80:真の悪役
温泉村計画は大いに盛り上がりイイ感じに進みそうだ。まさかカールさんもこの計画にのってくるとは思わなかったけど……。
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フェリ様が深刻な顔をして私達に声を掛けたのはその翌日だった。
なんでもザイル王国の現状で話をするべきことが出来たとか。
イヤな予感がするわ。こういう時の感は当たっているのよね。
ゲンナリしながらフェリ様の執務室に行くと同じくゲンナリした人達がいたわ。
フェリ様にマキシ、ヘルマンさんとディートリヒさんの側近ズもいる。
「皆様、お集まり頂きありがとうございます……。
先にご連絡させて頂いた通り、ザイル王国の現状についてお話をさせて頂きたく……あぁ~」
フェリ様がちょっと壊れ気味。
何があったんだよ、ザイル王国!
「えぇとね、」
「シャーロット、光の精霊達、久しぶりだにゃ」
フェリ様の発言に被せて声を掛けてきたのは猫神様眷属の最終兵器と言われる導師スカーレット、通称レッド様だ。眷属達の紅一点、前世であれはラグドールだったかな?そう、そういう可愛らしい容姿なんだがその、かなり凄いらしい。
私はただ、“凄い!”しか聞いておらず、エピソードも教えてもらっていないので何がどう凄いのかは知らないけれど。
「レッド様お久しぶりです!」
「「お久しぶりです!」」
「そこの人間達も、ヨロシク。今回はワタクシも力添えをしますにゃ」
力添え……とは?
「「「「ヨロシクお願いします!」」」」
圧が凄い……マキシ、フェリ様、側近ズもレッド様の青い瞳にジッと見られてタジタジである。
「いえね、ザイルの話でしょ?
粛清しなければならないにゃの。まったく、邪神の欠片に手を出しやがって……」
不穏な話になってきました……。
レッド様はイカ耳になっておられます。
「ちょいちょい、改心の機会を設けてやるという慈悲を与えましたが、もう駄目にゃの。
仏の顔も3度まで、猫神の顔も3度までにゃ!」
「と、言うわけで準備を整えたらザイルの粛清を行うにゃよ」
「えっと、このメンバーで?」
マキシがこの圧の中で質問。
「そう、勿論よ。今回はかなり面倒なのにゃ。
国の中枢までが粛清対象ですから。亜神はまだまだヒヨッコ亜神だし、色々と学びなさいにゃ」
「はい」
マキシ……。まさかの亜神教育があるなんて。
フェリ様と側近ズが心配そうにマキシを見ています。
私も心配。
シマ社長とモモ先生は……引いてる感じがする。
「シャーロットの元クソみたいな婚約者を奪ったナントカ=ドハーティ公爵令嬢なんていたにゃ?
ドハーティ家は元々ザイル王国で興った家でにゃ、
王家と縁戚になって高い地位に上がったの。
今の当主がかな〜り野心家でにゃ〜、
王に成りたいみたいで、邪神の欠片を集めやがったね」
また邪神の欠片かぁ……。
「周りを操ってるにゃ。このままでは無辜の民が犠牲になってしまう。粛清よ、粛清が必要にゃのよ!」
「レッド様、ドハーティ公爵家でマトモな方はおられないのですか?そんな方がいらっしゃれば先にお助けしたほうがいいかと考えるんですけど」
「フフ、朱に交われば赤くなるのよ、シャーロット。助けが必要な者などいなかったわ」
レッド様はキリッとしたまま、その手はフカフカのひざ掛けにあった。アレ、めっちゃ肌触りがいいんだよね。無意識だろうか、フミフミし始めた。
ううっ、平和な話をしていたら、このフミフミの光景も幸せに見ていられたのに……。
「ドハーティ公爵と、公爵令嬢は特にアレだわ。
公爵令嬢なんかは従兄弟のヴァレンティーノ王子と結婚した後、王子を排除して自分が女王になる気にゃ」
「……レッド様、もしかしてフリーデル王国のドハーティ公爵家も邪神の欠片に操られていたんでしょうか?」
「いいえ、フリーデルの方は小物よ、小悪党なだけにゃ。勿論、ザイルの本家のドハーティ公爵家から第2王子を婚約者から奪えとは言われていたようですけど、本家から邪神の欠片を与えられる程、重要には思っていなかったようにゃの。
今の没落は自ら招いたことにゃから放っておけばよいのよ」
——ザイル王国へは3日後移動することに。
フェリ様や側近ズは準備に走り、マキシも調整に。
私の廃村計画はザイルから戻ってからとなった。
おのれ、邪神の欠片め!




