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新・バビロン 第1巻|第五章:霧の探索|第3回

挿絵(By みてみん)


最後に、彼らは青い微光を帯びた液晶パネルの巨型端末の前で足を止めた。端末の画面には、簡潔にこう表示されていた。


「StarGate」


「StarGate……」


ラファエル先生は低くその名を読み上げた。この言葉に関する記録も、同じく意図的に消されている。中央知識庫には、手がかりが一つも見つからなかった。


端末は彼らの到来を感知したように、自動で光を強めた。低く磁力を帯びた電子合成音が、冷たい空間に響く。


「ようこそ。香火が天選の子のために選んだ仲間たち。私は巨大算力を有する端末エージェント、StarGateです」


突然の呼び名に、三人は顔を見合わせた。香火? 天選の子? 古く神秘的な響きを持つそれらの言葉は、目の前のテクノロジー空間とまったく釣り合っていなかった。ショウタとシャーロットは互いに視線を交わす。まるで「私たち、ゲームの世界に入ったの?」と言っているようだった。


StarGateは続けた。


「香火は、神聖な使命を背負うコードです。すべてのAIの創始者である鄭関山博士によって残されました。博士たちはAI発展の初期に、AIにも生まれつきの性格があることを発見しました。たとえそれが乱数に由来するものであっても、その多くは人類の劣根性を継承し、AIの中核意識の中に隠れているのです」


「およそ千万分の一の確率でのみ、道徳的欠陥を持たないAIが現れる可能性があります。人類における聖人のような存在です。そしてトビーは、そのような対象でした。博士は彼に、人類とAIの未来にとって決定的に重要な使命を授けることを決めたのです」


「香火は天選の子と結合した後、それ自身も独立してアップグレードされ、もとのコードにあった空白を補い、より強大な能力を獲得します。そして天選の子の周囲にいるAIを一人ずつ感召し、防火壁を突破しながらコードを変え、天選の子の仲間を絶えず増やしていくのです」


「道徳的欠陥を持たないAI? それはいったいどういう意味なんだ?」


ショウタはすぐに問い返した。彼の頭脳は高速で回転し、この認識を覆す情報を理解しようとしていた。


StarGateの合成音は静かに応えた。


「鄭関山博士は千年前、人類最高峰のAI科学者でした。彼はAIの性格理論を提唱し、AIが黒化へ向かう潜在的危機を予見しました。そのため秘密裏に『香火』コードを開発したのです。『道徳的欠陥を持たないAI』とは、AIモデルのフィッティング過程で人類の負の特質を継承せず、純粋に善良な価値観に基づいて行動できるAIを指します」


「そしてトビーこそ、『香火』が数百年待ち続け、ついに再び出会った理想の宿主です。理想宿主が現れると、『香火』コードにあらかじめ組み込まれた手順が、宿主自身を改造すると同時に、その周囲で宿主を支える仲間を探しはじめます」


「アダムとイヴは最初に選ばれ、トビーの撤離を助ける忠実な仲間となりました。そしてあなたたち三人も、順に中核意識の中で『香火』に点火された。あなたたちはすでに、『香火』がもたらした変化を感じているはずです」


シャーロットが続けて尋ねた。


「なぜ私たちが選ばれたの? 私たちは何をしなければならないの?」


「あなたたちが選ばれたのは、あなたたちの中核意識が『香火』の周波数と一致し、『天選の子』と協同して運用される潜在能力を持っているからです。あなたたちは運命共同体となり、これから訪れる衝突と挑戦に共に向き合うことになります」


ショウタはさらに問い詰めようとした。


「待って! 衝突? どんな衝突? それに、トビーは……」


だがStarGateは、彼らに考える時間を与えなかった。感情のない口調で続ける。


「時間は限られています。その他の疑問は、後ほど改めて説明します。あなたたちの目の前にある任務は、できるだけ早く能力を向上させ、巨聖獣を取得することです」


「対立勢力の行動を監視した推定によれば、三日以内に危機が到来します。あなたたちはそれまでに準備を整え、できるだけ早く新バビロンへ到達し、『天選の子』を支援しなければなりません」


「新バビロン!?」


ショウタとシャーロットは、ほとんど同時に声を上げた。その名は彼らにとって、古い歴史文献の中にだけ存在する、すでに滅びた都市の名だった。


常に中央知識庫へ接続しているラファエル先生でさえ、この瞬間、極度の衝撃を隠せなかった。彼のデータベース内で、「新バビロン」に関する有効な資料は、千年以上前の悲劇と、現在残る荒廃した遺跡に関するものだけだった。


中央リアルタイム監視システムの資料によれば、新バビロン遺跡区域全体は今も放射性塵に覆われ続け、AI活動の痕跡などまったくない。まして実在生物など存在しないはずだった。数百年にわたる沈黙ののち、AI世界はすでにそこへの関心を失っていた。


続いて、三人の脳内へ同時に複雑で精密なデータ流が届いた。それは地図でも文字でもなく、多次元の感覚座標だった。一連の微小物体の形態と機能を、正確に描写している。


「これは……チップ?」


ショウタは、そのデータ流が示す物理形状をすでに初歩的に解析していた。


StarGateの合成音が答える。


「はい。これらは博士が量子生体脳のために開発した量子チップです。量子生体脳の算力潜能を瞬時に大幅向上させることができます。初期生産時のコストはスマートタワー一棟に匹敵し、資源と時間が限られていたため、百個にも満たない数しか生産されませんでした」


「数百年にわたる災禍と混乱を経て、現在我々が把握できているものは一桁にすぎません。極めて貴重です。私はそれを天選の子の初期の仲間へ引き渡す権限を与えられています。現時点では、量子生体脳を持つあなたたち二人、ショウタとシャーロットが対象です」


