46:砦へ!
私、始めて砦に来たんだけど、観光スポットにしていいくらい凄く迫力があって大きな建物なのね。
前世の万里の長城みたいに長くて(あれほど長くはないけど)石造り、砦の上の見張り台には各所に結界発生装置と何かの構造物が等間隔出配置されている。
辺境伯様の話では構造物は武器だとか。
砦の門や緊急用の出入り口は固く砦の内側から閉じられており、開けることが出来ない。しかもミスリル含有の高硬度なものだそうだから壊すことも出来ないのだ。
過去スタンビートが魔の森で何度も起こったことによりこんな万全の造りになったそうだけど、まさかそれが裏目に出るなんて考えもしないよね。
―そんなこんなで砦が乗っ取られてから早5日。村人は未だに投降しない。人質から解放された家族を見せても変わらずだった。なら、なにか理由があるハズだ。
さて、目眩ましのコートを着たマキシは自身にハイドを掛けた。これで任意の人間以外マキシは見えない。
飛行魔法でフワッと砦上まで上がると結界の中に入っていった。
砦下では辺境伯様とエヴァンスギルド長が見守っていた。
一方の"ロシナンテ"の私も目眩ましのコートを着ている。フードも頭から被っているから大丈夫。
私の両肩に乗っているシマ社長とモモ先生は私の守りを固めている。
「今からワタクシ、ロシナンテが、怪我人にヒール掛けます!」
ちょっと声を低めに作りながら周りに呼び掛ける。
ワラワラと私の周りに怪我人が集まってくる。
「エリアハイヒール」
見る間に怪我が治っていくさまは何度みても不思議な気分だ。
わぁーっていう歓声が上がり、今日も治せて良かったなって思った。その後も何人か怪我人が出てきた為、ヒールを掛けていった。
砦攻略で来ていた全ての怪我人を全員治すと、
ふと、視線の端に年老いた女性の姿を見つけた。
砦なんて危ない所に来るくらいだ、例の村人の家族かもしれない。
声を掛けようと歩み出したところに、見覚えのある長身の影。
「マキシ、おかえり!」
「ただいま、シャ…ロシナンテ。」
「何かあったぁ〜?」
「えぇ、モモ様。あちらでお話しましょう。」
近くに誰も居ない、砦前広場の端に移動すると防音の魔導具をエヴァンスギルド長が使った。
「盗聴の心配はこれで大丈夫です。」
「えぇ、有難う、エヴァンスギルド長。
早速本題ですね。砦の村人の話です」
マキシは少し難しい顔をする。
「様子をみていたが、村人達は皆、操られている様子だ。シマ様とモモ様が偵察された時はまだ村人同士の会話があったそうだが、今は何の会話もない。表情も虚ろだ」
「もしや、やはり邪神の欠片が?」
「そうだと思われるが欠片を持つ者がいない。誰かの出入りはなかったのだろうか?」
「それか隠し通路とかあったりしますか?
ほら、古い建物だとあったりするそうですし」
「隠し通路…可能性は、ある。だが、私は知らないのだ。辺境伯は兄が継ぐ予定だったが、その兄と父が事故で一緒に亡くなったからな。引き継ぎがないことがあるとは充分に考えられる。とはいえ、隠し通路を家臣の誰もが知っている訳では無い」
辺境伯様が青い顔をしている。
だって、隠し通路を知ってるなんて家臣の人を含め身内の可能性がある。
「マクシミリアン殿下、シマ様、モモ様、皆様方なら邪神の欠片を持つ者は直ぐにお分かりになりますか?」
「テオドール君、大丈夫だ。僕達が手分けして該当の者を探し出そう」
シマ社長が片翼を広げ胸を張るとモフッとなった。
モモ先生も小さなお手々をグッとあげる。
「「ぐふっ!!」」
「どうしたんですか、辺境伯様、エヴァンスギルド長?!」
「いや、何でもない(精霊様方が)」
「そうだ、大丈夫だ(可愛かったからなんて言えるかぁ!)」




