58:プライベートな歓迎会
プライベートな歓迎会。
字面から感じるでしょ?
そこはかとなく肩が凝りそうな感じが。
凄い偉い人に会いに行くのは緊張しぃの私にはハードル高い……。あ、また胃がキリキリしてきた……。
追い“キュア”と“ヒール”をかける私。
案内されたのは王族のプライベート区域の客間だって。
ひっろぉ~いんですが、私が知っている客間は日本のお家の一般的なあれだ、あの広さ。
少人数のダンスパーティー開けますやん。
そんな所に通されました。
……そこには金髪の美しい人達が待っていました。
満面の笑みのアダルベルト皇国の皇帝夫妻、マキシとフェリックス皇太子の妹さんのケイトリン皇女。
幸いな事に今まで王子妃教育で繰り返した練習がさっと出てくれて挨拶もカーテシーも完璧に出来た!
内心涙がちょちょ切れそうだ。
自分を褒めてあげたいです!!
私よくこんな緊張しぃで王子の婚約者やってたな、凄いよ…
「シャーロットさん、そんな堅苦しくなさらないで。貴方は私達の大切な恩人なんですから。
ほら、顔を上げて下さいな」
言葉をかけて下さったのは皇妃様。
「そうですよ、楽になさって!」
私の手を取ったのは笑顔のケイトリン皇女。
「私の事はケイトって呼んでね!」
「そうです、公の場ではないので心配しないで下さい。いつものシャーロットさんで大丈夫ですから」
と、マキシも笑顔だ。
『助けて下さい、シマ社長、モモ先生』
『どうしたのぅ~?完璧な余所行きシャーロットになれてるんだから、大丈夫だよぉ~』
『何なに?どうしたの?』
『緊張で作り笑顔の頬が攣ります……。
だって、凄い大国のお偉いさん方に私単体で会ったの初めてなんだもん!』
『この人達より余程雲の上の方々にお会いして平気なのに何で?』
『えっと……』
『嘘でしょ?セラフィーナ様(声のみ)や、猫神様とか眷属様とかだよ!!』
『あ、家族みたいに思ってたからその、意識に無かったの、緊張してなかったの』
『あぁ~そういうこと』
◇◇◇◇◇◇◇
【その時天界にて】
そこには猫の手で日々の仕事に大忙しの猫様達が、休憩中。みんな肌触り抜群の毛布に転がっていた。
『はっ!今シャーロットが私達のコトを家族みたいって言ったニャ!!』
『本当ですニャ?猫神様?!』
『本当ニャ……あんなに小さい頃から見ていたかわいい子に言われると……うれしぃニャアン』
側にあった毛布をふみふみしだす猫神様。
眷属達も一斉に毛布をふみふみふみふみ……。
これはもう、今日はずっと毛布ふみふみ職人だ。
◇◇◇◇◇◇◇
『そうね、猫神様達とも仲良くさせてもらって……あんな凄い方々とも話が出来るんだし。
私、腐っても聖女なんだから、もう一度気合を入れて頑張るわ!
愚痴を聞いてくれてありがとう!』
私の顔は笑っているけど、心はシクシク。
そして更に追い“キュア”と“ヒール”を自分にかける私。
カラカラに渇いていた口の中は潤い、上がりかけた胃酸は引っ込んだ。
心臓もバクバクいっていたのが、落ち着いた。
おっしゃあ!!頑張るで!!
「シャーロットさん、マキシを元に戻して下さり、本当にありがとうございます。
私達ではマキシをもう何十年も先ではないと助けてあげられなかったと思います。
あなたにはどんなに感謝の言葉をお伝えしても足りないですわ」
皇妃様の目からはらはらと涙が零れる。
ケイトリン皇女もポロポロ涙が零れている。
—困って視線を上げて見ると、皇帝も涙を零している。
仲の良い家族なんだわ。こんな良い家族の元にマキシを帰せて良かったわ。なんだか嬉しくて心がポワポワ温かくなる。
緊張して強張っていた身体も緩んできた。
「トンデモナイです。殿下を助けられて良かったです」
「みんなを心配させてしまい、すみません。
図らずも亜神になった私ですが、今後は陰ながら国を支えさせて頂きます。
シャーロット嬢のお眼鏡に適う廃村が見つかり次第、そちらに移り住むつもりですが、何かあれば何時でも伺いますので宜しくお願いしますね」
マキシは綺麗に一礼すると家族を見渡しながら満面の笑みを浮かべていた。




