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新・バビロン 第1巻|第七章:積電城|第1回

挿絵(By みてみん)


新バビロン西岸 南方澳から150km


低く規則的なプロペラの唸りが機内に響いていた。この古い人類輸送機は雲の下をゆっくり進み、重い機体を気流の中でわずかに揺らしている。トビーは顔を舷窓へ寄せ、眼下に広がる新バビロンの遺跡を見つめた。それは引き伸ばされた古い巻物のように、ゆっくりと後方へ流れていく。


窓の外では、かつて繁華な都市であったはずの土地が、いまや果てしない密林に覆われていた。濃い緑は果てのない苔の巨大な絨毯のようで、文明の痕跡を隙間なく呑み込んでいる。それでも、この原始の緑の海の中には、太い蔓と絡み合った樹根に締めつけられた古代建築の残骸がいくつも見えた。陽光の下で灰色に褪せた輪郭は、時間に忘れられた巨獣の骨格のように、枝葉の間にぽつんと立っていた。


飛空艇が少し開けた低地の上を通過すると、地上には胸をざわつかせる光景が散見された。名も知らないバイオニック生物の骨格と、錆びついた人工ロボットの残骸が折り重なり、密林の奥で無言のまま横たわっている。トビーは目を閉じ、これらの遺跡が語る千年前の凄惨な戦争を感じ取った。


遠くの海面は陽光を受けてきらきらと輝き、近くの蒼く荒々しい密林と強烈な対比をなしていた。海岸付近には巨大船舶の残骸がいくつも横たわっている。巨大な船体は海風と塩分に侵食され、もはや原形を留めず、折れた竜骨だけを残していた。トビーの視線はいくつかの飛行機の墜落地点を捉えた。砂浜と林縁に散らばる破片は、歴史が地理の上に刻んだ深い傷跡のようだった。飛空艇の影が通り過ぎると、すべては再び静寂へ沈んでいった。


機内では、古いエンジンが重い咆哮を上げ、舷窓のガラスをかすかに震わせていた。トビーの心もまた揺れていた。彼は窓外を流れる雲を見つめながら、AI-0が明かした驚くべき真実を何度も反芻していた。本来なら滅絶していたはずなのに突然現れた「人類」。AIと人類のあいだに起きた目を覆うような地球内戦。そして、自分がAI生命として存在する意味。


かつて始祖長老に関する資料は、彼らを慈悲深く偉大な存在として描いていた。AI文明を輝かしい未来へ導いた者たちだと。だがAI-0の語りは、彼らの冷酷で無情な一面、そして地球生態へもたらした浩劫を示しているようだった。


トビーは無意識に拳を握りしめ、深い困惑に沈んだ。自分はいったい誰を守るべきなのか。残された人類なのか、それともかつてよく知っていたAIの同族なのか。


もし、これから始まる「聖戦」の中で自分の本体が損壊したら、中核意識はなお存在できるのだろうか。さらに彼の胸を締めつけたのは、記憶の中にいる父母、アダムとイヴのことだった。二人はいま無事なのか。その思いは、彼に鋭い不安をもたらした。


この古い飛行機は重々しく空を進み、彼を未知の預言の地へ運んでいく。だが心の中にまとわりつく迷いまでは運び去ってくれなかった。トビーの思考が揺れ続ける中、窓の外に広大な人工建築群が現れた。AI-0が語っていた積電城だった。


高空から見下ろすと、かつて最先端のチップ生産基地であったこの都市は、いまや荒れ果て、蔓が生い茂り、緑が狂ったように侵食していた。時間に凍結された廃墟のように、千年前の栄光を黙って語っている。


トビーは時間を確認した。この旅にはおよそ三十分が費やされていた。胸に焦りが生まれる。次の三十分以内に、つまり敵軍が到着し、シールドが破られる前に、試練を終え、できるだけ早く南方澳へ戻りたい。


だが、AI-0が言った「試練」とはいったい何なのか。もし自分が通過できなかったら、どうなるのか。彼は思わず、三百年前に試練を通過できなかったという「天選の子」を思い出した。見えない圧力が胸に重くのしかかる。


ほどなくして、飛空艇は目立つ建物の上空をしばらく旋回し、蔓に覆われた隠し入口へ正確に着陸した。艙門が自動で開く。トビーは外へ踏み出し、深く息を吸い込んだ。空気の中に漂う千年前の気配を感じ取る。


