31:砦の占拠①
カラオケ魔導具のための金策は不要になったけど、廃村温泉旅館計画にはお金がいる。ポーションを作りまくるわ!
夢の計画のザックリした案はこうだ。
アダルベルトの廃村に知る人ぞ知る温泉旅館を作って、毎日温泉三昧をしながら暮らす。私がやるには難しいことについては専門家を雇ったりして、楽しく暮らす、fin
ザックリだからね、ザックリ。
細かいところはこれから。私の魔法でやれることはやるつもり。実物を見ないと細かく計画は出来ない。
フェリックス皇太子一行が帰った翌日から採取をしたり、ポーション作りをしたり頑張った。
おかげで中々沢山出来たけど、一括で買ってもらえるかな?ちょっと心配。
そして今日は街までやって来た。久方ぶりの街の雰囲気が暗い。気にはなったが薬師ギルドで聞いちゃえ、と思ったのでまっすぐに向かった。
辿り着いた薬師ギルドは何か殺伐としている。
ピリピリしてる感じ。前に来た時はゆるっとした空気感だったのに、何故?
「あのぅ~、ポーションを売りに来たシャーロットですけど。こんにちは」
「あぁぁ、シャーロットさん、お待ちしておりましたぁ」
薬師ギルド副ギルド長のラビニアさんが慌てながら出てくる。個室に案内されソファに座る。
「ずっと探してたんですよ、シャーロットさん。お住まいの場所が分からなくて!」
「えぇと、そんな事より何かあったんですか?殺伐としてません?」
「そうですね、でもポーションを売りに来られたんですよね?先に買取させて下さい!」
おぉう、これは本当に何かあったな。
「上級ポーションを100本なんですけど、一度に売れますか?」
「100本!?有り難いですわ!」
テーブルの上に100本どぉ〜んとポーションを置く。 直ぐ様ポーションを受け取ったラビニアさんは、
「ちょっと待ってて頂けませんか?」
と声を掛け、何処かに慌ただしく出ていってしまった。
ぽつ〜ん。
暫く経ったけど、ラビニアさんはまだ戻らない。
本当、なにがあったの?怪我人がいるとかじゃないの?心配になってギルド受付に出てくると人人人で騒がしくなっていた。い、いつの間に?来た時は居なかったハズだけど……。
「怪我人を寝かせて下さい!こちらへ!」
ギルド職員の方々が慌てて冒険者と覚しき人達を案内している。酷い怪我だ。一刻を争うような人もいるじゃないか!!
「ポーションを今準備してますのでお待ち下さい!」
いや、待ってる暇はないわ!
「怪我人はこっちに固まって!」
よろよろ重傷の方々の周りに集まってくれたので、一息に魔法を掛ける。
「エリアハイヒール」
さっきまでうめき声を上げていた人達も同様に驚いた顔をしながらさっきまで怪我があった箇所をみつめている。良かった、キレイに治ってる、皆全快したようだ。
「シャ、シャーロットさ……聖女さま!?」
ラビニアさんが驚いた顔で走って近寄ってくる。
怪我を治すのは元聖女として当たり前のことだけど 、今聖女って言われるのは困るかな、アダルベルト皇国へ行く予定だし。
「いや、聖女じゃないです」
ウソは言ってない。称号剥奪されたからね。
「そんな、こんな事ができるのは聖女さ」
慌てて私はラビニアさんの口を塞ぐ。
「いえ、聖女じゃないです。あ―、そう、エリアハイヒールが1回だけ掛けられる特別な魔石を持ってたんですよ。もう持ってないけど。ラビニアさん、魔石代のことで相談していいですか?」
私はラビニアさんに圧を掛ける。
(視えてはいないだろうが)シマ社長とモモ先生も圧を掛けている。
「わ、分かりました…」
引き摺る様に先程案内された個室にラビニアさんを連行した。
「聖女シャーロット様……。フリーデル王国の聖女様でしたのね。私気が付かす失礼致しました。
ご功名は存じ上げております」
「いや、だから聖女じゃないです。それにあの国を出て私はアダルベルト皇国に移住予定ですし」
私は今迄の邪神様以外の事を掻い摘んで話した。
どうせいつかバレる事だし、フリーデル王国と守秘義務契約は(婚約破棄&聖女称号剥奪については)していないからね。
「フリーデル王国の第2王子様、失礼ながら残念な御方ですね…」
「残念な御方のおかげで国を出る事が出来ましたので感謝はしております。勿論、私が聖女だったことはナイショにして下さいね」
「勿論で御座います」




