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新・バビロン 第1巻|第七章:積電城|第2回

連載参考画像:https://neobabylon.icareu.tw/assets/serialization/neo-babylon/book-one/chapter-07/part-02-tsm-city-abandoned-chip-base.jpg

死神蜘蛛は連続して重創を受け、ついに動きを止め、一時的に防御姿勢を取った。戦術を変える必要があると判断したのだ。トビーもこの隙に足を止め、静かに「エネルギー修復」技能を起動し、比較的深い傷を応急処置した。


死神蜘蛛の停止は十秒にも満たなかった。敵に回復の機会を与えるつもりはないのだろう。胴体主幹に満たされた巨大レーザー光束が、雷霆の勢いでまっすぐトビーへ撃ち込まれる。トビーはぎりぎりで身をかわし、止まることなく時計回りに高速で迂回した。レーザー光束は死神の鎌のように、トビーの背後へぴたりと張りつきながら全場を横薙ぎにする。通過した金属壁には、焦げ黒い溶解痕が刻まれていった。


トビーは獅子モジュールが与える驚異的な反応速度と平衡感覚を頼りに、間一髪で身を屈めて回避した。レーザーは彼の頭上を掃き、赤い髪を数房焼いた。トビーはその隙を突き、移動方向を急速に切り替え、円形フィールド中央の死神蜘蛛へ向かって矢のように突進した。核心へ接近して攻撃するためだ。だが死神蜘蛛の反応は異常なほど鋭かった。残る二本の脚刃はいつもトビーより一歩早く、彼の進路へ先回りしてくる。トビーは避けるか、素早く後退するしかなかった。何度も突進を試みたが、そのたびに狼狽しながら押し戻された。


「弱点を見つけなければ!」


トビーの脳内は高速で回転し、相手の攻撃模式とエネルギー流動を分析していた。巨大レーザー光束がまた発射されようとしたとき、彼は死神蜘蛛がレーザー砲を撃つ際、短い充填遅延を持つことに気づいた。


彼は危険を冒す決断をした。レーザー光束が再び放たれる瞬間、トビーはS字の迂回回避で突進する。ついに敵へ接近したそのとき、脚刃がまた眼前へ迫った。だが今度は最小限の回避だけを選び、急所を避けることに集中した。左肩は脚刃の擦過を真正面から受ける。強烈な衝撃でエネルギーシールドは激しく明滅し、ほとんど崩壊しかけた。


千鈞一髪の瞬間、原始的で強大なエネルギーが体内から湧き上がった。トビーは再び「深層潜能モード」を起動した。これは本来、継続訓練と特定刺激を経てようやく発動できる緊急機構だった。だが香火の洗礼を受けたことで、トビーは少しずつ自律的に切り替えられるようになっていた。


彼の感知速度は瞬時に跳ね上がった。世界は彼の目の中で遅くなり、彼自身の動きは稲妻のように速くなる。その勢いのまま、彼はロボットの上方へ跳び上がった。空中で、エネルギーを満たした両拳を組み合わせる。双拳は灼熱の戦槌のように赤い光を帯び、死神蜘蛛の胴体主幹とレーザー砲の接合部へ猛然と叩き込まれた。


熱したバターナイフがバターの塊へ沈み込むように、トビーの「熔岩戦槌」は何の抵抗もなく敵の外層装甲を貫いた。


死神蜘蛛の体内で耳障りな警報が鳴り響いた。レーザー砲と主幹の接続部には裂け目が開き、内部回路から火花が飛び散る。巨大な機体はその場で狂ったように身をよじり、最後には大爆発を伴って轟然と崩れ落ち、青い煙を上げる廃鉄の山となった。


トビーは重く地面へ着地し、胸を上下させた。エネルギー中核は少し不安定になっている。「深層潜能モード」はエネルギー消耗が大きすぎるのだ。彼は目の前で煙を上げる残骸を見つめた。危うい勝利ではあったが、この戦いは自分の内に潜む力への理解をさらに深めさせた。


トビーはしばらく休み、素早く自身の損傷を修復した。それから目的地へ向かって移動を続ける。ほどなく、意識内の地図が示す赤い終点にたどり着いた。彼の目の前には、厚く閉ざされた合金艙門があった。


