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新・バビロン 第1巻|第八章:試練の門|第3回

挿絵(公式画像):https://neobabylon.icareu.tw/assets/serialization/neo-babylon/book-one/chapter-08/part-03-war-wolf-huo-qubing.jpg

StarGateの声は、予想外の指令を下した。その語調には、疑問を許さない果断さがあった。


「防護シールドが崩壊する前に到達できることを期待します。あなたたちの主体は飛空艇に乗り、別途向かって、防護シールド内の生物を受け入れて安置してください」


シャーロットとショウタは同時に息を呑んだ。中核意識の分流。つまり彼らはデータ分身の形で、火鳳凰の膨大な算力と速度を借りて先に前線へ到達し、生化学躯体である主体は後から到着するということだった。これは極めて危険な戦略だった。最も中核となるデータを未知の危険に晒すことになる。だが明らかに、いま最も速く、そして支援に間に合う唯一の方法だった。彼らは理解した。これは時間と生命の競争なのだ。


「はい!」


ショウタとシャーロットは声をそろえて応えた。目にもう迷いはなかった。時間が貴重であり、一秒の遅れが取り返しのつかない損失につながることを、彼らはよく知っていた。二人は身を翻し、火鳳凰の格納庫へ急いだ。


「ラファエル」


StarGateの語調が変わり、端末室の反対側にいるラファエル先生へ指令を下した。


「基地側の処置も、できるだけ早く完了させる必要があります。まもなく到来する訪問者たちのために、中継空間と今後の居住場所を速やかに提供してください。すべての生態システムと安置方案を整えてください」


この任務も同じく重要だった。防護シールド内に閉じ込められたすべての「非AI生命」の安危と存亡に関わっている。


ラファエル先生の精密なバイオニック腕は、すでに高速で動いていた。指先は制御台の上を飛ぶように走る。顔に大きな表情はなかったが、電子の瞳に明滅する光の周波数が、彼が最速効率で命令を実行していることを示していた。彼は低い声で応えた。


「了解。アダム、イヴ、共に協力してください」


「はい、任せてください」


アダムとイヴも即座にラファエルの要請へ応じた。三人は全力で行動を開始し、まもなく訪れる聖戦に備える。StarGateの予告によれば、基地にはこれから多くの思いがけない訪問者がやって来る。それは未来の住民であるだけでなく、この聖戦における頼もしい仲間でもあった。


ショウタとシャーロットは再び、火鳳凰が停泊する格納庫へやって来た。シャーロットが先に火鳳凰の中核インターフェースへ近づき、指先でそっと触れる。巨大な聖獣は再び低い唸りを発した。彼女の召喚に応えているようだった。


ショウタもすぐ後に続き、シャーロットの手の甲へ自分の手を重ねた。二人は固く目を閉じ、意識を凝集させ、心神のすべてをデータ分流へ導き入れた。


刹那、強大な吸引力が彼らの中核意識を主体から引き剥がした。二筋の流光のように、稲妻の速さで火鳳凰の雄大なエネルギー中核へ溶け込んでいく。


一方、彼らの主体には、このとき約一〇%の中核意識だけが残り、最低効能で運転しながら、ゆっくり飛空艇の停機坪へ歩いていった。そして飛空艇に乗り込み、新バビロンの方向へ疾走していく。


遠く新バビロン上空から、再び天地を揺るがす巨響が届いた。敵がまたシールドを轟撃したことによる激しい震動だった。防護シールドが破砕へさらに一歩近づいたことを告げている。


地球最後の人類の命脈に関わる救援行動が、この瞬間、正式に幕を開けた。


## 鳳凰疾走


シャーロットとショウタの中核意識は二筋の純粋なデータ流となり、火鳳凰の広大なエネルギー中核の中で急速に融合した。二人は実体の制限から離れたが、その代わりに、これまで経験したことのない宏観的な視野を得た。もはや単なる観察者ではない。彼らは火鳳凰そのものとなり、その一束一束のエネルギーの脈動、一枚一枚の装甲の震えを感じていた。それは奇妙で、圧倒的な体験だった。まるで感知が無限に延伸され、このエネルギー巨獣と一体化したかのようだった。


