27:邪神様④
創造神セラフィーナ様が邪神を倒した時に粉々になった邪神の核。時の聖女や導師様方が封じられたそうだけど。何らかのきっかけがあれば封じが綻びる。
「あの日、ルビィ村に着いて盗賊に襲われ討伐したまではよかったんだ。逃げ出した盗賊の1人が祠に躓いてこんなふうに倒してから様子が変わってね。
祠を倒したことで封印が解かれて瘴気が溢れ出したんだ。盗賊達が贄にされた瞬間をこの目で見たよ」
今夜は満月だ。月と呼ばれるけど、異世界転移した人々が名付けただけで、地球のそれとは違う他の惑星だ。満月の夜は優しい光が降りてきてほんわり辺りを照らす。
マキシも光に照らされてどこか神々しい。
「それからはあっという間だった。瘴気が見る間に満ちたかと思ったら死体がアンデッドに変わって襲ってきてね。妹達を逃すので精一杯だったよ」
邪神の欠片が相手なら逃げ出せたのが凄いことだ。
大半の力を失おうが相手は神の核だから。
「私は神聖魔法が使えるからね、アンデッド達を屠りながら村から出ようとしていたんだ。だけど、邪神の欠片に捕まって取り込まれた」
欠片の大小で威力は変わるそうだけど、マキシを取り込んだそれはかなり大きい欠片だったんだろうな。
「マキシは魔力量が膨大だからね。姿形も取り込んで復活する時の形代にするつもりだったんだろうね」
シマ社長は目を細める。
「でも、マキシだったからね、欠片も取り込んだ相手が悪かったのさ」
「どういうこと?」
「アダルベルトの歴史をシャーロットなら知っているだろう?私のご先祖様が龍神ドラゴナイト様だって。その御加護が直系にはあるんだ。加齢による死以外では死なない、加護がね。
私を取り込む力に反して取り込めないよう加護の力が働いて今のとおりになったようだよ。
それに私の魔力が神聖を帯びて欠片の体内に満ちたものだから欠片はゆっくりゆっくり浄化され続け私がある程度呪いの力もコントロール出来るようになったんだ。
その頃には飲食も要らなくなった。今、自分が以前とは違うものになっているのを理解している。それに邪神に完全に取り込まれたくない一心で、周りに悪影響を与えたくなくて。ただ、それだけに自分が出来ることを精一杯やるだけだった」
マキシは凄い。たった1人で孤独に耐え、強く立っている。尊敬しかない。
「本当はね、ここから動くことは可能だと思うんだ。だけど、封印していた場所から離れるのはどんな作用があるか分からないし、瘴気が少なからず出ているから汚してしまうからね。浄化されるまで動くことはしないと決めたんだ。
……後はどの様に浄化しきった先でなるのか分からなかった。家族に邪神の欠片に取り込まれたのを知られて、更に助けられなかったとなったら。
家族にショックを与えたくなかったんだ。
可能なら誰にも正体を知られぬまま、ひっそり亡くなろうと考えていたよ」
こんなに頑張ってきた人がひっそり亡くならなくてよかった。
「マキシを浄化で救うことができそうでよかった……」
「有難う。私の力だけだと後5年近くはかかりそうだったから助かったよ」
「猫神様も気にされていたようだね。最終的にはマキシに龍神様の御加護もあるし大丈夫だろうってことになったみたいだけど。浄化の力が凄いセラフィーナ様の聖女のシャーロットが浄化を行う方が浄化作用の相性が、猫神様がされるより早いし、こうなってよかったんだ。それに猫神様は他の仕事が多いから……」
「あぁ……」
今、話題にあがった猫神様はこの世界から喪われた龍神様をはじめとした神々の代わりを果たしておられる。邪神が殺めた神々達と、力を蓄えるため眠りについておられる創造神セラフィーナ様や、
商業神だったり、医学の神だったり、戦神だったり……他には魔封じしたり、死者の国を統括したり等など、猫神様はオーバーワーク気味だったりする。
リアル猫の手が足りない状態なのだ。
それは神殿でセラフィーナ様のお話と共に猫神様の活躍も語られているので大半の人々が猫神様に感謝を捧げているのだ。
捧げてないのはフリーデル王国神殿くらいじゃないかしら?
後200年程オーバーワーク気味が続くようだから元社畜の私は頭が上がらない。
弥勒菩薩様を56億7000万年後待ちの地蔵菩薩様には負けるけど。
「後どれくらいで浄化は完了するの?」
「1週間も掛からないといったところだと思うのぉ〜」
「だってさ、マキシ。浄化終了したらお疲れ様パーティーしない?何か食べたいもの用意するよ。考えておいてね。あ、宮廷料理は無しで。作れんから」
「有難うございます。お疲れ様パーティー、楽しみです。私は普段皆様が食べられているご飯に興味があるのでそちらをご用意して頂きたいですね。宜しくお願いします」
「パーティーでカラオケ大会するのぅ~」
「カラオケ大会?」




