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72:婚約破棄される悪役令嬢

彼女達凄いわね!

悪役令嬢とその取り巻きがやる嫌がらせの一つに、ワインをヒロインに浴びせるやつ、あるでしょ?

あれって、かけてくる人って基本1人だけなのよね。

エミリア嬢with取り巻きズのなにが凄いって、全員よ、全員!ワインかけてきた人!


ワインかけを団体芸?にしてくるなんて、そこいらの悪役令嬢とその取り巻きとはスケールが違うのよ。

私が内心感心していると、ツカツカやって来る人々あり。またか……囲まれてしまっている……。

どうやら彼女等の親族と、近衛の皆様。

あぁ、折角のパーティー、こんなことで悪目立ちしたくなかったよ。

もうこうなると穏便に済ませなくなる。


でもどうしてこんなコトしたのかしら?

だって評判が悪くなっちゃうの目に見えているでしょう?

彼女等の行動がよくわからないわ!


「エミリア!なんでこんなバカなことやった?

お前は未来の皇子妃様に失礼な真似を!」

リンガー公爵が鬼の形相でエミリア様に詰め寄る。


「なら、是非勘当してくださいまし」

ワインをポタポタ頭から垂らしながらエミリア様は言う。

取り巻き令嬢達もエミリア様の発言になんの驚きも見せない。

やっぱり何か理由があるんだ。

勘当されたい様子だし、もしかしてあのワインかけやらあんな失礼な態度やらは演技だったりするの……?


◇◇◇◇◇◇◇

 

【マキシの回想と今〜エミリア嬢】

 

あれはルビィ村に行く前、4年前位のこと。

エミリア=フォン=リンガー公爵令嬢と云えば社交界の華だった。

それは、美しい赤い巻き毛が彼女の迫力のある美貌にマッチしていて、憧れたご令嬢達がこぞってマネをする程。

 

だから、当時アダルベルト皇国に留学に来ていたザイル王国の第2王子リカルド=フォン=ザイルに見初められ婚約者になったのも当然のことだった。

あの頃のエミリア嬢は幸せに満ち溢れており、人格者で周りにも大変好かれている、王子妃に相応しい淑女だったのだ。

 

それがリカルド王子が卒業し、ザイル王国へ帰国してから直ぐ、一方的に婚約破棄されてしまった。

事実を受け入れなられないエミリア嬢はザイル王国に行き、リカルド王子に会おうとしたがリンガー公爵に止められ徐々にお騒がせ令嬢になってしまったのだ。


はじめこそ婚約破棄のショックだろうと大目に見られたがお騒がせ度がアップしていく。

招いていないお茶会へ取り巻き令嬢達と突撃してみたり、護衛も付けずに王都の宝飾店を次々に周ってみたり。

婚約者がいる同級生の縁談も壊したことがある。

そうして最後には私の婚約者候補達に候補を降りるように働きかけたことでリンガー公爵がとうとうぶち切れた。

無理矢理アダルベルトの辺境伯家に嫁がせようと画策。準備をしていたが、彼女が辺境伯の不興を買ってしまい、婚約は白紙になった。


今では“悪役令嬢”と言われているとか。

婚約破棄も2回されてしまったし、皆が腫れ物のように扱っている。自業自得なのだ。

自業自得なんだが……。


個人的にはリカルド王子が婚約破棄するのは納得いかなかった。

彼は真面目な性格で王族の責任をよく分かっている人だったから。

何よりエミリア嬢の事を本当に愛しているのは見たら分かったから。


遠縁とはいえ、かつてはフェリの幼馴染として妹の様に接してきたエミリア嬢を放っておけず、話をしようとしたこともあったが、頑なに真意を告げてくれず。

3年前、ザイル王国の式典に出るついでにリカルド王子と話をするつもりであったがそれは叶わなかった。


そして今確信する。エミリア嬢は未だにリカルド王子のことを信じているのだ。

勘当され、ザイル王国へ行くつもりなのだ。

その為には地位も名誉も捨てる覚悟なのだと。

 

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