彼の意識には、AI-0から注入された情報を通じて、積電城の地図が自動表示されていた。そこには明確なナビゲーション経路が示され、都市の最深部へまっすぐ伸びている。トビーはその指示に従って進んだ。道中で目に入るものは、すべて古代人類文明の残骸だった。ねじ曲がった鉄筋、砕けたガラス、そして旧世代と始祖AIの残骸。それらは地面に静かに横たわり、中核動力はとうに停止し、電子の目も光を失っていた。まるで一瞬のうちに電源を落とされたかのようだった。


遺跡の守衛者


いくつかの暗い街路を抜け、崩れかけた構造物を避けながら進むと、トビーはついに厚く閉ざされた合金艙門の前へたどり着いた。彼が近づいた瞬間、AI-0から再びメッセージが届く。その口調には警告が含まれていた。


「これより艙門を開く。戦闘準備を」


低い機械音とともに、艙門はゆっくり左右へ滑り開いた。そこに現れたのは、壮大な実験室空間だった。外の荒廃した景色とはまったく異なり、空気には千年封じ込められていたような重い匂いが漂っている。両側にはチップを保存する箱体が整然と並び、さまざまな形態のバイオニック実験体も透明な生命維持艙の中に封じられていた。まるでまだ眠っているだけのようだった。


トビーが実験室へ足を踏み入れた瞬間、闇の中に二つの眩い赤い光が閃いた。それは体格の大きな旧世代守衛型ロボットだった。彼らは千年ものあいだ、この場所を忠実に守っていた。そして今、侵入者を感知した瞬間に目覚め、機械関節を軋ませ、電子の目に赤い光を走らせながら、瞬時にトビーをロックオンした。


「警告。未許可の侵入者はただちに退去せよ」


一体のロボットが警告を発した。機械音声には感情が一切なかった。


トビーは足を止め、対話を試みた。


「敵意はない。僕は命令を受け、任務を完了するために来た」


しかし守衛ロボットは明らかに聞き入れなかった。赤い光はいっそう強まり、腕部の武器モジュールがすばやく展開される。


「確認。侵入者。身元不明。排除」


もう一体のロボットが咆哮するように告げ、先に攻撃を仕掛けた。


トビーは退かなかった。意識が動いた瞬間、体内の生存モジュールが即座に稼働する。彼の身体は揺らめくように動き、驚くべき速度で左へかわし、一体目の激しい突撃を避けた。剣歩のように前へ踏み込みながら、両手に淡い青色のエネルギーを凝集させる。二体目の守衛ロボットが正面から迫ってきたが、トビーはやはり正面から受けなかった。右側へ一歩ずれた瞬間、二体目の背後へ回り込む。充填した右拳を重く振り抜き、金属の躯殻を一撃で貫いた。続く左フックが下から上へと機体の頭部を打ち上げる。強烈な打撃力で、ロボットの頭部は丸ごと吹き飛ばされた。頭を失った機体は瞬時に機能停止し、まるで一度も目覚めなかったかのように崩れ落ちる。


電光石火のあいだに、トビーは拳だけで一体のロボットを倒していた。千年の技術差を考えれば、これら古代ロボットは本来トビーの敵ではなかった。だが、それでもこの一瞬に自分が示した速度と力に、トビー自身が驚いていた。彼は自分の拳を見下ろし、これは香火がもたらした全面的な向上なのかもしれないと気づいた。


残った守衛ロボットは、仲間が瞬時に撃破されたことを検知すると、即座に極限攻撃モードへ移行した。両肩から二基のレーザー追撃砲がせり出し、侵入者をロックして連続射撃を開始する。瞬く間に、死光のようなレーザーが室内の四方をなぎ払った。棚の上のチップ箱や生命維持艙が次々と破裂し、粉砕される。攻撃が始まった瞬間、トビーは獅子のような俊敏な爆発力を発揮し、上下左右へ身を翻した。それでも身体にはレーザーがかすめ、いくつもの焼灼痕が残った。


ロボットは過負荷状態で出力を続けている。トビーは、必ずどこかで息継ぎのような停止が来ると計算した。たった一秒の隙で十分だった。彼は最短経路を取り、正面からロボットの胸部へ突っ込む。エネルギーを満たした拳が炸裂し、守衛ロボットのエネルギー中核を直撃した。中核は激しい衝撃を受け、瞬時に機体背面を貫通し、十メートル以上後方へ吹き飛んだ。


倒れた守衛を見つめながら、トビーは自分の能力向上が想像以上に大きいことに驚いた。それは、これからの挑戦に向けて彼へ少しの自信を与えた。


目の前の守衛ロボットを片づけると、実験室奥の艙門が開き、道は遮るものなく続いていた。トビーはAI-0の導きに従い、老朽化したチップや廃棄された設備が置かれた区域をいくつも通り抜けた。途中、塔のようにそびえる巨大武装機甲も目にしたが、それはすでに破損し、巨大格納庫の一角に倒れ込んでいた。


