9:邪神さまと〜元聖女の身の上話②
邪神?様は謎の動きを見せる。さっきよりも大きくユラユラしとる。何かありますか?
「大変デシタネ」
「!えぇ、でも終わったことです。前世で働くようになってから飲むことがストレス発散になって、今でもお酒が好きですけどね」
「呑兵衛なのぉ〜」
「飲んで寝たら起きないよ」
「しぃ~!そんな事は言わなくて宜しい!」
「3人トモ、ナカヨシ、ナンデスネ」
「シャーロットが赤ちゃんの頃から一緒だよぉ〜」
「ほっとけ無いんだよ」
ハッとした。今、絵面が酷い。
中央に禍々しい瘴気を纏いつつ、聖なる光に包まれる邪神?、その左右にシマエナガ的な精霊とエゾモモンガ的な精霊がフワフワ浮いて語らっている。
カオスだな……
気を取り直そう……。
「今世ですが、フリーデル王国の伯爵令嬢として生まれました。幸いなことに学問も大体、歴史以外は前世と一緒でしたし、文字は何でか分からないけど前世と同じで勉強は楽が出来て良かったです。
おかげ様で成績トップだったんですよ!…てゆうのは置いといて。
ううん。7歳の時に魔力診断が、えぇと、7歳に成るまでは危険だから魔法を使えない様に人族はなっていまして、制御の腕輪を付けてるんですね。7歳になったら神殿で腕輪を外されて魔力診断をするんです」
邪神?様は前後ろに揺れる。大きく相槌を打ってくれてるのだろうか?禍々しいはずなのに可愛く見えてきた!
「何の属性に適応しているかとか診断します。
例えば神聖魔法を使えるか?とか。
適性がある子は神殿に仕えるように言われます。
私は神聖魔法が使える上に魔力量が子供の時分で大人顔負けにかなり大きくて。聖女に選ばれてしまったんです」
「シャーロットは誰よりも素養があったもんね」
「おかげ様で大変だったけどね。
ザイル王国はホワイトな環境みたいですけど、フリーデルは人遣いが荒くて。
10歳から現場で活躍しました。
聖女になって、聖女の教育があって。私、瘴気で困っている人達を見て頑張ったんですね。気が付いたら、フリーデル王国中の瘴気を払い倒しておりまして。
瘴気全部払っちゃたから、名前が売れちゃって人気出たんですよ。私無許可の聖女様なりきりセットとか、私は言った事無い言葉が詰まっている聖女様名言集とか。出てるの見た時は失神するかとおもた…」
「あれは爆笑したね」
「商魂が逞し過ぎなのぉ〜」
「……そしたら、私の人気に目を付けた神殿側が献金目的に私の力を使いまして。
王家に相談しましたが、神殿と距離を詰めたい、かの方達から断られ。見習い神官でも治せる様なものでも、聖女に治療してもらった事にステータスを感じる貴族の、そぉ〜んな大した事もない症状の治療をさせられてました。深爪が痛いとか」
「フ、深爪デ?」
邪神?様の揺れが大きくなった。
「そう、深爪でなんですよ。でも、私は聖女の称号を剥奪されたんでそんな王家も、神殿も知ったこっちゃないです。後は皆で頑張るでしょう」
「聖女ノ称号剥奪?」
「です、です。私がここに来た理由ですけど、フリーデル王国から逃げてきたんですよ。
婚約者の第2王子の浮気が原因で婚約破棄もされたし、聖女でも無くなったし、親は毒親で自分達のお金と名誉のことしか頭にないし。都合良く私を使おうとしそうな人達が沢山いたんで、逃げたんです」
「逃げて正解なのぉ〜」
「婚約破棄ト聖女ノ称号剥奪……幾ラ、ナンデモ、ヒドイ仕打チデス。親ナラ、助ケルノデハ?」
「残念〜ん、甘いですな、邪神様。
奴らは婚約破棄されないようにしろ、万が一婚約破棄されたらギーズ卿に嫁いでもらうって言ってました。ギーズ卿って人、88歳の超女好きのスケベジジイで金だけは持ってるんです。あと、これは本気で親は言ってます」
「夫婦揃ってヤバい親だったな。自分達の利益しか見てない……」
シマ社長がムッとして身体を仰け反らせた。胸元がモフッとしてカワイイ。
「……私が聖女に選ばれた時に、当時の王から第2王子との婚約を打診されました。
王子妃教育頑張ったのに、酷くない?」
シマ社長とモモ先生はうむうむと相槌を打ってくれる。
邪神?様の揺れがフルフル揺れに変わった!
その動きは相槌なの!?
気になりつつも聞いていいのか分からずスルーする。
「……その第2王子は甘やかされてお育ちになり、イエスマンしか周りに置かれない方でしたから、常識を問う私なんかウザかったんだと思います。
おまけに、私のことはタイプではなかったので、私と婚約破棄して、ご自分を甘やかしてくれる公爵令嬢と婚約したかったみたいでね。
公爵令嬢の誕生日パーティーで宣言しちゃったんですよ。私との婚約破棄と、私の聖女の称号剥奪。変わりに公爵令嬢が婚約して、聖女にもなるって」
「国王ハ王子ヲ止メナカッタノデスカ?」
「外遊に出ておられたのです。そのおかげで逃げれたので国王グッジョブ!でした」
邪神?様が更に強くフルフルしている。
これはいいリアクション。
いやぁ~、多分絶対に私の話に頷いてくれてる筈!
禍々しいオーラも出てて真っ黒だけど、真っ黒で表情も分からんけど私は今、猛烈に癒されている!
「……私ノ身ノ上話ハ、ソノ内デ、イイデショウカ?」
話しずらいことがあるのだろう。
気になるけど無理強いはしない。
「大丈夫ですよ。話せるようになったらで」
そうこうしているうちに今日の浄化タイムは終わった。




