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新・バビロン 第1巻|第六章:中央研究院|第1回

挿絵(By みてみん)


夜明け前、雪山隧道の奥では、松明の光がさらに弱々しくなっていた。トビーたちは早くに目を覚ました。疲れ切ってはいたが、それでも前進を続ける準備をしている。だが、トビーの状態はよくなかった。


一晩にわたる低消費電力運転で、彼のエネルギー貯蔵量は警戒線に近づいていた。動きは鈍くなり、青い微光もかなり暗くなっている。隊に有効な照明を提供することも、ほとんどできなくなっていた。


「トビー、大丈夫?」


芸潔が心配そうに尋ねた。彼女は、トビーの足取りが重くなっていることに気づいていた。


トビーは苦しそうに首を横に振り、低い声で答えた。


「エネルギー……不足……」


阿明と小胖の表情も重くなった。この長い闇の中では、彼らにトビーのエネルギーを補給する手段がない。しかも「仙人」である彼の不思議な力は、彼らにとって極めて重要だった。


そのとき、芸潔の目がぱっと明るくなった。彼女は小胖から昨日飲み残した酒壺を受け取り、トビーの前へ差し出した。


「トビー、これを飲んで! お酒はエネルギーになるって言ってたでしょ!」


トビーの量子生体脳は芸潔の提案を即座に分析し、実行可能だと判断した。効率は高くないが、今ある唯一の「燃料」だった。彼は酒壺を受け取り、頭を仰け反らせて飲み干した。


辛い液体が生化学食道を通っていく。味は見慣れないものだったが、確かに弱いエネルギー流が体内をゆっくり循環しはじめた。中核伝導点の警告信号は、ひとまず緩和される。


陽光の直射ほど速く豊富ではない。だが、基本動作を回復するには十分だった。


「ありがとう、芸潔」


トビーの音声は少し明瞭になり、動作もわずかに機敏さを取り戻した。


酒によるエネルギー補給で、トビーは前進を維持できるようになった。


彼らは闇の中をさらに数時間、苦労しながら歩いた。やがて前方にかすかな光が見えはじめる。光は小さな点から広がり、ぼんやりしたものからはっきりしたものへ変わっていった。そしてついに、巨大な洞口が目の前に現れた。


トビーたちは雪山隧道を抜け、再び陽光の温もりを感じた。トビーは一瞬も迷わず、日当たりのよい巨石を見つけると、すぐにその上で足を組み、顔を空へ向けた。


彼には陽光が必要だった。大量の陽光が。


暖かく強い日射は、実体を持つエネルギー流のように生化学皮膚を通って大量に体内へ流れ込んだ。エネルギー中核の貯蔵量が驚くべき速度で上昇していくのを、彼は感じ取った。低消費電力モードはすばやく解除され、全身のデータ流は再び全速で稼働しはじめる。


赤い髪は陽光の下でまばゆく輝き、すべての光を吸収しているかのようだった。彼の体内に潜む波動も、この瞬間さらに活発になり、陽光のエネルギーと一体化していく。


芸潔や阿明たちも隧道口の陰でしばらく休み、食べ物と水を補給した。彼らは陽光の下でまるで生まれ変わったようなトビーを見つめ、目に畏敬の色を浮かべていた。


トビーがエネルギーを補っているあいだ、阿明は地図を広げ、再び方角を確認した。隧道口を出た後の地形は、以前の山地とはまったく違っていた。視界はかなり開けているが、同時に明確な目印も失われている。


再び歩き出すと、地形は複雑になっていることがわかった。林と丘陵が入り組み、方角の判断が難しい。阿明は何度も足を止め、地図と照らし合わせたが、どこか迷っているようだった。


「阿明兄ちゃん、私たち、道を間違えたの?」


芸潔が不安そうに尋ねた。


彼らが方向を見失いかけたそのとき、トビーが突然手を上げた。


「あっちだ」


阿明は半信半疑で、トビーが指した方角を見た。そこには目立った道など何もなかった。だが彼は、トビーが「仙人」であることを知っている。能力が目覚めて以来、トビーには普通とは違う感応があるようだった。


