1:悪巧みはお見通しよ
とある日の学園庭園にて―。
「殿下、シャーロットとは婚約破棄するでしょ?」
私の婚約者、ジョルジオ王子にしなだれかかって、綺麗な赤毛の女子が東屋で話しをしている。
アヤツはビアンカ=デ=ドハーティ公爵令嬢。私達が通う貴族学園の同級生だ。
しかし、婚約破棄だと!?
待って、ピーンときたわ、さてはビアンカってジョルジオ王子の浮気相手ね!
「当たり前だよ、ビアンカ。アイツは気は利かないし、口うるさいし、王子妃には相応しくない!
アイツと違ってビアンカは公爵家の出だし、美しいし、男を立てることがわかっている。君こそ王子妃に相応しいよ」
ジョルジオ王子が、さも私がワルイと言ってますが、どアホのアンタに言われたかないね。
ジョルジオ=オブ=フリーデル第2王子。
ヤツは茶色の髪に吸い込まれそうなグリーンの瞳、モデルの様な体型。
ジョルジオ殿下は顔だけは良い。顔しか良くないが。
ジョルジオ殿下の微笑みにビアンカ令嬢が、うっとりしている。
「嬉しい!ねぇ、いつ婚約破棄なさるの?」
「ビアンカの誕生日パーティーではどうだい?シャーロットもビアンカと比べられて身の程を知るだろうし、面倒事の婚約破棄と聖女剥奪をその日にやればいい。
そして新しい婚約者はビアンカ、君だと発表しよう」
「分かりましたわ!お父様にも伝えておきます。きっと喜びますわ!」
茂みの中でバレないようにお昼寝していたばっかりに2人の企みを聞いてしまった私は愕然とした。王命で決めた婚約なのに、殿下の一存で普通は破棄出来ないんだぞ―!
それに私は聖女であるが、その聖女の認定・剥奪の権利は神殿にある。只の王族が称号剥奪出来ないんだぞ―!突っ込みどころが多いぜ殿下。
然し…チャンスかもしれない。
アヤツらは私と婚約破棄&筆頭聖女の称号を剥奪させたい、私も破棄&剥奪したい、とくれば、これを利用すればいいんでは?
このチャンス逃さないわ!!
殿下は我儘で仕事は私に丸投げだわ、王命=王様の命令なのに、王命=王族の命令と履き違える残念なやつだ。しかも今、王様は長い外遊に出ていて後1ヶ月は帰って来ない。
ぜぇったい、王様に婚約破棄とか諸々の話、してない。
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ビアンカ嬢が去った後、殿下が側近と話し始めた。側近の奴等はドハーティ公爵派閥で固められている。これは王様が外遊に出掛けている間に殿下が独断で変更したんだよね。
一つの派閥で固めちゃダメだろう、何やってんだ政治的に問題あるだろ……。
「……国中の瘴気はアイツが祓ってしまったし、もうお払い箱でいいよなぁ。筆頭聖女の称号も剥奪する。
シャーロットがいると私が聖女の付属品の様な扱いをされて日頃から我慢ならなかったんだ。
アイツの悔しがる顔を見るのが楽しみだぜ。お前等もそう思うだろう?」
イケメンだけど、アタマ悪そうなこと言ってますね。
「殿下の仰る通りです。シャーロット嬢は不要です、他に聖女ならおります。良い御決断をされました!」
見事なイエスマンぶりだな、側近。




