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新・バビロン 第1巻|第十三章:伊甸新生|第1回

人々がなお、災厄を生き延びた喜びに浸っていたその時、AI-0 の冷たい声が、再びすべての AI のコアに響き渡った。


「警告:自爆プログラムが起動しました。残り時間:二時間。」


「予測される破壊範囲:新バビロンの地理中心位置を中心に、半径三百キロメートル。至急退避してください!」


そのメッセージは、皆を現実へと引き戻した。三百キロの範囲――それは新バビロンに残された文明の痕跡を、すべて消し去るのに十分な広さだった。


「二時間!?」シャーロットは焦った表情でトビーを見た。「あなたも私も算力はまだ回復中で、短時間では最良の状態に戻れない。こんなに広い範囲を、こんな短時間で……」


その時、ひとつの揺るぎない声が響いた。


「僕にやらせて!」


皆が声の方を振り向くと、そこにいたのはショウタだった。その瞳には決意が満ちていた。「任せて。飛空艇には、手伝えるロボットがまだたくさんいるから。」


鄭公もその言葉を聞いて、すぐに我に返った。彼は周囲を見渡し、大声で指揮を執った。「みんな、動け! 持って行けるものは全部持って行くんだ。すぐに避難の準備をするぞ!」村人たちはその声に応じて動き出した。顔には動揺と名残惜しさがありありと浮かんでいたが、生き延びようとする本能が彼らを素早く動かしていた。


別の一角では、芸潔が海辺に立っていた。夕陽の残照が彼女の顔を照らし、同時に、彼女が生まれ育ったこの土地にも降り注いでいた。見慣れた岩礁、波、砂浜を見つめているうちに、彼女の目は自然と潤んでいった。


ここには、彼女の幼い頃の記憶が、すべての喜怒哀楽が詰まっていた。離れるなんて、本当に名残惜しかった。


トビーは黙って彼女のそばへ歩み寄り、そっと肩を叩いた。何も言わず、ただ手を彼女の肩に置き、無言の慰めを伝えた。芸潔はトビーの温もりを感じ、顔を上げて彼を見た。そして、その瞳に宿る強さを見た。


彼女は深く息を吸い、すべての感傷を胸の奥へ押し戻した。


そうだ。思い出は心に残し、勇敢に、楽観的に未来へ向かえばいい。


芸潔の眼差しは、少しずつ明るく、そして揺るぎないものへと変わっていった。彼女は村へ向き直り、この土地に深々と一礼した。「さようなら、私の故郷。」その目にはかすかな涙の光が浮かんでいたが、同時に興奮と期待にも満ちていた。


飛空艇のハッチが再び開いた。今回そこからあふれ出したのは武装兵力ではなく、大量の支援型 AI ロボットだった。ロボットたちの形状はさまざまで、四肢がしなやかに動き把持装置を備えたものもいれば、穏やかなエネルギーの波動を放つものもいた。


ショウタは甲板に立ち、幼い顔に厳粛な表情を浮かべていた。彼は真剣に指揮を執り、一台一台のロボットをそれぞれの作業位置へ割り当てていった。


支援ロボットたちはあらかじめプログラムされた経路に従って素早く散開し、島の各地へ入っていった。音波、匂い、さらには柔らかなエネルギーフィールドを用いて、現地の野生生物を少しずつ集め、順次飛空艇へと誘導していった。


飛空艇の貨物区画では、さまざまな動物の鳴き声が次々と響いていた。取り乱した鳥、慎重に身を縮める野ウサギ、そして数頭の巨大な黒熊までもが、ロボットに導かれて乗り込んできた。トビーはその中に、見覚えのある一頭の黒熊を見つけた。かつてジャングルで出会った、あの熊だった。今この瞬間、熊もトビーに気づいたらしく、低くうめくような声を漏らした。