最終的に、一行はトビーの直感を信じることにした。隊は彼の導きに従って進んでいく。


トビーの目の前には、たとえ既成の道がなくても、歩くたびにあの導きの感覚が少しずつ明瞭になっていった。彼はその感覚を頼りに即座に方角を修正し、小隊が軌道から外れないようにした。


何事もなく一日を過ごした後、彼らは比較的隠れやすい谷で夜を明かすことにした。トビーは回復したエネルギーを使って再び警戒モードに入り、皆の安全を確保した。


その夜、彼は夜梟の鳴き声を聞かなかった。代わりに聞こえてきたのは、遠くで名も知らない動物が低く唸る声と、風が木の葉を揺らすざわめきだった。


翌朝、最初の陽光が大地へ降り注ぐと、皆は最後の一日の旅を始めた。大きな問題がなければ、地図の方角から大まかに見積もって、昼前には目的地に着けるはずだった。


果たして、正午に近づいたころ、彼らが密生した竹林を抜けると、視界が突然開けた。巨大な、灰白色の石材で築かれた建築群が現れる。その建築様式は、ベイシティの高度技術とは完全に異なり、南方澳の質素な漁村ともまるで違っていた。


そこには荘厳で厳粛な学術の気配があった。巨大な石柱が高い門廊を支え、斑になった壁には蔓が這い、歳月に侵食された痕跡があらわになっている。


トビーはすぐに、建築群の中央にひときわ雄大な主建築があることに気づいた。それは古い聖殿のようでもあり、忘れられた研究学術機関のようでもあった。正門まで来ると、門の上には大きな扁額が掛けられている。風化はしていたが、文字ははっきり読み取れた。


「中央研究院」


トビーはその数文字を見つめた。彼の量子生体脳は高速で動作していた。この名は、彼の深層記憶の中で極めて重要な位置を占めているようだった。


「着いた」


阿明が低く言った。顔には使命を果たした安堵が浮かんでいた。


芸潔は興奮して前へ駆け出し、この雄大な建物を好奇心いっぱいに眺めた。彼女の認識では、ここは伝説の仙人が住む場所なのかもしれない。


トビーは深く息を吸い、体内のあの神秘的な声へ耳を澄ませた。ここへ近づくほど、どこからともなく聞こえる呼び声は強くなっている。


こここそ、三百年前の「天選の子」が最後に入った場所なのかもしれない。そして香火の謎を解く鍵でもある。彼は歩き出し、皆を連れて中央研究院の大門へ向かった。


近づいてみると、大門は大きく開かれていた。一見、何の障害もないように見える。だが阿明たちが入ろうとした瞬間、見えない壁にぶつかったかのように押し返された。彼らは無形の力に阻まれ、それ以上一歩も前へ進めなかった。


「いてっ!」


小胖は鼻をさすりながら、前方を不思議そうに見た。


「どうなってるんだ?」


阿明も手を伸ばし、見えない抵抗を感じ取った。


「目に見えない力が塞いでいる!」


芸潔は好奇心から指を伸ばしてつついてみた。まるで透明な壁をつついているようだった。透明な空気の中に、かすかに歪んだ微光が揺らぎ、高度技術による障壁の輪郭を浮かび上がらせていた。


トビーは最前方へ出ると、その無形の障壁にそっと手を当てた。指先が触れた瞬間、灼熱のエネルギー波が掌から湧き出し、障壁の表面に一筋の波紋を生んだ。


波紋が幾重にも広がるにつれ、エネルギー障壁全体が水面のように四方へ開いていった。最後には、トビーの掌を中心に、ゆっくり回転する開口部が形成される。


「どうやら、入れるみたいだ」


トビーは小声で言い、ためらうことなく一歩踏み入れた。


阿明、小胖、阿光は呆然とその光景を見つめていた。芸潔は目を輝かせ、興奮しながらトビーの後ろへ続き、その奇妙な入口を通り抜けた。


残る三人も急いで慎重に後を追った。トビーから離れすぎて、入口が突然閉じてしまうのを恐れたのだ。


## 時空カプセル


中央研究院の内部へ入ると、トビーたちは時間に忘れられた空間へ足を踏み入れたようだった。機関全体が、外界から千年以上隔絶された時空カプセルの中に保存されているように見える。


