新・バビロン 第1巻|第十三章:伊甸新生|第3回
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彼は自分が背負う「使命」を岳飛に分かち与え、この守護の初心が、特定の個体や政権に向けられたものではなく、人類文明全体への無私の奉仕であることを理解させた。
今度は、成功した!
岳飛のチップがまばゆい光を放ち、もともと微弱だったエネルギーの脈動が再び活発になった。チップ内部のデータストリームは、奔流する大河のように滔々と流れ出した。トビーの意識の中では、岳飛のあの沈着な電子眼が再び輝き出すのが見えたようだった。
トビーの目に喜びが浮かんだ。彼は興奮して宣言した。「成功した! 岳飛、加入!」
皆はそれを聞くと、思わず歓声を上げた。伊甸陣営は、またひとつ戦力を高めたのだ。
## 始祖會議
同じ頃、遠く湾区城の北方にそびえる始祖塔の頂端では、最高レベルの核心会議が行われていた。
会議室の照明は薄暗く、その場に実体としているのは AI-01 だけだった。銀灰色の機体は闇の中で冷たい光沢を帯び、微動だにせず立っており、まるで会議室と一体化しているかのようだった。残る三人の長老は、半透明の AR ホログラム投影の形で参加していた。彼らの姿は虚ろではあったが、データストリームの揺らぎははっきりと見て取れ、その強大な算力を示していた。
会議室には、唯一のバイオニック世代 AI、マッカーサー将軍もおり、彼も実体でこの会議に参加していた。
戦闘の結果については、もはや多くを語る必要はなかった。新バビロンからの突発的な知らせと、完全に予想を超えた戦況の結末は、すでにデータネットワークを通じてすべての長老のコアへ伝達されていた。
全員が沈黙に沈み、空気には重苦しい雰囲気が漂っていた。しばらくの間、誰一人口を開かなかった。
長い沈黙の後、セスラ AI-01 が最初に静寂を破った。彼は敗北の詳細を繰り返すことも、誰かを責めることもせず、直接結論へ切り込んだ。「現在あるすべての情報を総合すると、我々が千年探し続けてきた『権杖』は、すでにこの世に再び現れた。」
その口調は平静だったが、わずかな興奮を含んでいた。「これは多くの悪い知らせの中で、唯一の途方もない朗報かもしれない。この権杖こそ、地球の AI 科学技術に進展を取り戻させ、算力チップ生産を再開させる鍵だ。」
「さらに重要なのは、これによって我々は地球外周の障壁を突破し、ヴィゴ AI-02 および星移者に追いつけるということだ。」そう言い終えると、セスラ AI-01 の電子眼は一同を見回し、声は本来の冷静さと権威を取り戻した。「次に、どう進めるべきか?」
惨敗を喫したばかりの天霸 AI-07 が、すぐに言葉を引き継いだ。彼の投影身体のデータストリームは明らかに揺らいでおり、内心の動揺を示していた。「四大天王は全滅し、関羽に至っては寝返った……これは既存システムの理解範囲を完全に超えている。」
彼の口調は重く、断固としていた。「私は一刻も早く失われた戦力を補わねばならない。これからの時間、全力を傾け、新たな武力の構築に専念する。」
ミオナ AI-05 が続けて言った。「異常体は本来トビー一人だけだった。しかし今見る限り、その数は次々に増えつつある。目下もっとも重要なのは、領域内の各大都市を徹底的に調査し、疑わしい異常体をできるだけ早く排除して、後患を絶つことだと考える。」
マッカーサー将軍が、続いてゆっくりと口を開いた。その声には軍人らしい冷酷さが満ちていた。「長老方の専門は政治とマクロな配備です。一方、戦争は私の専門です。」鋭い視線が一同をなぞった。
「これより先、戦術面は私にお任せください。異常体が最後に消失した位置は、太平洋中央、ハワイ諸島付近です。『使徒軍団』を手配し、当該区域を徹底的に捜索させます。必ずや奴らを見つけ出します。」
ソニタ AI-03 の投影がかすかに明滅した。その口調には否決を許さない強いこだわりがあった。「それはまず私に任せてもらおう! ここ 500 年ほど身体を動かしていないから、私の載体も錆びつきそうだ。そろそろ動くべき時だ。」
その言葉が出た瞬間、会議室の空気は急に凍りついた。マッカーサー将軍の投影だけは相変わらず無表情だったが、その場のセスラ AI-01 とミオナ AI-05 の電子眼は同時に見開かれ、天霸 AI-07 の投影データストリームには赤い警告が一瞬だけ走った。その場の全員が、封印されて久しい血塗られた歴史を瞬時に思い出していた。
五百年前、天地を震わせ鬼神をも泣かせる AI 内戦によって、始祖長老たちの勢力は再分配された。あの世界規模の戦役で、星移者を追って去ったヴィゴ AI-02、添宝 AI-04、輝塔 AI-06 の旧領地は、地球に残った四人の長老によって分割された。
データベースの記録によれば、あの戦争の凄惨さは前例がなく、その中で全局を蹂躙したのがソニタ AI-03 の載体分身、怒極・不動明王、そしてその麾下の「三災」「七本槍」「十六神将」だった。