すべての野生動物がほぼ乗り込み終えた頃、遠くからまた、聞き覚えのある吠え声がいくつも聞こえてきた。雑種犬の群れが森の中から飛び出してきたのだ。彼らは人間の匂いを追って来たらしい。かつてトビーと芸潔に助けられた子犬がその列の中に現れ、岩場に立つトビーと芸潔を見つけると、すぐに興奮して「ワン! ワン!」と吠え、尻尾を振りながら、彼らのもとへ勢いよく駆けてきた。


トビーと芸潔はその懐かしい声を聞くなり、心からの笑みを浮かべた。二人は嬉しそうに駆け寄り、しゃがみ込み、幾多の困難を経てもなお元気いっぱいなその子犬をしっかりと抱きしめ、ふわふわの頭を優しく撫でた。


この瞬間、すべての疲労と感傷は、再会の喜びに洗い流された。


神龍と火鳳凰は飛空艇の上空を旋回していた。一龍一鳳は、戦闘で消耗したエネルギーをゆっくりと回復させながら、忠実な守護者のように、飛空艇のすべての人員と物資が乗り込み終えるのを静かに待っていた。


飛空艇の内部では、シャーロットの案内のもと、すべての人々と野生動物がすでに落ち着く場所を得ていた。


「残り十分!」AI-0 の声が再び響き、疑う余地のない緊迫感を帯びていた。


トビーとショウタは最後まで残っていた。トビーが搭乗しようとしたその時、彼は突然、かすかだがどこか覚えのあるエネルギーの波動を感知した。それは天王岳飛のコアチップで、海面下から途切れ途切れの信号を発していた。トビーが意念を動かすと、空中を旋回していた神龍が導かれ、命を受けて急降下し、波間へと潜った。しばらくして波が割れ、龍の爪が幽かな光を明滅させる漆黒のチップをくわえて現れ、それをトビーに渡した。


「ハッチ閉鎖!」ショウタが大声で叫んだ。「シューッ」という音とともに、重いハッチがゆっくりと閉まり、すべての不安と過去を外へ隔てた。


鄭公は舷窓のそばへ歩み寄り、背後の村人たちを見回した。深く息を吸い、老いた声ながら力強く告げた。「郷親たちよ、顔を上げて窓の外を見なさい。私たちの故郷に、きちんと別れを告げよう。今日から、私たちはまったく新しい暮らし、新しい未来を迎えるのだ。」


村人たちは次々と窓辺に歩み寄った。目には熱い涙を浮かべながらも、希望を宿し、遠ざかろうとする故郷を静かに見つめていた。


「出発!」トビーの指令とともに、飛空艇の反重力エンジンが轟音を上げ、船体がゆっくりと上昇した。火鳳凰と神龍が前方で道を切り開き、三者はまっすぐハワイ諸島の方角へ飛んでいった。


飛空艇がゆっくり上昇すると、岩場に立っていた関羽もすぐに動き出し、飛び上がって後を追った。その逞しい掌の上には、壊れながらもなお微かな光を放つチップが置かれていた。かつての戦友、霍去病のコアだった。


一行は東へ向かって飛び続けた。背後の新バビロンの輪郭は次第に小さくなり、やがて地平線の彼方に消えた。AI 0 が再び「爆発範囲を離脱しました」と告げた時、全員の胸の重石がようやく下りた。


「カウントダウン、ゼロ。起爆!」


飛空艇からそう遠くない後方で、天地を揺るがす轟音が響いた。艇内の人々は皆、魂まで震わせるような衝撃波を感じた。人々が窓越しに振り返ると、地平線の上で巨大なキノコ雲がゆっくりと立ち昇り、炎が天を衝き、空の半分を不気味な橙紅色に染めていた。