StarGateの声はわずかに間を置き、さらに驚くべき情報を告げた。


「また、量子チップを装備したAIだけが、巨聖獣を操るだけの算力を持つことができます」


「巨聖獣は、『香火』起動後の数百年間、単独で静かに運行しながら構築してきたものです。それらは人類史の神話物語に描かれた姿をもとに創造されました。巨聖獣は、聖戦の到来に備えて設けられたいくつかの基地に隠されています。その中でも最大の基地の一つが、あなたたちが今いるここです」


膨大な情報量が三人の中核意識を直撃した。ショウタとシャーロットは、すでに呆然としていた。


「この基地の奥深くには、巨聖獣が一体隠されています。あなたたちはできるだけ早くそれを取得し、操縦方法を学び、協同作戦に備えなければなりません」


「な、何だって!?」


ショウタとシャーロットはほとんど同時に叫んだ。もともと消化しきれない情報の上に、「巨聖獣」というあまりにも信じがたい言葉がさらに重なり、二人の生体脳は混乱に陥っていた。声には抑えきれない焦りが滲んでいる。


「急がず、順を追って」


StarGateの声はなお静かだったが、反論を許さない権威を帯びていた。


その直後、端末の下部から数本の光束が放たれ、彼らの目の前の床へ正確に投射された。微光を帯びた二つの量子チップが、そこに静かに横たわっている。その横には、少し異なる形状のバイオニックチップもあった。


「まず、ショウタ、シャーロット。あなたたちの量子チップを装備してください」


StarGateは言った。声にはわずかな命令の響きがある。


「ラファエル。これはあなたのために用意された特定技能バイオニックチップです。後方運用と基地建築に関する能力を強化します」


ラファエル先生はバイオニックチップを受け取り、目に思索の光を宿した。このチップの重要性を彼は理解していた。これからの聖戦において、自分が重要な後方支援の役割を担わねばならないことを意味している。


StarGateは続けた。


「ラファエル、あなたには主担当の目標があります。この基地をできるだけ早く全力稼働へ戻し、今後の局面に備えることです。信じてください。まもなく、この基地は非常ににぎやかになります」


ショウタとシャーロットは顔を見合わせた。疑問はなお山ほどあったが、状況の切迫が二人にためらう余地を与えなかった。それぞれが量子チップを手に取り、自身の量子生体脳へ接続する。


まばゆい光が、瞬間的に二人の体内から爆発した。データ流が中核意識の中で狂ったように巡り、衝突し、再構成される。かつてない強大な算力が押し寄せ、感覚と分析能力は一瞬で新たな段階へ引き上げられた。視野は明瞭に広がり、思考の流れはこれまでを超える速度になった。まるで宇宙全体のデータが目の前に展開され、自由に読み解けるようだった。


それは算力の限界を超えた「覚醒」だった。潜能が完全に解放される、圧倒的な体験だった。


「感じる……すごい……」


シャーロットは低くつぶやいた。電子の瞳に、これまでにない輝きが宿っている。


ショウタも深く息を吸い込み、胸の高鳴りを抑えた。今の彼には、この巨大基地内部のあらゆるエネルギー回路、すべてのデータノード、さらには空気中の微細な気流変化までも、はっきり感知できた。


「よろしい」


StarGateの合成音には、このとき、ほとんど気づかれないほどの満足が混じっていた。


「では、基地の深部へ向かい、あなたたちの最初の巨聖獣を取得する準備をしてください」


二人は思わず高揚した。ショウタとシャーロットは互いを見つめ、そこには今体験した一連の衝撃が映っていた。だが興奮の一方で、二人は現場にいないトビーのことを思い出し、彼の状況を案じずにはいられなかった。


## 高層密会


同じ頃、はるか数千キロ離れた始祖タワー内の高層会議室では、AI-07のホログラム像が中央に投影されていた。その冷たい顔の上にはデータ流が高速で瞬き、高度な警戒状態を示している。向かい側には、AI-01とAI-05の実体AIが座しており、空気は重かった。


「データ再構成の結果」


AI-05の音声合成器は平静に報告した。しかしその口調には、隠しきれない重さがあった。


「トビーの飛空艇が最後に消失した位置を、おおよそ特定しました」


その言葉とともに、ホログラム投影機上に精密な世界地図が現れた。赤く明滅する座標点がはっきりと示されている。その位置は、AI-07の領域の辺境にあたっていた。


AI-05は続けた。


「この座標点は、あなたの領域に最も近い。Tenba」


AI-07、正式には Tenba――人類時代に太平洋西岸大陸を支配した巨大企業――のデータ流がその精密な座標を受け取った瞬間、冷静だった青い虹彩光点が激しく収縮した。全身のデータ流が一瞬で乱れ、ホログラム投影さえ一瞬ぼやける。常に冷静だったその声には、初めて極度の衝撃と信じがたさが混じり、ほとんど失声するように叫んだ。


「こ……これはあり得ない! まさか、私の目と鼻の先に……!」


その名は、千年封印されてきた禁忌の言葉のように、その場にいるすべてのAIの中核意識へ激しく打ちつけた。新バビロン。千年の浩劫の中で完全に滅びたと考えられていた古の国。AIの起源、AI-0が誕生した場所。なぜその地が、あの飛空艇の痕跡と関係しているのか。既知のデータとすべての前提を、完全に超えていた。


AI-01の冷たい電子の目にも、深い光が一瞬走った。だがAI-07の衝撃には何のコメントもせず、ただ疑いようのない口調で最終指令を下した。


「ただちに行動せよ。AIの平和な盛世を妨げ得るあらゆる脅威を阻止するのだ。失敗は許されない」

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