52:組分け浄化作戦②
【マクシミリアン・トラ導師・ブラン辺境伯組】
導師トラはマクシミリアンの肩に乗った。
ブラン辺境伯はちょとマクシミリアンが羨ましい。
(俺の肩にも乗っていただきたいなぁ)
辺境伯はガタイのいい、強い男!って言う感じだけど、その実カワイイものが大好きだったりする。
だが、その辺の動物には怖がられて懐いてもらえない哀しい人なのだ。
猫なんてシャーって言って逃げて行くし。
犬は50メートル先からガクガクと震える。
馬は幸い何とか大丈夫。鳥は、逃げた。
(精霊様方と導師様は逃げずに話して下さるから)
エヴァンスギルド長も実はカワイイもの好き仲間だから、カワイイ存在に相手をしてもらえて嬉しいのだ。
さて、羨ましがられてるとは露知らずのマクシミリアンはさっき導師トラに耳打ちされた事を思い出す。
「マクシミリアンならシャーロットを幸せに出来るにゃ」
…導師トラには気持ちがバレている気がしていた。度々意味ありげな視線を向けられた事があったから。でも、長らく皇太子の立場にいたから表情を取り繕うのは朝飯前だったのに。ところで気持ちは何人にバレてるだろう?シャーロットには幸いバレてないようだけど。
いや、彼女ならただ鈍感という可能性もある…。
◇◇◇◇◇◇◇
辺境伯の案内でやってきたが、かなりスムーズに来れた。幸い今のところ操られている者がいなかったのだ。件の団長執務室の場所は広い領主邸の北側、領軍の建物1階だ。
1階には他に食堂や大浴場、会議室があり、2階は
交代勤務の者の部屋がある。
近くの訓練場から複数の声が上がっているので多くの兵士は訓練中だろう。
これまでの傾向をみるに、声を上げる=操られていないとなるので一先ずセーフだ。
とはいえ、あの面倒臭い邪神の欠片が相手だと思うと、時間の問題なので油断は出来ない。もし、操られていたら、今日休みの者まで合わせ、領軍兵士全員の浄化は骨が折れる―。
同時にその事に思い至った3人は内心でため息をついたのだった。
ところで例の団長の執務室の近くのようだ。辺境伯がマクシミリアンに振り返り、止まるよう手で合図を送る。
執務室の前には虚ろな顔の兵士が2名立っていた。
これは想定内である。
「声を上げられると面倒にゃん!」
マクシミリアンに小さく耳打ちする。
途端に膝から崩れ落ちる兵士2名。
念の為導師トラは兵士にスリープをかけた。
マクシミリアンは兵士2人が完全に倒れる前にササッと抱え込んだ。音もなくちょっと離れた部屋に転がすとホーリーをかける。
「部屋には団長しかいないにゃん」
「私が先に中へ入りましょう」
「ならばブラン殿に念の為付与を」
マクシミリアンが辺境伯にホーリー・アーマーをかける。
「有難う御座います」
直ぐ様団長執務室に入る辺境伯。邪気が漏れ出ている。
(にゃ?亜神様のホーリー・アーマーなら、直接団長にホーリーかけなくても、)
ガッシャーン
何があった?とマクシミリアンが執務室へ入ると、団長が倒れている。邪気も消えている。胸元のブローチが壊れている。今回はブローチタイプだったのか、邪神の欠片。
一方、辺境伯はあわあわしている。
「私はまだ、何もやってません!」
辺境伯は困惑している。
「あぁ~、思った通りにゃん。マクシミリアンは亜神様だから浄化の力が強かったんにゃ〜。ホーリー・アーマーで即浄化にゃん!」
「私は抵抗する団長を捕まえたりだとか、一筋縄にはいかないものだと思っていました…」
「弱体化した小粒の邪神の欠片と力のある亜神とじゃ力の差は歴然にゃ」
団長はとりあえずこのまま転がしとく。
他に操られている者はいないか確認が必要だ。
「一応、訓練場見てきましょうか…」
皆、力なく笑った。




