やべーじゃねーか!
あれから数十分。
魔素さん改め精霊さん達による、俺のエネルギーちゅーちゅータイムもやっとこ終了し、ようやく土の精霊さん達が仕事を開始しました。
目の前にはテレビでしか見た事が無かったあのドーム状のイグルーが、でででーん! と見事なまでに鎮座しております。
土製だから茶色いんですけどね。
うむ、これは秘密基地2号と命名しよう。
だけどこうなったら、ウッド・カモ柄とかに出来ないだろうか?
秘密基地なんだから、イグルーの表面をいい感じに緑色と茶色で斑柄に。
んで、やっぱ扉も欲しいな。
え~精霊さん方、こんな感じのイメージに改修出来ませんか?
ほっほ~簡単ですと? では、おねしゃす!
おお! うぞうぞと土が動いて付近の草も巻き込んで見事なカモフラ柄に!
土で作った扉もなんかいい感じだ。
蝶番みたいな細かい部品まで土で作れるなんて、マジ精霊さん凄ぇ!
耐久性とかはこの際気にしないとして、これからはこの完璧カモフラ・イグルーを俺のメイン秘密基地にしよう!
木で作った1号は撤収だな、撤収!
その後、数日かけ精霊さんと細部にわたり綿密な相談を繰り返し行い、秘密基地2号は改修に改修を重ねた結果、とうとう本日完成の日を迎えたのだ。
さあ、ご覧ください!
なんという事でしょう! あの森の中にぽつんとあった茶色一色の物寂しかったイグルーが、なんとカモフラ柄だけでなく見事なまでに草木で偽装された立派なイグルーへと変貌し、さらに屋内は地下2階地上1階にまで進化。なんと4LDKの立派な秘密基地へと変貌したではありませんか!
もちろん明り取り用の窓も、森の木々を巧妙にイグルーの表面に追加で設置して偽装する事により、その存在は目立たなくなっております。
さらに、誰かが地下に降りた際には、火の精霊さん達が自動で蝋燭変わりとなって明るく部屋を照らします。
換気のための煙突も、イグルーに付けられた木々で巧妙に隠されており、さらには風の精霊さんの協力により、地下でも空気は爽やかで過ごしやすくなっております。
って、これ前世の1ルームのボロアパートと比べると、もの凄く豪華に仕上がってね? ここなら、家賃8万円は取れんじゃね? まぁ、風呂もトイレも無いけど。
そもそも、誰にも貸さないけどな。
精霊さんは窓や煙突を通って勝手気ままににやって来ては、俺の周囲に集ってエネルギーをちゅーちゅーと吸っていく。
あんまり人前でちゅーちゅーすると、俺みたいに精霊さんが見える人がいたら困るので、この中だけでしてもらう様にお願いした。
神様から貰った便利グッズのガチャ玉は、当然この秘密基地2号に移動済み。
リビングに冷蔵庫の玉子入れる所みたいな丸い穴をあけた棚を作って、しっかりと並べて入れておいた。
変身ベルトは、その上の壁に掛けて飾った。
う~ん、やっぱこのベルトは格好いい(自画自賛)!
秘密基地2号の完成がはずみになったのか、俺の勉強意欲も急上昇!
特に面倒で読み込んでいなかった歴史の本も、この際隅々まで読み込んでがっつりとお勉強をした。
おかげで、この世界に生まれて5年も謎だった我が家の事が、結構分かって来た。
なんと我が家は、勲民家…つまりは貴族の一員だったのだ!
しかもただの勲民と言うだけでなく、どうやらその中でも上級なんだそうだ。
誰もが良く知る爵位で言うと、上級の勲民ってのは子爵相当って事らしい。
マイ・ダディーは、先の戦争で先陣を切り、敵の指揮官クラスの騎士? を3名も討ち取った、なかなかの英雄様だった。
元々は城付きの騎士で庶民だったダディだが、先の戦争でかなり頑張ったんだと。
そのご褒美…かどうかは知らんが、ママンと結婚したと同時に勲民となり、晴れてこの開拓地を拝領したそうだ。
って事は、16~7歳で敵軍に吶喊したって事か…凄ぇな…ダディ。
現在の領民は約百二十人ちょっと…って事は、俺ってお坊ちゃんじゃん!
だから誕生会とかで、いろんな人がペコペコしてたのかぁ…納得。
でも、もちょっと住民の数を増やしたいところだね。
さて、上級の勲民の貴族とはいえ国からの俸禄はそう多いわけでもない。
しかも心優しいダディーは、領地からの税収は国に治める分しか徴収してない。
普通の領主とかは、国に納める税収分プラスアルファを民から徴収して懐に入れているそうだが、真面目なダディーはそういった事を一切していない。
だからケチケチ貧乏生活なんだそうだ。
だが俺は、それに文句も無ければ不満も無い。
領民から愛される領主一家っていいじゃんか!
