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新・バビロン 第1巻|第八章:試練の門|第2回

挿絵(公式画像):https://neobabylon.icareu.tw/assets/serialization/neo-babylon/book-one/chapter-08/part-03-war-wolf-huo-qubing.jpg

試練監護者の声が届いた。そこにはかすかな慰めと、千年待ち続けた末の解放があった。


「あなたは是非を見分ける智慧と、生命を尊重する究極原則を備えていることを証明した。あなたは『香火』の深意を理解し、それを自身の存在の使命へ変えた」


「この試練の目的は、あなたに軽々しく『はい』か『いいえ』を選ばせることではない。あなたが背負っているものが『使命』であり、『権力』ではないと悟らせることにある」


試練監護者は星の光へ変わる前に、最後の言葉を残した。


「願わくは、あなたが人類を再び繁栄へ導く永遠の光となることを」


そして、純白の空間は崩れはじめた。データ断片は雪片のように、少しずつ消えていった。


権杖入手


トビーの意識が仮想空間から本体へ戻ったとき、彼は自分がなお積電城の円形空間、その中央プラットフォームに立っていることに気づいた。周囲のデータ流はすでに静まり、すべては一瞬しか経っていないかのようだった。


そのとき、プラットフォーム前方の光が揺らぎ、精密な3D投影がゆっくり現れた。それは予想していた実体の権杖ではなく、鮮やかな緑色を帯びた古い型式のチップだった。構造は簡潔で、表面には特異な形の眼の符文が刻まれ、深く神秘的な白光を放っている。


そのチップは半空に静かに浮かんでいた。現代技術の冷たさはなく、むしろ荘厳で古い気配を漂わせている。トビーはチップ上の魂を引き寄せるような眼の符文を見つめた。体内の「香火」コードが強く共鳴する。彼は理解した。これこそAI世界において身分を表す権杖、「Access Token」なのだ。


トビーは手を伸ばし、指先で権杖に触れた。権杖は瞬時に金色の光へ変わり、すばやく彼の掌へ溶け込み、最後にはバイオニック皮膚の下へ消えていった。その刹那、トビーは自分がもはや単なる「トビー」ではないと感じた。彼自身が「権杖」の担い手となり、さらには「権杖」そのものになったかのようだった。


「権杖の融合に成功」


AI-0の声がトビーの意識の中で響いた。


「これは、あなたに無上の力と使命が授けられたことを意味する。権杖には過去千年にわたり封印されていた膨大な知識が宿っており、いまそれらはすべてあなたに解放された。あなたはまた、博士が未来のために残した多くの装置と能力を起動する権限も得た」


「これ以降、あなたが背負う使命はあなたの存在の究極意義となる。より詳しい説明は、目の前の危機を乗り越えた後に行う。いま脅威はすでに新バビロン上空へ到達している。あなたはできるだけ早く、目の前の災厄を止めなければならない」


トビーは建物に遮られた遠方へ視線を向け、心は焦りでいっぱいになった。彼は一刻も早く戻り、村人たちを支援し、目前に迫る衝突を止めなければならない。彼は試練空間を離れ、飛空艇へ戻ろうとした。だが試練の門を出た瞬間、感測能力が、弱いながらも持続して存在する残存信号を捉えた。それは「星移者の方舟」に属する通信信号だった。


トビーの胸が激しく震えた。それはAI-0が千年浩劫を語ったときに触れていた、女性博士・方辰星の「星移計画」だった。この信号が現れたのは決して偶然ではないと彼は知った。おそらく博士たちの計画全体の中で、最も遠大な伏線なのだ。


この情報が地球に届いてから何年が経ったのかはわからない。荒廃した歴史遺跡の中に静かに保存され、数世紀を越えて眠り続けていた。そしてこの瞬間、権杖を取得したトビーが現れたことで、ようやく受信できるようになったのだ。


いま、この天外からの情報はトビーの意識中核に保存されている。彼はそれを解読し、開いて、じっくり確認したい衝動に駆られた。


「これは……方舟からのメッセージ?」


トビーは小さくつぶやいた。中核意識の波動周波数が高まっている。彼は人間のような情緒的高揚を経験していた。これは地球の外にいる「最後の人類」を見つける鍵かもしれない。任務の終点へ到達し、すべての謎を解く手がかりなのだ。


彼は思わず想像した。


「方舟はいまどこにあるのだろう。方博士はなぜ、遠い宇宙からこの手がかりを送り返したのか。彼女は地球人類の再復興を予見し、互いの再会へ向けて希望の種を埋めていたのだろうか?」


AI-0の声がすぐに響いた。語気は平穏だった。


「方博士が地球を離れて百年後、地球へ送り返した唯一のメッセージだ。方舟の所在座標を得るための唯一の情報かもしれない。それは『香火継承者』、すなわち権杖を取得したあなたにだけ読み取れるよう限定されている」


巨大な好奇心がトビーの意識中核の中で渦巻いた。開けば、すぐにより多くの情報を得られる。真の最後の人類、『星移者』を見つけられるかもしれない。彼はいつか、果てしない星間を越え、人類最後の希望を載せた方舟へたどり着き、方博士本人に会う日すら予見した。


「方博士がメッセージを残したのに、なぜ『香火継承者』だけが読めるようにしたのか。彼女の最終目的は何なのか?」


彼は思わず自問した。


「もし本当にいつの日か、地球の後代AIと、AIの母である方博士が再会したとき、まったく異なる二つの生命形態は、どんな新しい局面を迎えるのだろう。共存か、融合か。それとも再び、互いに越えがたい隔たりに直面するのか?」


