18:邪神様の声と声優大会①
それから数日後。
今日は働く日だけど畑仕事は終わったし、暇を持て余している。しょっちゅう街で買物をする必要もないし。することが浮かばんなぁ〜。
「することが浮かばなぁ〜い!邪神様ぁ〜」
「なら、お昼寝は?」
邪神様にすることが浮かばないと愚痴ったら、お昼寝のご提案。残念ながら、さっきやりました!
「とりあえず、今日の浄化でも。それ、〃ホーリー〃」
邪神様が聖なる光を浴びてキラキラしとる。
完全なる浄化を行うには後どれくらいホーリーをかけたらいいんだろう?浄化されきっても消えないでほしいな。
出来ればこの先も一緒に茶飲み友達として居て欲しいんだけど?邪神様は浄化をしきっても欠片に宿れないのだろうか?
それとも浄化をしきったらアンデッドみたいに灰になっちゃうのかな?念の為大きな魔石を用意するべき?
そうして10分程ホーリーを浴びせたので今日の浄化は終了した。
本当はまだまだやれるけど、邪神様に止められる。いざという時に魔力が枯渇していたら殺られてしまうから、と。この心配される感覚、親(前世)みたいだなぁ。しみじみ。
「……シャーロットさん」
「ほぇ?」
若い男性のイケボが聞こえた……気がした。
もしかして……もしかして、前世を懐かしんだら前世のイケボ声優さんの声まで幻聴として聞こえる様になったのかしら?
ちょっと〜、私ヤバくない?
「シャーロットさん、私です。どうやら声が出せるようになったみたいです」
いつもの念話はくぐもった声だったので分からなかったけど、直に聞く声は違う!
「ぇえ?!本当に!?邪神様?!イケボ!」
「イケボ……?」
イケボ!耳が幸せです!ご馳走様です!
何だか瞳まで潤っちゃう感じなんですけど、何コレ?イケボのご利益?
「シャーロットさん?」
「はっ、はい!私はシャーロットです!」
「知ってます……」
「えへへ……」
「……どうしました?イケボ?とかが原因なのですか?何かあったのですか?」
「いえ、イケボは、イケボはイケてるボイスのことで。……いい声のことです」
「いい声……」
「誇っていいですよ、邪神様!前世の世なら、声のお仕事で生活できますよ!」
「声のお仕事……?」
「そうです、絵のお芝居劇とか、朗読劇とか、声がいい人がやると惹きつけられるんですよね」
「へぇ……」
「そうだ!邪神様、私が寝る前に何か耳元で囁いてくれませんか?私、邪神様の声で、よく眠れると思うんですよ」
「アァァ……貴方!淑女の側で囁やける訳ないでしょ!」
「シャーロットは実は破廉恥なのぅ?」
「破廉恥?!とんだ誤解よ!」
「邪神様は紳士。シャーロットは破廉恥」
「誤解よ!」
「じゃあ、変態?」
私が変態じゃないってこと、知ってるでしょ?
もぅ。そういえば変態な人がいるなら、ひょっとして変態の神もいたりする……?
「邪神様、変態の神様もいたりしますか?」
「?急に何です?変態ですか?」
「変態です」
「まだお会いしたことはございませんし、存在を聞いたことはありません」
「あからさまに話を変えてこようとしてるのぅ~」
「変態疑惑をなかったことにしようとしている……」
「て、テヘッ……」
「こんな突拍子の無いことを言うなんて……貴族としてよくやってこれましたね」
「いやぁ~、頑張ってました、あの頃の私。監視されたりクソメンドイ感じでしたから。今は色々と削ぎおとしてます」
「削ぎ落とし過ぎや」
シマ社長の呟きが青空に消えた……