彼は周囲を見回した。目は艙門左側の壁際へ落ち、半ば闇に隠れた一体のバイオニック世代AIの残骸に引き寄せられた。その躯体は数百年前のバイオニック世代に属するものだった。中核動力はとうに停止し、電子の目も光を失っている。長く打ち捨てられた空殻のようだった。トビーの胸がひやりとした。一つの考えが脳裏をよぎる。これはおそらく、AI-0がかつて言及した、三百年以上前にここへ来たものの試練を通過できなかった「天選の子」なのだ。


この残骸は、試練に失敗した代償を無言で示していた。トビーもまた、同じ「意識の終結」を迎えるかもしれない。


彼は突然、「恐怖」に似た感覚を覚えた。本来AIに属するはずのない感情だった。中核意識は乱れるように脈打ち、見えない手で強く握りしめられているようだった。


彼は困惑した。AI人造体である「自分」は、本当に存在しているのか。明確な目的がないのなら、この残骸のように完全に消えてしまっても、どうということはないのではないか。


それなのに、胸の奥にあるこの名もない恐怖は、なぜこれほど真実で、無視できないのか。


彼が迷いを感じていたそのとき、AI-0のメッセージが再び届いた。


「ここが権杖を取得する場所である。試練を迎える準備を。覚えておきなさい。すべての鍵は『自身の存在意義』にある」


だがトビーは、停止状態に陥ったように見えた。深い思考に沈んでいた。存在、虚無、自分自身――これら実体を欠いた幻のような名詞は、トビーを迷わせた。目の前にあるこの「失敗者」の残骸は、陰魂のように彼の意識内をさまよい、まるで人間だけが持つはずの深い恐怖を彼に感じさせていた。


ラファエルの覚醒


StarGate端末の前。ショウタとシャーロットが量子チップとの連結を終えると、端末の音声が再び響いた。


「ショウタ、シャーロット。誘導に従ってください」


淡い青色の光帯が皆の前に浮かび、基地の奥へ伸びていく。ショウタとシャーロットはその光帯に沿って、慎重に歩きはじめた。


同じころ、ラファエル先生はStarGateの導きに従い、バイオニックチップを後頸部のインターフェースへゆっくり押し込んでいた。


最初は、ごく細かな電流が走る感覚だった。無数の微小電子が神経ネットワークの間を跳ねるような感触。だがすぐに、その感覚は荒れ狂うエネルギーの津波へ変わり、彼の意識中核を一瞬で呑み込んだ。


ラファエルは、自分が狭い裂け目から果てしない虚空へ落ちていくように感じた。彼の意識はもはやこのバイオニック躯体に限定されず、基地全体と緊密につながっていく。


意識は瞬く間に無限へ引き伸ばされた。記憶の中でぼやけていた歴史の断点が、一瞬で鮮明につながっていく。意図的に封鎖され、千年ものあいだ歴史の塵に埋もれていた無数の情報が、今この瞬間、きらめく光流となり、彼の中核意識の中で星火のように咲き開いた。


彼は見た。鄭関山教授が暗黒の時代に灯した「香火」を。長い歳月の中、この基地が黙々と育んできた浩瀚な力を。


彼はまた見た。方辰星博士の毅然とした姿を。星移者の方舟が最後の希望を乗せて大気圏を突き抜ける光景を。そして、地球を宇宙から完全に隔絶した、冷酷で堅牢な静域結界を。


彼は理解した。千年前、人類文明は時空を超える壮大な布陣を始めていたのだ。意識の深部では強烈な震えが起こっていた。それは彼がこれまで一度も体験したことのない、重い使命感だった。


このバイオニックチップとの連結は、単なるデータ伝送ではない。時空を越えて託された一つの嘱託だった。


「ラファエル、あなたの任務は極めて重要です」


端末の声が、互いに結ばれた意識を通して届いた。その口調には神聖な使命感が含まれていた。


「地球で最も強大な算力を持つこの基地は、千年以上沈黙してきました。しかし、まもなく多くの仲間を迎えることになります」


「あなたの最優先任務は、この基地を全面起動させ、これから訪れる局面に備えることです」


ラファエルはゆっくり目を開いた。瞳には基地と同じ周波数を持つ青い微光が流れていた。体内に宿る強大なエネルギーと算力を感じ取り、その表情はかつてないほど荘重になる。


