閑話:滅びの最終楽章
突如として奇怪な髪型に…
女神神殿の神殿長、神官でシャーロットをこき使ったり、聖女準備費を横領した者達。
その者たち全て頭頂部の毛がN字のようにハッキリとしたクセ毛になり、刈り上げられた頭。N字の剃り込みも入っている。
それらの者達は何でこんな髪型になったのか分からない。
だが、クセ毛の段階では(王族もそうなっていたので)気にしない方向だった。
何なら高貴な自分らに現れた印、すげぇだろ?って位に思ってた。
ただ、刈り上げ姿は無いと流石に思った。もしかして、いい印じゃないかも?、と。
「理由は分からないのか?!」
神殿長のケンキンスキー3世は声を上げる。
取り巻きの神官達もケンキンスキーと同じ奇っ怪な髪型だ。彼等も理由が分からず首を横に振った。
神殿の書物も調べたけれど、わからなかった。王家の禁書庫にも手掛かりは無かったそうだ。
あぁ、頭が痛い。
ケンキンスキーは頭を抱える。
こんな髪型で人前に出たくない!カツラも用意させたけどコイツも被ると直ぐ様刈り上げ姿になるのだ。
これはもう、何らかの意思が働いているに違いない。
聖女シャーロットからの呪いも考え解呪も試みたが空振りに終わった。
まさか、いや…。信じられない。
とある可能性を否定したい。
鑑定すれば手掛かりが見つかるハズだ。
「神殿長様、鑑定士が来られたようです。」
極秘裏に呼んでいた最上級の鑑定のスキルを持つ者の来訪だった。
◇◇◇◇◇◇◇
鑑定後、絶望の静寂が辺りを包む。
「嘘だろ…」
「どういたしましょう、神殿長…」
鑑定結果は"猫神様の神罰"だった。
「一先ず赦しを請うため祈祷を執り行うぞ。御供え物はいつもよりも豪華な物にしろ。準備が出来次第開始だ」
神殿長のケンキンスキー3世は心の中で悪態をつく。
(思えばあのアホ第2王子のせいで、色々と面倒な事になったんじゃないか。
アイツめ!)
(そもそも、何の権限でシャーロット=オブ=ウェストン伯爵令嬢の聖女の称号を剥奪するなどと宣言したのか。
貴族どもからの献金に多いに役立っていたのに!
令嬢が居なくなったから、献金額が大幅に減少したんだぞ!)
(おまけにビアンカ=デ=ドハーティ公爵令嬢を代わりに聖女にするだと?!
第2王子なんぞに聖女の任命権があるわけなかろうが!)
(そもそも、公爵令嬢は魔力も少ないし、深爪の痛みくらいしか治せん、まったく神殿には役立たず。
筆頭聖女の代わりなんかなれようか?!)
イライラしているうちに祈祷の準備が整った。
同じ刈り上げ姿の神官達と祈祷の間に着いた時だった。
「にゃあぁぁぁぁん!!」
耳を劈くような猫の鳴き声が聞こえた。
「まさか!」
「(毛根が)滅びの最終楽章―。」
前にも聞いた声で囁きが聞こえた!
目の前の神官達の周辺には髪の毛がファサッと散らばる。
ツルッ。ピカッと。光が眩しい。
ハゲ散らかした末にN字型に頭頂部の毛だけが残るという奇抜な髪型だ。
(あぁ、きっと私もあの髪型になっている―)
視線を落とせば自分の周りにも髪の毛がファサッと散らばっていた。
「皆、祈祷を致そう」
祈祷では治らないかもしれない。
だが、一縷の望みに賭けたい―。
その様子を遠い所から水鏡に映し、美しい猫達が悪い顔をして眺めているのだった。