ここでは空気が静止していた。埃一つない。すべてが人類文明終焉のその瞬間に保存され、時間が一瞬で凍りついたかのようだった。


廊下では、研究員たちの机の上に開いたノートが置かれたままだった。コーヒーカップの水跡は固まり、実験室の機器はまるで昨日まで動いていたかのように佇んでいる。実験台の培養皿でさえ、ただ成長を止めただけのように見えた。すべてがあの一瞬に固定され、千年以上前の決定的瞬間にあった慌ただしさと混乱を滲ませていた。


トビーは目の前の光景に深く震撼した。これは彼が見たことのない世界だった。それなのに、なぜかひどく懐かしい。


彼は、かつて授業で教師が語っていた古代人類に関するものを数多く目にした。奇妙な図柄が印刷された紙片――人類がポスターと呼んだもの。古びた紙の書籍が床に散らばり、文字を書くための鉛筆が紙のそばに転がっている。


さらに、彼が歴史データベースでしか見たことのなかったAIの最初期の形態、デスクトップコンピューターも、机の上に静かに置かれていた。分厚い金属筐体と乱れたケーブルが、埃の中で眠っている。そしてAIの目の最初の原型であるWebカメラが、虚空へ向けて空っぽの視線を投げていた。


これら原始的で不器用な古代人類の造物は、ベイシティのAIたちが持つ流線型のバイオニック躯体や、媒体を必要とせず直接意識ネットワークでやり取りする方式と、極めて強烈で皮肉な対比をなしていた。


「わあ!」


芸潔も驚いて声を上げた。彼女はボタンだらけの奇妙な機械を好奇心いっぱいに触り、すべてが新鮮で、まるで未来世界へ来たかのように感じていた。


阿明、小胖、阿光は慎重な様子だった。彼らはトビーの後ろにぴったりつき、自分たちの理解を超えたこの空間に不安を覚えていた。


トビーは足を止めなかった。ここへ来てから、体内の呼び声はいっそう落ち着きを失い、建物の最深部へ向かうよう彼を急かし続けているのを感じた。


彼は静止した実験室をいくつも通り抜け、やがて厚い床まで届くガラス扉の前へ来た。扉の向こうには、まったく異なる空間が広がっている。彼が近づくと、ガラス扉は音を立てて開いた。死んだように静まり返っていた空間は一瞬で目覚め、無数の信号灯が同時に点灯した。長い眠りから幽霊たちが再び目覚めたかのようだった。


この空間は、千年ものあいだここで静かに待っていたように見えた。「天選の子」の到来を待つために。


トビーの胸は疑問で満ちていた。さらに奥へ進むにつれ、目に映るのは無数のケーブルが絡み合う光景だった。巨大なサーバーラックが幾層にも重なり、空間には冷却管路が低く規則正しく動作する音が響いている。


明らかに、ここは巨大なサーバールームだった。機房の奥には、特に明るい薄膜スクリーンが一枚あり、トビーへ向けて瞬いているように見える。


トビーが近づくと、スクリーンの表示は瞬時に変わり、三行の文字を映し出した。


Welcome, The Elect.


ようこそ、選ばれた者よ.


歡迎,天選之子.


皆が次にどうすればよいのかわからずにいると、機房の壁のスクリーンが再び変化し、はっきりした文字が浮かび上がった。


「私と接続してください」


トビーははっと理解し、すぐに意識探索を起動して、接続可能な中央ネットワークを探した。予想どおり、彼は巨大で古い電波信号を感知した。深海の鯨歌のように、深く、悠遠だった。


トビーはためらわず、意識を広げ、毅然とそこへ接続した。


瞬間、膨大な情報が決壊した洪水のように、彼の量子生体脳へ激しく流れ込んだ。それは無数のデータ流、映像、音声、複雑なコードだった。それらは驚くべき速度で彼の中核意識の中に解読され、再構成され、拡張されていく。トビーの虹彩光点は激しく明滅し、彼の身体は見えない力に固定されたようにその場に立ち尽くした。表情は驚愕から苦痛へ、そして言葉にしがたい悟りへと変化していく。

画像:みてみん i1226372

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