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手乗りネコ耳少女観察日記9 2014年9月8日

 今まで名前の無かった純白のネコ耳少女にナズナという名前をつけ、新たにスズナがやって来てからおよそ1月。

 今日は十五夜のお月見の日らしい。

 お月見なんて気にしたのは何年ぶりだろうか。

 お月見だけでなく、花見や七夕など、ナズナが来てから今まで気にしていなかった行事を気にするようになった。

 さて、今日は朝から月見の準備をしている。

 具体的には朝から買い物に出かけ、今は月見団子を作っている。

「月見団子、ね~」

 楽しそうなナズナに比べ、なぜかスズナはうさんくさそうだ。

 なにも話さないナズナと違い、言葉を話すスズナが来たことで何か新しいことが分かるかとも思ったが、どうやらナズナにとって、深く知られたくないことらしい。

 だからあえて詮索はしない。

「だから甘いっていってるのよ」

 そういうスズナも、しっかり自分達のことは隠している。

 甘いのはどっちなんだ、と言いたくなるが黙っておこう。

「む~、何よその目は~。分かってるわよ! 私が甘いって言いたいんでしょ! 仕方ないじゃない、このこは昔から世間知らずで……ふんっなんでもないわ」

 スズナが来てから、静かだった部屋に音が生まれた。

 ナズナが自ら話しだすことは無かったし、たまにナズナに話しかける以外は独り言を言う質でも無い。

「ほら、できたわよ」

 つまり何が言いたいのかというと、楽しいのだ。

 ナズナと過ごす日々も楽しかったが、やはりにぎやかになるというのはまた違った楽しさがある。

 まぁその分いろいろと大変になったのだが、それも気にならないぐらいに今は楽しい。

「なによにやけちゃって。気持ち悪い。それで、次はどうするのよ?」

 15個の団子を並べ終え、次はススキを取りに行く。

 アパートの近くにススキは自生していないため、いつか桜を見に行った河原に向かう。

 ナズナとスズナには部屋で留守番を頼んでおいた。

 今は夕暮。

 少なからず人通りのある時間なので、二人を連れて行くわけにはいかなかった。


 少し時間がかかってしまい、すっかり月が出てきたころ、ようやくアパートに帰ってこれた。

 玄関を開けると、窓から月明かりが差し込んでいて、明かりを点けなくてもはっきりと部屋の中を見る事が出来た。

「全く。いつ見てもあそこは綺麗ね。外面だけは」

「…………うん」

 窓際に揺れる二つの尻尾。

 どうやらスズナが何か話しているようだが、部屋に入れずにいる理由はそれでは無い。

 ナズナがしゃべったように聞こえたのだ。

 いや、スズナに合わせてうなずいていたのでそう聞こえたような気がしたただけなのかもしれない。

 きっとそうだろう。

 もし話せるのなら、今まで半年以上一緒にいたのに、話さない理由が無い。

 考えていても仕方が無いので、部屋に入る。

「あ、帰ってきてたんだ。で、ちゃんと採ってきた?」

 スズナの問いに現物を見せて答える。

「じゃ、始めましょうか」

 窓際に机を出し、ススキと団子を並べる。

「御酒は~?」

 …………。

「冗談よ」

 隣のナズナも笑っている。

「そう言えば、今日は十五夜でしょ? 十三夜はやらなかったわね」

 ……十三夜?

「十三夜と十五夜。どちらか片方しか見ないのは片月見で縁起が悪いって。ここの遊女の間では嫌われるそうよ?」

 ……それは知らなかった。


 その後、夜が更けるまで三人で月を見続けた。

 窓際に揺れる二つのしっぽと、一人の人影。

 もし外から見た者がいれば、一体なにを思うのだろうか。


なんとか一周年までにリアルタイムに追いつきたいです。

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