第3話
(ハワイ)
ハワイ・オアフ島の海兵隊キャンプ・H・M・スミスに司令部を置くアメリカインド太平洋軍の司令官、コナリー海軍大将は情報部長から報告される極東アジアでの状況について、情報を分析していた。
インド・ベトナム・フィリピンの合同軍事演習に反発した中国はその数日後、台湾海峡付近での大規模な軍事演習を行うと発表した。台湾侵攻の主力となる東部戦区の第72集団軍、東海艦隊、海軍陸戦兵旅団の全兵士が動員されていて、これに加えて北海艦隊の空母「遼寧」を主力とした機動部隊も台湾海峡に展開されていた。
「現時点では台湾へ侵攻する可能性は無いと思うが」
コナリー大将は情報部長に問いかける。
「中国の国内事情もイランと似たようなもので、中共(中国共産党)に対する不満を外に向けさせる、ガス抜きのようなものだと思われます」
朝鮮半島での緊張状態も気になるが、コナリー大将が最も気になっていたのはロシア軍の「スターリン」演習だった。
「直ぐにホワイトハウスと国防総省へ連絡をしなくてはならない。それと4軍(合衆国陸・海・空軍、海兵隊)司令官の会議を召集もかけなくてはならないな」
それに加えてコナリー大将は、日本の自衛隊統合幕僚長、韓国軍合同参謀本部議長、AUKUSの枠組みでイギリス軍とオーストラリア軍の司令官ともテレビ会談を開催し、極東アジアにおける中国・北朝鮮・ロシアの動きについて認識の共有を図ることにした。
インド太平洋軍としては、もし万が一極東アジア・太平洋地域で中国軍、北朝鮮軍、ロシア軍のいずれかと立ち向かうこととなれば、米軍の他の統合軍からの戦力増強と日本をはじめとした同盟国・同志国の協力が必要となるとコナリー大将は考えた。