お金なんて生活出来る分があればいいんだよ。
前世の俺だって、毎月給料日までカツカツ生活だったしさ。
ところで両家の爺ちゃん婆ちゃんに、俺はまだ会った事ないんだが…生きてるの?
んで、村の事なんだけど、商店すらないマジで超弩級の田舎だ。
村の西から北側にかけては、アルプスの山々の様な山脈がででーんと聳えて居る。
いや、アルプスなんてネットとかでしか見たことないけど、山頂付近が万年雪で真っ白なんだから、そんな感じと思って間違いないと思う。
んで南側は、これまた山なんだけど…そう高くは無い。
標高が600mぐらいかな? 東京の高尾山ぐらいが近い感じ。
だが、その高尾山の周囲は未開拓の森となっている。
西も北も南も、山のその先は誰も行った事が無いんだって。
そんな山と森に囲まれた限られた平地にあるのが我が村だ。
北の山脈から常にそこそこの量の水が湧き出ており、それが村の中央を走る川となっていて、農業では大きな苦労しない感じ。
とは言え、まだ未開拓の森林地帯が続いているので、村の面積自体はそう広いってわけでもない。
危険な動物とかも居ないらしいので、村はとてものんびりしている。
ま、将来はこつこつ村を広げていかないとね。
目指せ、いつかは大都会!
あ~あ~果て〇ない~♪ って、それはクリ〇タルキングの大都会だっちゅーの!
誰もいない所での一人ボケツッコミって…なんか空しい…。
そんな風に日々勉強に勤しむ俺だったが、ある日の夜、自分の部屋で火の精霊さんの明かりの元でこっそりと本を読んでいたのを、とうとうママンに見つかった。
蝋燭も使わないで本を読める明かりがあるってんだから、そら魔法もばれるわな。
ママンは俺が魔法の天才だと狂喜乱舞…過去にも狂喜乱舞してた事あった気が?
子供の身体なんで眠い時間なんだが、騒ぎを聞きつけたダディーも飛んで来た。
んで、二人そろって魔法を使えと五月蠅いんで、いくつか使って見せると、両親の鼻息がめっちゃ荒くなって興奮しまくった。
いや…確かに色々と出来るけど、四大エレメントの魔法しか使ってないじゃん。
入門書にも数百人に一人は使えるって書いてたけど?
まぁ、俺は神に選ばれた男だから、魔法を使えて当然だけどね!(鼻高々)
え…? 数百人に一人ってのは数百年前の話?
今は魔法使える人は、数千人に一人いるかどうかだって?
だって、産婆さんとか魔法使える人を、俺は少なくとも二人は知ってるぞ?
え、領地を賜った時に、治癒の魔法が使える人が必要だろうって、国から紹介してもらった人? 元々のこの村の住人には一人も魔法を使える人が居ないだって?
マジっすか!?
あれ? でもそれって、やばいんじゃね? 国に報告? …そうっすか。
15歳の成人後は、王都でお勉強して城勤め? エリートコースなんですね。
うん、なんとなくそれはわかりました。
ところで王都って、どこですか?
なんやかんやと夜遅くまで話し込んでいたが、遠くでコルネちゃんが泣くわ、俺が船をこぎ始めたわで、その夜は解散となった。
将来の話はまた明日らしいが、今はどうでもいいや。
おやすみなさい。
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次の日の明方近く。
空がやっと白み始めた頃に、村をもの凄い地震が襲った。
といっても震度3ぐらいだと思うけど、とにかく家がグラグラ揺れて、食器棚の中の食器がガチャガチャって暴れた。
この世界にはほとんど地震など無いらしくて、村の人々は驚きのあまり我が家に一目散に集まって来た。
父さんが領民に落ち着くように言っても、あんまり効果なさそう。
まあ俺はいらんことは言わず、黙っていよう。
地震後の余震なのか小さい揺り戻しもあった。
だが村には特に大きな被害も無く、住民もだんだんと落ち着いてきたので、その場は一旦解散となった。
妙に精霊さん達がざわめいていたのが気になったが、俺はもちろん二度寝した。
いや、だって眠かったんだもん! 夜更かしさせられたし…。
この時俺は、まさかあんな物が出来ているとは思いもよらなかった。
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「今から領民をここに避難させるからな! 準備しろ!」
俺が目覚めた時、父さんは母さんにそう言い残して外へと飛び出していった。
慌てて後を追いかけ玄関から遠くに見える山を見た俺は、唖然とした。
見通しの良い村の先にある山の上に、なんと忽然と高い塔が聳え立っていたのだ!
一夜にして出現した塔…俺、これ歴史の本で見たことあるぞ。
あれってダンジョンだよな!?
確か歴史書にはこう書いてあった。
『ダンジョンは一夜に出現する。そして多くの場合、その出現時にはそこから溢れ出た魔獣によって起こるスタンピードが確認されており、その影響で付近の街や村などは壊滅する』
こりゃ、滅茶苦茶にやべーじゃねーか!




