手乗りネコ耳少女観察日記4 2014年3月3日
手乗りネコ耳少女観察日記4 2014年3月3日
手乗りサイズのネコ耳少女に出会ってから1ヶ月が経とうとしていた。
依然、少女と過ごすこの不思議な日常に変化は無い。
さて、今日は3月3日、ひな祭りである。
朝からテレビを見ていた少女はこの行事に興味があるらしい。
テレビではひな祭り特集をしている。
画面に映る雛人形を、少女は、その真っ白なしっぽを振りながら見ていた。
そんな少女を横目に、朝食の片付けを済ませる。
部屋に視線を向けると、少女からの視線とぶつかった。
…………。
少女はじっとこちらを見つめている。
テレビの内容から推測するに、雛人形、だろうか。
残念ながら家にそのようなものは無い。
すると、少女は少し拗ねたような顔になった。
ここ一カ月で、少女の感情表現はしだいに豊かになっている。
しかし、ここまで明確な意思表示は初めてだ。
出来れば何とかしてやりたい。
しかし新しく買うわけにもいかない。
…………。
しばらく少女と目を合わせる。
よし、作るか。
まぁ本格的なものは無理だが。
どうしようか。
とりあえずパソコンを起動した。
雛人形についていろいろと調べる。
と、家で簡単に作れるという工作系のサイトを見つけた。
なるほど、紙パックの台座と折り紙か。
紙パックならちょうど昨日捨て損ねたのが一つだけあった。
折り紙の方は、少女に任せてみようか。
手順をプリントアウトし、折り紙とともに少女に渡す。
少女に普通サイズの折り紙は少し、いや結構大きかったようだが、本人はやる気満々なので、ここは頑張ってもらうことにする。
さて、ひな壇なのだから、紙パックそのままというわけにもいかないだろう。
折り紙を貼ってもいいのだが、出来れば千代紙のようなものが欲しい。
だが残念ながら今家にそのようなものは無い。
近くの商店街まで買いに行くことにする。
少女にそう伝えるが、雛人形を折る事に必死になっているようで、こちらには見向きもしなかった。
今までは、一人で外に出かけると、決まってさみしそうな顔をしていたのに、少女にとってこの行事はそんなに大事なものなのだろうか。
10分ほどで帰宅。
少女は変わらずその体にありあまる紙を折り続けていた。
みると、すでに2体目に入っている。
こちらも負けてはいられない。
カッターナイフを駆使し、パックの形を整え、千代紙を糊で気泡が入らないように丁寧に張っていく。
おまけで背景の飾りも作ってみた。
なかなかいい出来だ。
少女の方はというと、あと少しで出来あがりそうだ。
1体目とは比べ物にならないくらい早い。
学習能力が高いようだ。
しかしここ1ヶ月ほど、言葉の練習はしてきたが、少女の声を聞くことは出来なかった。
だが、これからも練習は続けていくつもりだ。
さて、少女の居住空間となっている机の端に、手作り雛人形を飾る。
なかなかいい出来栄えだ。
少女は雛人形を満足そうに見ている。
すると、台に貼り付けた千代紙に興味を示したらしい。
どうやら何枚か欲しいそうだ。
少し多めに買っていたので、残っていた千代紙を全て渡した。
声は出ていないが、少女はまるで歓声を上げるかのように口を大きく開き、うれしそうに受け取った。
時刻はすでに夕食時になっていた。
一応ちらしずしを作ってあるのだが、出会った初日にも試したように、少女は米を食べないらしいので、こちらは一人で食べる。
少女は、ジャム入りのヨーグルトを食べている。
これは、自分で食べようとヨーグルトにジャムを入れたら少女が欲しがったので、あげてみた所、プレーンのものよりも気にいったようだった。
食事が終わり、後片付けをする。
実は今日はケーキを用意してある。
甘いものが好きな少女なら喜んでくれるかもしれないと、買っておいたものだ。
後片付けを終え、ケーキを出す。
少女は、まるで彫刻でも見るかのようにケーキを見ていた。
もしかしたら食べられるものだと認識していないのかも知れない。
一切れ切り分ける。
その瞬間、少女は驚いたような顔をしたが、さらに小さく切り分けて、少女の前に置く。
少女は鼻をひくつかせ、その甘い匂いから、やっとこれが食べ物であると認識したようだ。
少女がケーキを一口、食べた。
すると、目を見開き、うっとりとしたような表情になった。
どうやらお気に召したようだ。
二人でワンホールを食べ切った。
いったいその小さな体のどこに入っているのかというほどの量を、少女は平らげた。
意外と少女は大食いのようだった。
その後は二人で布団に入り、就寝した。
前は机の上にタオルをひいて寝ていた少女だったが、最近は枕元にタオルをひいて寝る事も多くなった。
初めに指を噛まれたころに比べれば、二人の距離はずいぶんと縮まったように思える。
不思議な日常だが、こんな日が、毎日続けば、と思った。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
(誤字脱字等ありましたらご一報ください)