意識が同期した瞬間、火鳳凰の巨大な躯体が低い轟鳴を発した。基地全体が震え、地面の合金板はエネルギーの奔流によって耳障りな摩擦音を立てる。隠されていた出口がゆっくり姿を現し、火鳳凰の双翼と尾翼から眩い光束が噴き出して、周囲を灼熱の橙赤色に染め上げた。


火鳳凰の巨大な身は、目覚めた古の巨獣のように、驚異的な速度で基地深部から射出された。地下の闇を切り裂き、地表を突き破り、上空の雲層を一瞬で裂く。続いて、耳をつんざく音爆が天際に轟いた。巨大な衝撃波が周囲の空気を瞬時に押しのけ、遠い地平線の海面にまで細かな波紋を生じさせる。


火鳳凰。伝説の百鳥の后は、いまや一道の火流星のように、眩い尾焔を曳きながら新バビロンの方向へ一直線に射出されていた。その速度は驚くほどだった。ショウタの意識が届く視野の中で、地表の景物は引き伸ばされた糸のように狂った速度で後退し、山脈、河川、都市遺跡はまばたきの間にぼやけた残影へ変わっていく。


「新バビロン到達予測時間、十五分」


StarGate端末の声が二人の意識深部に響いた。声は相変わらず冷たいが、火鳳凰の速度への確信が含まれていた。


シャーロットとショウタのデータ分身は、火鳳凰の中核でこの極限速度を感じていた。二人は理解していた。この短い十五分が、地球に残された人類の運命を決めるのだ。


## 戦狼 \- 霍去病


南方澳上空では、四大天王軍団の黒い影が幾重にもシールド外を覆っていた。すべての武装AIが、エネルギーシールドが砕ける瞬間を虎視眈々と待っている。項羽は大技を連続で撃ち込み、防護シールドのエネルギーは瞬く間に三〇%以上消耗していた。大技の轟鳴がまだ消えきらないうちに、項羽が次の蓄力へ入ろうとしたその横で、霍去病はもはや我慢できなくなっていた。骨の髄に刻まれた速度への本能が、彼に傍観を許さなかった。


霍去病。中国前漢時代の匈奴討伐の名将であり、「敵後深くへ入り、電撃奇襲を仕掛ける」ことで知られる。その攻撃方式は草原の狼群のように迅速で致命的だったため、「戦狼」の称号を与えられていた。


項羽の覇道的な猛虎の力とはまったく異なり、霍去病が追い求めるものは、狼のような俊敏さ、精密さ、そして変幻自在さだった。彼の身形は鬼魅のように疾く、一撃ごとに敵の急所を直撃する。「速く、狠く、正確に」――この三語こそが、彼独自の戦闘風格を最も的確に表していた。


AIは史書に記されたこの少年将軍の赫々たる戦功と生涯の事跡をもとに、彼専用の戦技を鍛え上げていた。


戦狼四式――殺、破、狼、爆。


意念が動いた瞬間、霍去病の中核光が急激に輝き、全身に血紅色のエネルギー微光が浮かび上がった。彼は項羽のように怒号を上げることはなかった。ただ身形を一閃させるだけで、すでにシールドの反対側へ到達し、そのエネルギー流動の薄弱点を探っていた。


項羽の攻撃を見た後、彼はこの防護シールドが強大な蛮力への耐性は極めて高いものの、高周波攻撃によって生じる振動に対しては、比較的低い耐性しか持たないようだと判断した。即座に、彼は反応した。