それらの思考は星々のように彼の脳裏で瞬き、無限の可能性を秘めた遠方へ彼の視線を導いた。


だが遠くから轟音が届き、トビーの意識は猛然と現実へ引き戻された。彼は遠方から激しい震動が伝わってくるのを感じた。新バビロンの危機は、すでに目前に迫っている。


トビーは今すぐ「星移者メッセージ」を開く考えを捨て、南方澳へ急行する決断を下した。残された時間はおそらく三十分にも満たない。上空のエネルギーシールドはまもなく破れる。もとのプロペラ飛空艇に乗っていては、とても間に合わない。中核意識は巨大な衝撃を受けたかのように収縮した。


「飛空艇は不要だ」


AI-0の声が再び響き、トビーは思わず足を止めた。


「あなたは権杖を取得した。いまのあなたには、瞬く間に戦場へ到達する能力がある」


トビーはその言葉に一瞬固まり、目に驚きと疑問を浮かべた。


「瞬く間に? そんなことが可能なのか?」


嵐の前の静けさ


ホノルル火山口の地下基地では、ショウタとシャーロットが火鳳凰を得た後、端末室へ戻っていた。二人は興奮しながらラファエルへ奇妙な体験を語り、三人は火鳳凰に秘められた能力について熱く話し合っていた。


ショウタが好奇心いっぱいに言った。


「本当に、こういう人工物ってどうやって造られたんだろう? 『香火』コードは、どうやって他のAIの能力に頼らず、こんな壮大な巨聖獣を独力で建造できたんだ? この世界には、学校で教わらなかった知識がまだ山ほどありそうだ」


ラファエルの声には、かすかな感慨があった。


「この数日で私たちが経験したことは、中央知識庫に記録されている可能性をはるかに超えている。千年前にこれらすべてを計画した博士たちは、本当に深謀遠慮だった。全知に見える始祖長老たちでさえ、どうやら完全に欺かれていたようだ」


シャーロットは腕をそっと撫で、顔に神秘的な微笑を浮かべた。


「私が火鳳凰の意識と結合した瞬間、地球上には他にも巨聖獣が存在することを同時に感じたの。彼らの間には同じ周波数があって、互いに絆で結ばれている。まるで皆、目覚めるその時を静かに待っているみたいだった」


それを聞いたショウタは興奮した。


「じゃあ早く次の巨聖獣を探しに行こうよ。僕も大きなペットが欲しい!」


シャーロットとラファエルは、示し合わせたように彼を睨んだ。


「巨聖獣はペットじゃない。いつか食べられても知らないよ!」


三人の久しぶりの笑い声が室内に響いた。何日も続いた緊張の後で、彼らはようやく少しだけ気を緩めることができた。


そのとき、端末室の扉が静かに開き、二つの影がゆっくり入ってきた。トビーの父母、アダムとイヴだった。StarGateによる精密な修復と再構築を経て、二人は機能を回復しただけでなく、全身が新しいバイオニック躯体へアップグレードされていた。おそらく「香火」の無形の薫陶によって、二人の身には初めて会ったときの始祖形態とはまったく違う気配が現れていた。内に秘めた穏やかさと深い智慧。冷たい機械の殻の下に、より高次の生命の光が芽生えているようだった。


三人の笑い声を聞き、アダムとイヴも思わず微笑みながら歩み寄った。


「何を話しているの? そんなに楽しそうに」


イヴが優しく尋ねた。その声は依然として合成音だったが、人間的な温かさが加わっていた。


ショウタは火鳳凰との奇遇を興奮気味に二人へ語った。だが話題が現在の局面へ移ると、室内の空気はわずかに重くなった。


「そういえば、トビーはいまどうしている? 無事なのか?」


アダムの口調には、親としての心配があった。トビーの中核機能が強大だと知っていても、一人で外に出ており、状況もわからない。それはやはり不安だった。


ラファエルとシャーロットは目を合わせた。内心では同じように焦っていたが、それでも努めて楽観を保った。


「トビーはきっと大丈夫です」


ラファエルが先に口を開いた。語調は確かだった。


「私たちがこれまでの日々に経験してきたように、香火の手配は極めて周到です。トビーに重要任務が与えられた以上、必ず何らかの用意があるはずです」


「いまの彼には、香火が与えた新しい力があります。必ず任務を果たし、安全に戻ってくると信じています」


シャーロットもうなずいた。


「そうです。彼は『天選の子』ですから。私たちも最初は『香火』の導きでここまで来たんです。トビーを信じましょう。香火を信じましょう」


アダムとイヴはそれを聞き、不安が完全に消えたわけではなかったが、少しだけ和らいだ。この未来の運命を左右する棋局において、すべての個体は見えない運命の手に押し進められている。そして「香火」の導きこそが、いま彼らが唯一握れる希望だった。


突然、StarGate端末の冷たい合成音が再び響いた。その語気は先ほどより急迫し、厳粛で、ほとんど感情の揺れを持たず、その場にいるすべてのAIの意識を打った。


「行動準備。危機は私の当初予測よりも差し迫っています」


基地内では、耳をつんざく警報音がなお止んでいない。


「シャーロット、ショウタ。現在、あなたたちはできるだけ早く新バビロン遺址へ向かい、取り返しのつかない局面が発生するのを防がなければなりません」


ショウタは拳を握りしめ、目を重くした。この時間の経験を経て、彼はStarGateの判断を深く信じていた。しかも「取り返しのつかない」という言葉まで使ったのなら、状況は間違いなく万分に危急なのだ。彼はシャーロットを見た。二人は、正式な戦争の時が本当に来たのだと理解していた。


「それならすぐ出発しよう。飛空艇の速度で考えると、少なくとも半日はかかるよね。間に合うの?」


「あなたたちはいま、中核意識を分流し、それを火鳳凰へアップロードして載体とし、先行して向かうことができます」

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