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75:千里眼(小)と破天荒

パーティーの翌日。

皇宮の1室にて、リカルド様とエミリア様、フェリ様、マキシと私で話し合いをすることとなった。

私も呼ばれたのは、ワイン掛けのこととか、囚われていたリカルド様の今後のこととか、その辺りのことでだろうか?


部屋に入ると、エミリア様が私の元へ駆け寄る。

「シャーロット様、折角の婚約パーティーに水を差してしまい、大変申し訳ございませんでした」

深々と頭を下げていらっしゃいます。

 

「その上……ワタクシ、シャーロット様が猫神様へ

頼んで下さったお陰で、リカルド様をコチラへ送って頂けたと伺いましたの。

感謝しても感謝しても足りないですわ」

瞳が潤んでいるエミリア様。

やっぱり事情があったのですね。

「リカルド様をお助け出来てよかったです」

私は心から喜んだ。

 

「シャーロット様、先にお二人に伺っていた話を致しますね」

フェリ様が説明してくれた話はこうだ。


リカルド様は……リカルド王子で、ザイル王国の第2王子。エミリア様の婚約者。

アダルベルト皇国からの留学から帰国した後、

第1王子派閥の者から命を狙われていたそうだ。

毎日死を覚悟する場面に遭っていた為、ヘタをするとエミリア様に危害が……と心配したリカルド王子は、エミリア様の安全を思い、婚約破棄するといった主旨の手紙を送ったそう。

これが4年前のこと。


一方で王に相談するも王子を取り巻く状況は芳しくなく、王子を護衛していた近衛が相次いで重傷を負う事態に陥った為、やむを得ず王城を脱出。

リカルド王子の母方の親族達の家々にて匿ってもらったそうだ。

 

それが1ヶ月前、何とか状況が改善したと王から秘密裏に連絡を受けた。

早速王城へ向かう道中、捕まってしまったそうだ。

因みに王子を捕まえた相手は分からないとのこと。

だが、動機があるのは確実に第1王子派閥。


「王からの手紙は間違いなく本物でした。

そうなると王の近くに間者がいるか、罠にかけるために仕込んだか、或いは両方でしょう……。

 

……何故、私が1王子派閥に命を狙われているかというとですが、まず、私と、第1王子のヴァレンティーノは異母兄弟なんです。

兄はドハーティ公爵家、私はファルネーゼ公爵家の出の母をもちます。

ドハーティ公爵家の現当主は野心家で、ヴァレンティーノを王にしたかったんですが、あの人、素行に問題があるんですね。

 

その為に、本来長男が王太子になるところ、私の名も次代の王候補として名が挙がってしまいまして……。

邪魔になった、恐らくそれが理由です」


……苦労されたんだね、リカルド王子。

だけど他国の後継者争いに首を突っ込むのは問題がある。


「リカルド王子、今ザイル王国の状況を調べていますので、暫く当家で英気を養って頂ければと思います」

「フェリックス皇太子、ありがとうございます」

 

「じゃあ、次はエミリア。僕とは幼馴染なんだから相談してくれたらよかっただろうに。

それにウチの兄様にも相談しなかったようだね。

こんなに頼りがいのある方なのに!

エミリアは残念な人だね」

プクッと膨れ顔で言うフェリ様は可愛らしいのだが、マキシは彼の推しのようなので、ガチに言っているのか、冗談なのか判断に苦しむ。


「そうですわね……そうしたらよかったかもしれません。

ですが、お父様に相談した際にザイル王国に関わるなと言われてしまいまして。

だから、フェリ様にもマキシお兄様にも聞いてもらえないかもと思い込んでしまったのです……。

 

……ワタクシ、実は千里眼のスキルが小レベルながら使えますの。とは言っても私が見たいと望む人の現在が偶に見える程度ですが。

そのスキルでリカルド様の現在を拝見させて頂いておりました」


あぁ、それでリカルド王子が大変な目に遭っていたのが分かったのね。 


「はじめは、ワタクシがお父様に我儘を言ったら仕方ないと助けて下さる、そう考えていたのです。

ですが一向に聞いて頂けなくて。

こうなったらワタクシが残念な淑女として家を追い出されたら、良いのでは?と考えたのですわ」


私もマキシもフェリ様も困惑顔が隠せなかった……。

そのやり方では無理だよね。

思うにリンガー公爵はエミリア様の身を案じてザイル王国に関わらないように言っていたと。

エミリア様中々破天荒な方ね。でも、凄く行動力がある。


「ワタクシが困っていたら、淑女の皆様が応援して下さいまして、心強かったですわ」


聞けば“悪役令嬢のフリ”をしていただけで、その後のフォローはシッカリしていたのだそう。

前もって話を通すと、演技かかってしまうから事後フォローにしていたのだとか。

辺境伯との婚約破棄も、当人同士では(秘密裏に)円満解消だったそうだ。


*******

 

——その後話し合いは事実確認だけで終わった。

フェリ様は眉間を揉みながら、

「色々と頭が痛いです……」

と、公務に戻っていった。


「疲れた時は甘いものなのぅ~」

そう言いながら小さなお手々で私の頬をナデナデしてくれるモモ先生。

今日は沢山甘いものを食べてやる!と私は決意したのだった。

 

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