53:砦の解放へと忘れてた面倒事①
あれから私達はそれぞれ浄化をかけまくった。
辺境伯邸広すぎだ。操られている人を探してずっとウロウロしたよ。
こんなにも歩き回ったのだ、今夜は暴飲暴食をしてもよかろう!さぁ、何を食べてやろうか?!
辺境伯執務室前に着くとマキシ達一行に会った。丁度同じ位だったのね、浄化。
3人は疲れた顔をしている。
「終わりました?」
「終わりました」
「沢山対象者いたんですか?」
「いました…」
「いましたか?」
「いました…」
おのれ、邪神の欠片!えれぇ目に遭ったぜ!
この瞬間、私達の気持ちは同じだったハズ。
こんなにも疲弊したけど、まだ、終わってな〜い!
砦の村人達を解放してあげなきゃ…。だけど、疲れたぁ~。
執務室の中にはウスターシュさん、オレリア夫人とヴィクトル様、コリンヌさんがいた。
皆ほわほわしていて楽しそう。目線の先にはモモ先生。さてはモモ先生を愛でていたな!
いや、いいんだよ、いいんだけどさ。
「「ズルイぞぉ!」」
モモ先生に駆け寄る辺境伯とギルド長。
何?何なの?2人はモモ先生の目の前に陣取った!
呆気に取られていると、オレリア夫人がくすくす笑い出した。
「本当に2人共可愛らしい生き物がお好きね。…モモ様、そこの2人は威圧感のある風体で御座いましょう?生き物を愛でたくとも逃げられてしまうのです。でも、初めて逃げられなかったから、高位精霊のモモ様に甘えて近くに寄ったんですのよ。お許し下さいね」
「ばか、バラすな!」
「そうともよ、夫人!」
おじさん2人は照れている、顔真っ赤だ!
…あれ?何だろう?さっき迄疲れ切って、でもやる事まだあって、心がささくれた気持ちだったのに。
癒されている私がいます……。尊……。
導師トラとシマ社長は顔を見合わせると、モモ先生の隣に並んだ!ニマニマしとるな、さては確信犯。
間近で見て瞳がキラッキラのおじさん2人。
なんだよ、かわいいか!?
「サービスだ、触ってやるにゃ」
おじさん2人の手にタッチする導師トラ。
「じゃ、ボク達もタッチ」
モモ先生とシマ社長もおじさん2人の手にタッチした。
「一生手は洗いません!」
「同じく!」
オレリア夫人とマキシ以外サッと一瞬引いた表情をしたのを私は見逃さなかった!
マキシは流石王族、こういう時の表情管理は完璧。
「手は洗うべきにゃ!不衛生にゃ!」
おじさん2人のおでこにキュッと肉球を押し付ける導師トラ。
「分かったにゃ?」
「「はいっ…」」
ちょっと残念だけど、肉球でキュッとしてもらって嬉しいという複雑な顔をしている。
「砦にそろそろ行きましょうか?」
爽やかな笑顔のマキシ。
そうだね、遅くなっちゃうし、そろそろ行かなきゃだよね。
◇◇◇◇◇◇◇
砦への秘密の抜け道はこの辺境伯邸にいる精霊さん達に教えてもらっている。
1階厨房横の倉庫に繋がる廊下の途中。
壁を7回ノックするとロックが外れ、隠し扉が出てくるのだ。
砦への道は地下に導かれ続く。石造りの壁や天井はひんやりして……真夏に涼むのはいいけどね、って感じ。
結構道は長い。辺境伯邸と砦まで直線距離5キロ程歩いただろうか?道の終点だ。
行き止まりの壁が出てきた。同じく壁を7回ノックしたら、隠し扉がご登場だ。




