17:何時までこの村に?
「デデンデンデンデデン、I'll be back」
朝の光が眩しい……村の入り口でポーズを決めた。
ちょっと今私、テンション高い。
やらかしてしまったハイになっているのだ。
「何それ?」
シマ社長がずっと手厳しい。理由は分かっている。
昨日は結局酔い潰れたみたい。周りの視線があり過ぎて精霊ズも助けにくかった模様。
そんなもんだから、ミラさん他女性の有志でミラさんのお家に運ばれご厄介になった私。
申し訳無く、早朝、とっとと失礼させて頂いた。今度菓子折りでも用意して謝らなければ……。
「今回は大分手強かったの……」
「フルーツタルト1週間では足りない……」
2人がグッタリしている。
酔い潰れて地蔵化した私はびくともせず、諦めざる負えなかったそうだ。それでも早く目が覚めるように努力したそうだが……。
結局翌朝になったのよね。
そして……。邪神様にも謝らなければ。
早めに帰るどころか翌朝になっちゃたしな。
ふぅ~。トボトボ歩く。
すっかりダメな大人の見本の様な感じになっているが、ちょっと前迄はちゃんと!仕事していましたから。そう、大丈夫な筈だ。今だけ、羽目を外させて下さぁ〜い。
祠横には身体をユラユラさせた邪神様がいた。
「村の入り口で何をやっていたんですか?」
えっ……?ここから村の入り口は死角になっていて見えない筈なのに見られただと?!
「いえ……あれは前世の見世物物語で有名なセリフとポーズでして」
「そういうのは、この村の中だけにしておいたほうが良いと思われますよ……」
「はは……」
でしょうね。流石に変なヤツだと思われるかも知れぬと思います。もし見られたら◯ぬる。邪神様に見られたのは?まあ、邪神様ならダイジョウブ。
「ところで、顔が土色ですよ。ちょっとアンデッドチックです」
「ま、まだ腐ってないですよ!」
いきなりの毒舌をモロに浴びる。
確かに今着てるのは昨日の服で、服のまま寝ちゃったからヨレヨレしている。顔が土色か……キュアポーション飲むかキュアをかければ治るけど。
今まで、二日酔いで酷い顔色の時敢えて治さないスタイルだった。だって、祖国じゃあ、治して元気良さげにしていると仕事増やされそうでしたからね。もうずっとこれできているので、二日酔いの土色顔色、フラフラスタイルには慣れてます。
そう言う説明を邪神様にする。
「シャーロットさんの前世の世界は知りませんが、今世の貴方の行動は危うくて私は驚くことばかりです。
もっと自分を大切にして下さい。
そして、酔っ払ったら直ぐにキュアをかけて下さい」
「流石にアンデッドって言われたらキュアをかけずにおれませんよ……キュア!」
「では、これから自分を大切にして下さい。
それより薬師ギルドに行ってこられたのでしょう?
登録できましたか?」
「はい、おかげ様で無事に登録出来ました。
上級ポーションを実技で50本分作って、それを全部買取ってくれて金貨50枚でした」
「それだけあるなら、暫く安定した生活も送れるでしょうし、身分証も手に入れることもできた。そろそろアダルベルト皇国へ移住されるのでしょう?」
「移住……。いえ、いや……。」
「シャーロットは、まだゆっくりこの村にいればいいと思うのぉ〜」
「?」
モモ先生が、小さなお手々を上げる。シマ社長は頷くと、
「シャーロットは前世の記憶もあって小さい時から怪しい子供だったけど、子供は子供の時間が本当は必要なんだ。だけど、子供らしい時を過ごすことが出来なかった。
自分で決定できることもなくて、人の事ばかり……ちょっと自分のペースで生きることを学ばないとって。
始めは、アダルベルトに早く行ければって思ってたけど、何も知らない国でいきなり家を探したり、金策をしたり、情報を集めたりとか、たぶん焦るだろう?
今みたいに家に困らない状態でゆっくり明日は何をしようかな?ぐらいのペースが丁度いいんじゃないかって思うんだよ」
「そうですか。……そうですね。ずっと頑張ってきたシャーロットさんが、ここであればペースを作れるというならそれがいいと思います。……私はずっと1人でおりましたので、まだ皆さんと一緒にいれるのは本当に嬉しいです。
それに好意で浄化して頂いておりますので、移住は止められないと思っておりました。貴方がたはよい場所で生きる権利がありますから」
「邪神様は優しいのぅ~。これからも皆で楽しく暮らすの!」
「…みんなありがとう。じゃあ、まだしばらくここでよろしく!」
「フフフ、ただ住んでいる場所は誤魔化し続けないといけないですね?」
「Oh……」