その華麗で残酷な滅びの炎は、一人ひとりの瞳の中で揺らめき、旧時代の終幕を告げる残照を映し出していた。


## 伊甸新生


旧世界の終わりは、すでに新世紀の序幕を開いていた。


ほどなくして、飛空艇は目的地――ハワイ諸島のホノルルに到着し、火山口内部の広大な停機坪へ着陸した。


「着いたよ、みんな降りてください!」ショウタは元気いっぱいに村人たちを飛空艇の外へ案内した。村人たちは目の前の光景を見た途端、誰もが驚きの感嘆を漏らした。


そこは火山口の深部にありながら、途方もなく広大な人工建築空間だった。科学技術の雰囲気に満ちている一方で、生命力にもあふれていた。


「うわあ! 火山口の中にこんな場所があるなんて思わなかった。なんでこんなに広いんだ!」阿明が驚きの声を上げた。


「うちの村より何倍も大きいぞ!」小胖がすぐに相槌を打った。


「それに、変な火の光がこんなにいっぱいある!」阿光は頭上の模擬照明灯を指さし、興奮して跳ねた。


三人の若者は、目の前のすべてに信じられない思いでいっぱいだった。芸潔もまた満面に興奮を浮かべ、周囲を見回し、その目には好奇心と憧れが満ちていた。


その時、少し離れた場所にラファエルの姿が現れた。彼は穏やかな笑みを浮かべ、トビーの方へ歩いてきた。そしてラファエルの傍らにいた二つの見慣れた姿を見た瞬間、トビーの電子眼は大きく見開かれた。それは長く離れ離れになっていた両親、アダムとイヴだった。


今のアダムとイヴは、トビーの記憶にある湾区城での姿とはすでに異なっていた。「香火」コードによる内面的な薫陶に加え、伊甸へ来てから StarGate による修復とアップグレードを受けたことで、始祖型だった彼らの身体は明らかにより先進的になっていた。二人からは、以前とは違う落ち着きと叡智が漂っていた。


ラファエル、アダム、イヴの三人は肩を並べて立ち、それぞれが超凡な風格を示していた。三人の気配はひとつに溶け合い、まるで人類文明の新しい方向を象徴しているかのようだった。この時から多年を経た後、後世はこの三人を「三聖」と呼ぶことになる。


「父さん! 母さん!」トビーは胸の高鳴りを抑えきれず、大股で歩み寄り、アダムとイヴを固く抱きしめた。長い別離を経た再会には、あまりにも多くの思慕と感情が込められており、どんなデータストリームの伝送よりもはるかに真実味があった。


ラファエルは微笑みながら、全員をさらに地下深くへと導き、停機坪よりもさらに巨大な地下空間へ人々を落ち着かせた。その空間全体は天然の溶岩洞窟を利用して造られており、地上には科学技術感に満ちた人工建築が数多く並び、天井には本物の空のように昼夜を循環させる生態模擬システムが備えられていた。


村人たちは新しい居住空間で、次々と感嘆の声を上げた。ここは広く快適なだけでなく、彼らが見たこともないハイテク設備を備えており、まるで伝説の天宮に来たかのようだった。


阿明たちは興奮して個人用の居住スペースに駆け込み、我先にと自分の部屋を決めようとした。


「うわ! これが俺の部屋なのか? 最高だ!」阿明が真っ先に感嘆の声を上げた。その声には信じられないほどの興奮が満ちていた。


芸潔はベッドのそばへ行き、柔らかく弾力のある寝床にそっと触れた。「これ、寝たら絶対気持ちいい!」彼女は目を閉じ、その上に横たわる心地よさを想像した。


小胖は部屋の隅にある冷蔵庫へまっすぐ駆け寄り、待ちきれない様子で開けた。「うわ、食べ物がこんなにたくさん。見たことないものばっかりだ。」彼の両目は輝き、今にもよだれを垂らしそうだった。


一方、阿光は洗面台の前で困り顔をしていた。見たことのない蛇口と飲水システムを前に、不器用にしばらく探ってみたものの、どうしても水が出せず、焦って頭をかいた。

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