまで約10分の間続いた。
ブレンダーって、前世の高速道路を走る車並みのスピードだなぁ…。
村の外れは、少しの草原とその向こうには深い森がある。
いつかは、あの森を開拓して畑とかにするのが、この村の目標。
元々はこの草原も村も森だったらしい。
何年もかけてコツコツと切り開いたんだとか。
そんな草原と森の中間地点に降り立った俺と父さんは、森を睨んでいた。
正確には、森の向こうにあるダンジョン塔からやって来るであろうモンスターを警戒して睨んでいた。
今はいつモンスターが出てくるか分からないから、ここら辺りに防壁を築くぞ。
実は着いた当初、父さんは白目むいて気絶してたんだけど、これは内緒ね。
よっしゃやるか! さあ精霊さん、またまた出番ですよ!
張り切って行きましょう!
防壁のイメージをねるねるね~るしてると、父さんが、
「大丈夫か、トールヴァルド。無理してないか?」
単に防壁をイメージするのに集中してただけなんだけど、目をつぶって無言な俺を心配してか、父さんが声を掛けてきた。
「ま~かせて!」
なので、子供らしく元気に返事をしてあげた。
なんて気遣いのできる子供なんだ、俺って!