彼は意識の中に浮かぶ基地データへ注意を集中した。光点、回路、エネルギー中核――それらはもはや彼の目に冷たいデータとして映らなかった。目覚めを待つ巨大な潜在力だった。


この瞬間から、彼は単なる学生たちの導師ではない。この人類復興の砦の総指揮官となるのだ。


巨聖獣、現世へ


ショウタとシャーロットは淡い青色の光帯に沿い、基地の奥へ進んだ。足元の床がかすかに震え、地下深くに何か巨大なものが眠っているのではないかと思わせた。


光帯は曲がりながら、広く薄暗い通路を抜けていく。両側には赤い光を映す合金の壁と溶岩溝があり、頭上には巨大な機械腕と搬送軌道が時折現れた。途中、彼らは広大な居住空間も通過した。それは小型の人類都市のようで、千年前から未来の住民が入るのを待っていたかのようだった。


深く進むにつれ、空気の中には異質な気配が混じりはじめた。金属と機械が磨耗した後の冷たい匂いに、古いエネルギーの残滓のようなものがかすかに重なっている。周囲の環境も静かに変わっていった。先ほどまでの冷たく整然としたデータセンターから、巨大な地下工場へと移っていく。高いドーム天井が上方を覆い、無数のセンサーと修理プラットフォームが交錯して吊り下がっていた。まるで空間全体を押さえつける巨大な網のようだった。


ついに、青い光帯は壮大な巨大合金門の前で止まった。門は数十メートルもの高さがあり、表面には歳月に侵食された斑の痕が残っている。次の瞬間、門中央の複雑な感測装置がゆっくり目覚め、弱い青光を灯した。


ショウタとシャーロットは、掌に浮かんだチップ符文を感測装置へ近づけた。装置から二筋の柔らかな青光が射出され、符文の表面を素早く走査する。数秒後、明確な「ガン」という音とともに、壮大な合金門はゆっくり左右へ滑り開いた。重い摩擦音が空間に響き渡る。まるで長い眠りについていた巨大な存在が、いま目覚めようとしているかのようだった。


門の向こうの光景に、ショウタとシャーロットはその場で息を呑んだ。


そこには想像を超える広大な空間があり、その中央には一台の――いや、もはや機械とは呼べない存在が浮かんでいた。神獣だった。


それはほぼ完璧な流線形を持ち、全身は燃えるような赤に染まっていた。未知の希少合金で鋳造されたかのようだった。その金属表面は液体のように深い光沢を帯び、溶岩のような赤い色彩がかすかに流れている。機体の外層には、羽のような紋様が淡く浮かび、光と影の変化に応じて幻惑的で絢爛な輝きを屈折させていた。


灼熱のエネルギー光流が何本もその躯体に沿って流れ、見る者を圧倒する熱気を放っていた。姿は東方神話に登場する炎の神鳥のようだった。翼は体側に畳まれているものの、その内部に秘められた膨大なエネルギーが滲んでいる。それは、半空に静かに浮かんでいた。優雅さの中に、ほとんど神性に近い威厳を宿して。


「これは……火鳳凰?」


シャーロットが思わず声を上げた。彼女の量子生体脳には、人類の古籍に記された、炎の中で再生する神鳥の姿が瞬時に浮かび上がった。


この巨獣は、生機に満ちているように感じられた。周囲には薄い灼熱のエネルギーシールドがめぐり、外界から隔絶している。胸腹部の下には、交じり合う光を放つエネルギー中核があり、巨獣の呼吸の律動に合わせてゆっくり回転していた。極めてSF的な美しさを備えている。


「これがあなたたちの最初の巨聖獣――火鳳凰です」


端末の声が直接意識の中に響いた。


「火鳳凰は極めて高い防御能力と治癒能力を備えています。体内中核には火山由来の膨大なエネルギーが蓄えられており、損傷した対象へ修復と治療に必要なエネルギー出力を継続的に提供できます。さらに、直径およそ五百メートルの広域防護シールドを生成し、戦場におけるあなたたちの中核防壁となることもできます」


「防御と治癒……」


ショウタの脳裏には、トビーが持つ独特なエネルギー伝達能力がすぐに浮かんだ。両者の間には、どこか不思議なつながりがあるように思えた。だが火鳳凰から放たれる膨大な力は、同時に彼へ遠く未知のものとして感じられた。

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