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23:喪われた皇太子②

「……実は婚約破棄された後、亡命することにしたのです。アダルベルト皇国を目指しておりましたが、手持ちが心細くなり、この廃村でポーション等作りながら暮らしておりましたの……」


「この呪いの廃村で?!」

 3人が信じられない顔をする。息が合っている。さては仲良しだな?

 ……って現実逃避をちょいとする。

 色々説明するのが(常識外れと思われそうで)ツライ。

この場所にいる時点で既に常識外れと思われるか、さうか、そっかぁ〜(悲)


「はい。街の方から誰も住んでいないと伺い、居住範囲を浄化して暮らしています……。村の壁も浄化しようとすればできますが、敢えて残していまして……。ぼ、防犯対策に……」

「防犯対策……」

「あ、あの、アンデッドが無数にいたはずですが、あれらはどうされたのですか?」

「天へお還ししております。教会が無傷でしたので、灰や遺品はそちらの共同墓へ」

 

「そ、その中に高貴な衣装はありましたか?!」

「いえ、遺品も一緒に納めましたがそういったものはございませんでした。……宜しければ中にお入りになられますか?」

「中へ入れるのですか?」

「はい、私が聖鎧ホーリー・アーマーを皆様にお掛けしますので大丈夫です。教会内であれば浄化済なのでそのままでも大丈夫ですが、村のアチコチは敢えて呪いを残しているところもありますので、安全の為にも掛けますね」


3人は暫く固まっていた。

ど、ドン引かれたか?!

少し涙ぐんだ皇太子は、

「私の大事な人がこの村で散っていったのです。痕跡だけでも見つかれば良いのですが……早く祖国へ連れて帰りたいとずっと願っていたのです。

もし気がついた事があれば教えて頂けませんか?」

「勿論です」


3人の鎧に聖鎧ホーリー・アーマーをエンチャントして村に入る。皆、大事な人の痕跡を見逃さない様にキョロキョロ辺りを見て回る。

特に収穫のないまま、教会に着いた。

3人の真剣な表情をみればそれだけ大事な人だったとわかる。何か収穫があればいいのに。


「こちらが共同墓です。遺品はそちらに」

 共同墓へ3人を案内したけど、正直……。

 私が初日に来た時から今までマクシミリアン皇太子の遺品と思われそうなものを見つけたことはなかった。


「本当に、ありませんでしたね……」

 消え入るような声でフェリックス皇太子は呟く。

「……マクシミリアン皇太子はとても責任感が強く優しい自慢の兄でした。

 あの日はザイル王国王都の式典出席の為に兄と妹がザイル王国入りをしておりました。大雨で主要道ががけ崩れを起し通れず、この村前を通る迂回を通って……。

 ひとやすみでこの村に寄ったそうですが、盗賊に襲われたそうです。

……盗賊は直ぐに鎮圧したそうですが、何故か瘴気が満ちてアンデッドに囲まれたそうです。兄は聖属性魔法が使えましたから、自ら殿を担い、妹達を村から脱出させて……」

フェリックス皇太子の目からはらはらと涙が零れる。

2人の従者も涙を流している。

嗚咽をあげる3人を只々見守ることしか出来ない。

 

「私がこの村にきた時の瘴気の状態はそれはそれは酷いものでしたわ。あれでも浄化されて、というのであれば、当時はどれ程酷いものだったのだろうと推察されます。

 そんな中、一人で皆を助ける為に立ち向かわれたマクシミリアン様は御立派ですわ」

月並みなことしか言えない。


「私がここに来たのはこの前浄化が行われたからです。何とか公務を片付け、時間を捻り出してやっと来たのですが。とても残念です。

兄上の遺品を持ち帰りたかった……

 

妹もここに来たがっていたのですが、あの日のことが重い心の枷になっておりまして、床につく生活なのです。兄上の遺品があれば幾ばくか、心の慰めになるかと思いますし、兄上を祖国へ連れて帰れると……」

悲痛な面持ちの3人に掛ける言葉を失う。


 

 

 

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