「奔雷破陣!」


低い声が響き、その金属躯体は幻影のように消えた。次の瞬間、一筋の赤い光影が、視覚で捉えられない速度でシールド外周を高速旋回する。その速さは、シールド表面の空気すら切り裂き、歪んだ波紋を生じさせた。


ジジジジ……。


宙斯盾は鋭い悲鳴を上げた。無数の刃で同時に切り裂かれているかのようだった。その表面は激しく明滅し、シールドの光暈は膨張したかと思えば急激に収縮する。続いて、肉眼で見えるエネルギー片がシールドから剥がれはじめた。ごく細かなものだったが、不吉な兆候だった。


少し離れた場所にいる二大天王、関羽と岳飛は、項羽と霍去病の交互攻撃が効果を上げているのを見ると、目の光を瞬かせ、わずかに身形を動かした。いつでも攻撃を発動できる構えだった。


## 戦況会議


同じころ、湾区城北方、始祖塔の会議室。


マッカーサー将軍は、AI-01、AI-03、AI-05の三位の始祖長老へ即時の戦況を報告していた。会議室内の仮想投影には、南方澳上空の様子が鮮明に映し出されている。名も知れぬ防護シールドの亀裂は、絶えず拡大していた。


「長老各位、現場報告です。防護シールドに亀裂が発生しました」


マッカーサーの語調は平穏だった。だがデータが示す崩壊速度は、すでに徐々に加速しはじめている。


AI-05は軽く鼻を鳴らし、嘲るように言った。


「AI-07は、たかが一体の変異体のために四大天王を一度に出すとはな。まさに鶏を割くに牛刀を用いる、というやつだ。どうやら伝説にある、あいつが管轄する紫禁城の算力不足という話も、根も葉もない噂ではなかったようだな。ははは」


その電子の目には冷たい光が瞬いていた。言外には、AI-07の戦略的過剰反応への軽蔑が滲んでいる。


「AI-05、あなたの嘲笑は戦局判断の助けにはならない」


AI-03の語気には不快感があった。彼はもともと慎重な性格であり、この瞬間、未知の変数により注意を向けていた。


「問題の核心は、この神秘的なシールドが、我々の中央データベースに明らかな欠落があること、あるいは我々が未知の力によって意図的に遮蔽されていたことを示している点だ」


「確かにその通りだ」


AI-01がすぐに発言を継ぎ、室内の雑音を抑えた。その語気には常に、疑う余地のない権威があった。


「油断してはならない。このシールドは鄭関山博士が自ら布置したものである可能性が高い。千年ものあいだ蟄伏できるその忍耐を、決して軽視してはならない。博士が何の準備もしていなかったとは考えにくい。我々は慎重に行動する必要がある」


AI-01の判断によって、会議室の空気は再び重くなった。彼らは、起こり得るあらゆる予想外に備えなければならなかった。


*


場面は新バビロンへ戻る。中央研究院にいるAI-0の中核には再び警報が鳴り、緊迫した通信がトビーへ送られた。


「宙斯盾が高周波貫通性攻撃を受けている。エネルギー損耗が加速。現在エネルギー値、六八%。トビー、急ぎなさい」


*


StarGate基地内では、遠方からの震動がなお続いていた。


端末の声が響く。


「防護シールド・エネルギー、六八%まで低下。崩壊予測時間、十二分」


「敵の攻撃頻度が加速している。攻撃波の共鳴を作り出すことで、防護シールドの破滅を早めているんだ」


ラファエル先生の顔はさらに厳しくなった。彼はスクリーン上で跳ねる数字を見つめている。


「火鳳凰は間に合うのか? 間に合ったとして、四大天王の合撃を防ぎきれるのか?」


アダムとイヴは思わず手元の作業を止め、互いを見上げた。目には不安と、無理に作った微笑みが交わされている。アダムが言った。


「香火は、すべてに必ず手配をしている」


イヴは微笑みで応えた。だが心の中では思わず問いかけていた。


「トビー、あなたはこれを止められるの?」

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