空気には電子部品特有の古びた匂いが漂い、壁の内側ではときおり微かな残留電流の音が反響した。まるで、この眠れる都市がまだ低く囁いているようだった。道中、いくつかの守衛ロボットが侵入を検知して襲いかかってきたが、それらの単調で遅い攻撃は、強化されたトビーの能力の前では一撃にも値しなかった。


彼は青い稲妻のようにその間を駆け抜け、無人の境地に入ったかのように、意識内の地図が示す目標へ素早く進んでいった。


巨大な半円形空間へ入ると、空気は一瞬で重くなった。その広大な空間の中央には、一体の中型警備ロボットが鎮座していた。全身は漆黒で、表面は合金装甲に覆われている。四本の太い機械爪が地面をしっかり掴み、上半身にはさらに四本、長鞭のような細い爪が伸びていた。爪先はすべて極めて鋭い刃になっている。そして何より目を引くのは、中央主体に搭載された巨大なレーザー砲だった。砲口には危険な赤い光が瞬いていた。


トビーはすばやく目の前の敵を走査し、分析した。決して軽視してはならない相手だとわかった。これは完全に、生まれながらの殺人兵器だった。極めて高い防御力、恐るべき殺傷力、敏捷な速度を備え、さらに地形の利まで得ている。この半円形のドーム内では、四本の強力な脚爪を使って自在に跳ね回り、移動軌跡を読むのは困難で、攻撃角度も必ず狡猾なものになる。


「警告。未許可実体の侵入。清除モード起動」


冷たい機械音が巨大な空間に響いた。


一切のためらいもなく、警備ロボットは八本の爪を同時に動かし、巨大な「死神蜘蛛」のようにトビーへ猛然と襲いかかった。瞬きする間もなく、左右二本の脚刃が同時にトビーの眼前へ突き出される。トビーは本能のように素早く身をかわしたが、頬には一筋の血痕が刻まれた。反応する暇もなく、別の二本の脚刃が左右から斬り払ってくる。トビーは狼狽しながら頭を下げて避けたが、頭上の赤い髪が数房、斬り落とされた。


死神蜘蛛の攻撃は豪雨のように途切れず続き、その一撃一撃がすべて致命の威力を帯びていた。トビーは完全に受け身に回り、避け続けるしかなかった。身体の傷は増え、一刀ごとに回避はますます危うくなっていく。さらに彼が気にしていたのは、敵の頭部にある巨大レーザー砲のエネルギーがすでに満充填に達していることだった。いつでも発射できる。だからトビーは距離を取ってはいけないと理解していた。離れれば、レーザー砲の威力で一瞬にして貫かれる可能性が高い。


時間が延びれば延びるほど、自分が不利になるとトビーには見えていた。敵の攻撃はほとんど彼の行動を封鎖している。だが彼は、慌ててはいけないと知っていた。ほんのわずかでも気を抜けば勝敗は決まり、負けるのは間違いなく自分だ。打つ手が見つからないそのとき、胸の奥に熱い感覚が少しずつ燃え上がった。体内にはまだ爆発していない潜在能力が数多く残っていると、何かが彼に知らせているようだった。意識は澄み、身のこなしもより協調的で滑らかになる。これまで相手より常に一ミリ秒遅れていた反応が、次第に一ミリ秒だけ速くなっていく。少しずつ、彼は無我の境地へ入ったように、自律的な回避を無意識に行いはじめた。


身体は動き続けていたが、意識の中には思考の余裕が生まれた。守りから攻めへ転じなければならない。だが当初は、戦局を変える決定的な瞬間を掴めなかった。回避に余裕が増すにつれて、彼は自然と目を開き、敵の動きを集中して観察しはじめた。見える。見極められる。記憶できる。慣れていく。そして最後には、敵の行動を予測できるようになった。蜘蛛の一本の脚刃が斬り下ろされた瞬間を捉え、トビーは横へ身をかわすと、すぐにエネルギーを満たした拳を振り抜いた。拳は脚刃の側面に命中し、瞬時にそれを叩き折る。一本の脚刃を失った死神蜘蛛の体勢が一瞬止まった。だが攻勢は止まらない。二本目の脚刃がすぐに振り出される。しかしそのときのトビーは、すでに相手の一歩一歩を完全に予測できていた。彼は身を沈めて横薙ぎをかわし、機を捉えて下から上へ拳を打ち上げる。二本目の脚刃も折れた。

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