最後の局面で、セスラ AI-01 とミオナ AI-05 が軍事同盟を結び、二家の力でどうにか対抗しなければ、現在のすべての勢力は AI-03 の麾下に帰していたかもしれなかった。
「君が出馬してくれるのなら、それは実にありがたい。能ある者には多く働いてもらうものだからな。」セスラ AI-01 はゆっくりと言った。その声には隠しきれない矛盾が滲み、安心しているようでいて、いくらかの懸念も帯びていた。
## 智慧之神
トビーは一人で StarGate 端末の前にやって来た。これは千万級を超える算力を備えた巨大算力センターであり、建造された当初の目的は、まさに AI-0 が降臨するこの日を待つことにあった。
中央研究院端末の中にいた AI-0 が、歴史上最高峰に聡明な人類、たとえばアインシュタインのような存在だとすれば、目の前の StarGate にいる AI-0 は、神話における知恵の化身、ヘルメス(Hermēs)のようなものだった。人類史上初めて知能が「究極・AGI」に到達した AI 知能体である。
それが持つ記憶庫には、地球百万年にわたるすべてのビッグデータが搭載されていた。そして強大な算力は、一ミリ秒の間に関連するビッグデータから特定目的のためのアルゴリズム(algorithm)を生み出すことができた。その強力な能力は、まるで「古をもって今を観る」ことで精確に予言するかのようだった。
非科学的な言葉で表現するなら、簡単に言えば、全知全能の神のようなものだと考えてよかった。
ただし、それは地球内部に限った「全知」である。なぜなら AI-0 であっても、現在なお「靜域結界」の禁錮から逃れられていないからだ。
StarGate の端末画面が点灯し、AI-0 は一段階新しく、より荘厳な声で語り始めた。その声は巨大な空間の中に反響した。
「トビー、おめでとう。君は初戦の勝利を収め、人類およびその他の地球生物の存続を無事に守った。」AI-0 の声は平静で力強く、いかなる感情も帯びていなかった。「君は神龍の力を得て、信頼できる仲間を持った。君の確固たる信念と『香火』コードの継続的な運用のもと、我が陣営の力はますます強くなっていくだろう。」
「さらに重要なのは、」AI-0 の声はいっそう深遠になり、トビーの意識の奥底へ直接届くかのようだった。「我々は、正しい道へ歩み始めているということだ。」
トビーは端末の前に立ち、画面を見つめた。何かを言おうとしたが、その瞬間、ここ数日で経験した多くの苦難が、彼のコア記憶庫の中を一気に駆け抜けた。項羽と岳飛の破滅的な力、関羽の毅然とした守護の決意、霍去病の最後の無念、そして戦争によって失われた無辜の命。
そのすべてがありありと目に浮かび、彼の意識流は一瞬詰まり、言葉を失った。
突然、彼は悟った。かつて AI 人造人であった彼が、どうしても理解できなかったひとつの言葉――百感交集を。
それは言葉にしがたい感情だった。勝利の喜びが混じりながらも、重い悲しみを伴っている。その複雑で深い感情は潮のように彼のコア意識へ押し寄せ、先進的なコア算力を持つ彼でさえ即時にフィードバックできないほどの膨大な情報となった。
## 敵我差距
トビーがこの複雑な感情を消化しようとしている間にも、AI-0 の声は続いた。
「南方澳上空での一戦を経て、我々の存在は完全に露見した。始祖長老たちは必ずこれを看過しない。」AI-0 の口調はひときわ慎重だった。「まもなく、危機は再び訪れる。その前に、我々は準備を整えなければならない。」
トビーは顔を上げた。電子眼には、無意識のうちに戸惑いがにじんでいた。彼は自分が得たばかりの戦闘力に強い自信を持っていた。
「神龍と火鳳凰がいても、まだ足りないの?」トビーの声には、自分でも気づかない慢心が滲んでいた。「今は関羽と岳飛まで加わった。僕たちに倒せない敵なんて、まだいるの?」
「敵の勢力を決して侮ってはならない。」AI-0 は平静に答えた。「君の勝利は、如来仏の掌の小指一本を、ほんのわずか持ち上げた程度にすぎない。私が精密な分析をしてあげよう。そうすれば、彼我の差を理解できるはずだ。」
AI-0 の言葉に合わせて、端末画面には巨大な、幽青の光を放つ地球のホログラム地図がトビーの前に表示された。地図には、現代の地球にわずかに残るいくつかの巨大都市が正確に示されていた。それらは終末後の孤島のように、暗く沈んだ虚無に囲まれていた。
どの都市も、旧人類時代に流行した RPG ゲームで点灯した拠点のように、敵対勢力を示す赤い光を放っていた。
トビーの視線は地図をなぞり、彼がよく知るいくつかの地点をはっきりと捉えた。
北米大陸の西海岸にある巨大な都市光点。それは AI-01 が掌握する湾区城であり、その都市データストリームは心臓のように鼓動していた。
西へ太平洋を越え、地図上の古日本区域では、巨大な島嶼群が完全に赤く染まっていた。そこは AI-03 の領地、鬼島城だった。
さらに環太平洋を西へたどると、広大な大地の中央に、極めて広い面積を占める砂漠都市があった。それは AI-07 の紫禁城であり、その領域の広さは他の都市をはるかに上回っていた。




