4:呪われた廃村
お姉様方の話に耳を傾ける。
「アンタ知ってる〜?呪われた廃村」
「イヤ、怖い話はしなくていいって!苦手なのよ!」
「ちょいとお待ちよ。聞きなって。皆西の方には行かないことの理由、知らないだろ?自分の為にも聞きな」
「そうよ。アンタ、こっちに引越してきたばっかりだろう?知っとかないと」
最近この街に引越してきたお姉さんに別のお姉さんが危険スポットを教えてるとこみたいね。そういう情報は大事だよね。
ーしかし、呪われた廃村。ゲームとかだとお宝があったり、何かのイベントがあったりするよね。ちょっと気になる。
お姉様方がデカヴォイスで廃村の話をしていたから、周りも聞こえたみたい。他のテーブルのお客さんも釣られて話し出した。
「ルビィ村は変わらずだな」
「あぁ、お前はこっちは久しぶりだったな。そうなんだ、この前あの村でアダルベルトとザイルの魔導師合同浄化があったんだけどよ、まぁ、進展無しだ」
「例の1年1回あるやつだろ?呪いが強くてちょっとしか浄化出来なかったって儂も聞いたぞ」
「あの辺りは魔力溜まりもあってちょっち危ないところもあったが、良い薬草が沢山採れてたのになぁ〜」
「呪われたら敵わん、行くのはやめとけぇ~」
作業着のオジサンと冒険者風情の若者が話している。
呪われた村はルビィ村というらしい。
この世界で言う廃村と呼ばれる基準は、完全に住人が全ての所有権を放棄、領主も管理を放棄した村であることだ。
良い薬草かぁ……
売れそうな物は家出する時に持ってきたけど、もしもの時用にとって置きたいから金策したかったんだよね。
幸い聖女活動していた時にポーションは大変よく(涙)作ったから、金策にはもってこいだ。
薬草は西の森周辺で採取して、廃村を拠点に暫くポーション作りをやっていったら……イケるやもしれぬ。
「2人はどう思う?」
「「?」」
1年に1回をこの前したなら、魔導師とか暫く来ないだろうし(ウッカリ鉢合わせると何か恥ずい)、廃村だから家も水場も畑跡もあるだろうしー。
呪われて住めないなら、私が浄化すればいい。
その廃村で暫く住みながら金策して、アダルベルトへ行くことにしてもいいかも。廃村の関係者は無料で解呪されて嬉しいだろうし、私も無料で場所を借りられてラッキー。Win-Winじゃないか。
「廃村に住むってこと」
「あとちょっとでアダルベルトじゃないか。廃村なんかに住まなくていいだろ?」
「いやぁ~、金策がしたいんだよ。アダルベルトに行って、直ぐ職が見つかるかわからないし。あの国のことは外交に関する事なら多少知ってても庶民の事については知らないからね。アダルベルトの何処を拠点にしていくか、ってのもあるし」
「確かに色々情報集めた方がイイよねぇ〜。動き出すにもお金がいるよねぇ〜」
「うん。あたしゃ、老後は悠々自適に暮らしたいから、今のところはムリの無い程度に働くさ!」
暫くつぶらな瞳を瞑っていたシマ社長が目を開き私をジッと見る。
「廃村、行ってもいいけど、ヤバかったら何もせずに出るよ。やっと地獄から脱出できたのに、新たな地獄に飛び込むなんてマネしないこと」
「勿論です!」
こうして廃村に訪問する事が決まった。
決まったケド場所が曖昧だよな。
お姉様方にさり気なく話しかけてみるか。
「こんばんわ、お姉様方。私、ここに引越てきたシャーロットって言います。さっき少し聞こえたんですけど、廃村があるんですか?場所を知りたくて」
「こんばんわ、シャーロットさん。アタイはこの宿場街で食堂をやってるミラっていうもんさ。機会があれば食べに来とくれ」
「ミラの食堂は直ぐそこだよ。困ったことがあったらお互い様、声掛けておいで」
「有難う御座います」
皆優しい。いい街っぽいな。
居酒屋の中で飲んでる人達もほんわかしたノリで治安も良さげである。
「えぇと、廃村だったね。場所はここから西の方に30分行ったところにあるんだ。呪われちまってね、あの辺りは誰も近づかないんだよ。ウチの国の聖女様はまだ10歳で危ないからまだ浄化に参加出来なくてね。代わりに魔導師様達が浄化に行ってるけど、まだまだ浄化しきるにはかかるって話さ」
何とこの国の聖女活動はホワイトなのね!
私は10歳には危険な浄化に連れ回されとったっちゅうに!
「そんな危ないとこなんですね。ところで、何で呪われたんですか?」
「詳しいことは分からないらしいが、アダルベルトの貴族と村人が呪いに巻き込まれたって話だよ」




