38:ドハルバティ公爵領②
パック村の女子供が監禁されてる場所は今いる場所から3キロ程の旧牢獄跡だった。
ここは10年前まで牢獄として使われていたが老朽化が進み放置されているそうで、隙間風どころか屋根がないところもあり、外にいるのと変わらない寒さだ。
健康状態が心配だ、ずっと村人を放置出来ない。
牢獄の見張りは兵士ではなく、どこかガラの悪そうな男達が5人いた。闇ギルドの者だろうか?
「「フラッシュ」」
高位精霊2人の発するフラッシュはヤバいほど眩しい。
あまりの眩しさに視界を奪われた男達は土の上に転がりのたうち回る。
「目がぁ!」
「見えねぇ!」
喚き叫ぶ者共をあっという間にとは打ち倒すと扉を壊して中へ。
ドカァアン
そこにはパック村の女子供25名が寒さに震えながら固まって凌いでいた。
瞬きもせず、恐怖を浮かべた顔をこちらへ向けている。
「心配するな、助けにきた者だ。今から逃げるぞ!」
「そうだ逃げるぞ!私は隣の領のブラン辺境伯だ。お前達を保護する。お前達の家族も生きているから、早いとこ移動するぞ!」
村人達は解き放たれたように互いに顔を見合わせたが、なんとかヨロヨロ立ち上がった。
「様…。ありがとうございます」
老婆が頭を下げる。聞けば村長の妻だという。
ここ2日まともに食べれていないそうだ。
大きい幌馬車2台できたのは正解だった。彼等を乗せると元来た道を全速力で戻る。
馬には身体強化とクイックを、馬車には軽量化をシマ社長とモモ先生は掛けたものだから、滑るように進む。
1時間掛かる道を30分で戻ると、あらかじめ念には念を入れてと受け入れ準備をしてあった避難所で村人達を降ろす。
このブラン辺境伯領は国境にあることと、魔の森があることから辺境伯邸近くに元々避難所を作っているのだ。今回はここを利用する。
避難所は辺境伯領の兵士が交代で見張る予定だ。
「一先ずは良かったですね。」
「段取りの天才なのぅ~、スムーズに保護できたのぅ」
モモ先生が2人を労う。
(はぁっ~かわいい!褒められたぁ、嬉しい!)
おじさん2人にトキメかれていることには高位精霊達は気が付いていない。
まだ2時間ほど。
スムーズに事が運んだ。この後はドハルバティ公爵家へ訪問だ。
流石に貴族家へ、アポ無し訪問は出来ないので日が昇る位にアポイントの連絡を取りに出掛け、直ぐ様訪問する予定だ。
「今更だけど、ブラン辺境伯はチャールズ君って呼んでいい?モア冒険者ギルド長はエヴァンス君で」
「名前で呼んで頂けるのですか?」
「呼びやすいからねぇ〜」
モモ先生のあざといウインクがおじさん2人のハートをまたキュンキュンさせた。
◇◇◇◇◇◇◇
まだ夜明け前だしおじさん2人は仮眠を取ることにした。精霊2人には御礼のケーキを振る舞う。
辺境伯家の料理人が作ったザッハトルテ。
「ウマウマ……」
「おいちぃのぅ〜」
おじさん2人は精霊2人が美味しそうにケーキを食べる姿にまたしてもときめく。
仮眠をしなきゃなのに……
(はぁ~、かわいい…)
日頃の疲れを癒され、素敵な仮眠タイムを送るのであった。
◇◇◇◇◇◇◇
件のドハルバティ公爵はザイル国王とは従兄弟で仲が良かった。穏やかな性格で、寛容、領地には貿易港もあって栄えており、領は領地の南側に海と北側に魔の森が面している。ある時南方の商人が公爵家を訪れて以来、公爵の様子がおかしいという。
話からシマ社長とモモ先生は南方の商人が怪しいと思う。
そいつも洗脳された類か、あるいは化けて出たものか?
まぁ、全ては公爵家に行けばわかるハズだ。
ケーキを食べた精霊2人も満腹から幸せな眠りについたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇
夜が明けた。
用意してあったお伺いの手紙を使いの者は携えて辺境伯家を後にする。
この後は公爵家の返事を待たずに押し掛けるつもりだ。
辺境伯曰く、手紙は送ってやったのだから問題無いそうだが、本当は問題あるだろ?とギルド長は思ったが敢えて口に出さなかった。




