33:砦の状況
この情報はどの様にしたら上手く行くだろう?
聖女だって事も必要であれば開示しなければならないかも。
買物を済ませて薬師ギルドに戻る。
受付の職員さんに声を掛けると、直ぐ様ラビニアさんが出てきてくれた。
「シャーロット様!まだ怪我人は来ていませんのであちらでお茶に致しませんか?」
「ありがとうございます。」
先程の個室に案内される。
「ラビニアさん、薬師ギルド長と冒険者ギルド長を今からここに呼んで頂くことは出来ますか?砦の事でご相談したいんです。」
「分かりました、確認して参ります!」
それからものの5分でギルド長達が来てくれた。
薬師ギルド長は直接話をしたことは無かったが姿を見たことはある。白髭を傭え眼鏡を掛けた研究好きのサンタクロースといったような風体だ。
冒険者ギルド長は元高ランク冒険者だったようながっしりとした体格で強面だった。お子様方には特にお顔で怖がられそうな感じだ。
「こんにちは、私は薬師ギルド長のクライムハルトです。よろしくお願いします。
いつも素晴らしい質のポーションをお売り頂きありがとうございます」
深く頭を下げられてちょっと困る。
フリーデルの神殿じゃ扱い軽かったからかな?
「お嬢ちゃんこんにちは。俺は冒険者ギルド長のエヴァンス=モアだ。砦の事で相談があるって聞いたが何かあったのか?」
「お二人とも、忙しい中来て頂きありがとうございます。私はフリーデル王国の元聖女、シャーロットです」
ギルド長達は驚いてこちらを見る。
ラビニアさんかわ約束してくれた通り、私の素性を言わずにギルド長を連れてきてくれたのがわかった。
うれしぃ。
「死神聖女の二つ名を持つ、聖女シャーロットか?!」
イヤな二つ名はヤメて欲しいなぁ…
「こんな可憐で愛らしいシャーロット様をそんな二つ名で呼ばないで下さい!」
ありがとう、ラビニアさん…
「いやぁ、すまなかった。驚いてつい、な」
冒険者ギルド長がニカッと笑う。笑顔可愛いな。ギャップでモテそうなタイプね。
「いえ…」
「ご挨拶ありがとうございます。早速ですが、砦の件はどの程度の情報があるのでしょう?」
この事が聞きたかったんだよね。
「…残念ながら何の情報も御座いません。盗賊の様な格好をしたもの達であったので、盗賊であろう、それだけで御座います。国境警備軍が応援に入り交渉を行っていますが返答もなく」
「冒険者で隠密スキルがあるものをな、派遣したんだが砦は結界が張られていてな、入れなかったそうだ。かなり強い光属性魔法の結界と闇属性の隠密じゃ相性が悪くてな」
「膠着状態が続いているのです。武力で何度か解決しようとしましたが、強い結界相手では歯が立たず逆に頭上から反撃され怪我人多数という有り様で」
ギルド長達もお疲れのご様子だ。
「ヒール」
問題は解決していない。これからの動きが肝心だ。
ギルド長達にまだまだ頑張ってもらわなきゃだから身体を回復してみた。
「シャーロット様!ありがとうございます!流石世界随一と言われる聖女様ですわ。疲れが嘘のように消えました!」
綺麗な色の瞳をキラキラさせてラビニアさんが私を見る。
「全くだ。それにしてもフリーデルの第2王子はスカポンタンだな。こんなすげぇ聖女を手放すなんて」
ギルド長だけあって情報知っとんたんかい!
「そうですね―」
曖昧に笑って誤魔化す。
「ところで、砦の話に戻ります。私の大事な守護精霊が砦の偵察に行ってくれたんです」
その瞬間フワッとシマ社長とモモ先生が姿を現した。
「!!!」
皆目を丸くして2人を見つめる。
「かわ、可愛い…」
ラビニアさんがデレた。
シマ社長は体をモフッとさせた。
「ボク達は光の精霊だ。砦の結界なぞ問題無い。
シャーロットの頼みで偵察に行ってみたが彼等は盗賊じゃない、村人だった」
「!!!」
皆再び目を丸くした。
「ど、どういうことです?」
「ドハルバティ公爵が課した税を納められなかった村の女子供を人質にして、解放の条件に男らに砦を占拠させたようだ」
「はぁっ?意味がわからん。離れた領地の砦を占拠して何をするつもりなんだ?」
「村人達も占拠した後の事は分からんようだ。ただ、砦を占拠…暫くしておくように、というような指示だったらしい。かと言って食料が十分ある訳でもなく、脅され仕方なくといった感じだ。不安を抱えている」
「なんと…」
しんと沈黙が落ちる。
「ここのご領主様は話が通じる方ですか?」
「はい、シャーロット様。冒険者ギルド長とかつては共にパーティーを組まれ今も仲良くされておられます」
「アイツに俺から連絡を取ってみる。シャーロット様、その時は精霊様からさっきの話をして頂くと有り難いがどうですか?」
チラッとみるとシマ社長とモモ先生が頷いてくれた。




