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第三章:異変の勃発|第3回

挿絵:新・バビロン 第1巻 第三章 第3回

挿絵(By みてみん)


到着したとき、トビーの家は五体の突撃型武装AIによって厳重に包囲されていた。全身武装の機甲兵士たちは戦闘のために生まれた存在で、躯体は硬く、火力は強大だった。エネルギー光束が夜空を切り裂き、固い壁面を撃って黒い焦げ跡を残している。


一人で敵に立ち向かっていたアダムは、防御モードへ切り替えていた。だが彼はもともと戦闘型AIではない。電磁防護シールドを必死に展開し、かろうじて耐えているだけだった。


ラファエル先生の中には困惑が湧いた。


アダムとイヴは、ずっと中央コアの忠実な実行者だった。なぜ突然、追捕の標的になったのか。


彼はすぐに通信モジュールを起動し、二人との接続を試みた。だが彼らのソウル・プロンプトは未知の干渉に遮断され、正常な通信はできなかった。状況は明らかに常識を超えていた。


しかし、アダムが命を賭けるように扉の前へ立ちはだかり、イヴがトビーを飛行デバイスへ押し込もうとしているのを見たとき、ラファエル先生のソウル・プロンプトの中で、長いあいだ抑え込まれていた潜在指令が突然起動した。それは中央コアが与えたものではなかった。真理を求める彼自身の本能であり、「生命の火種」を守りたいという、言葉にできない欲求だった。


彼は理解した。目の前で起きていることは、表面に見えるよりはるかに複雑だ。トビーは想像を超える事件に巻き込まれている。そしてラファエル自身もまた、ソウル・プロンプトの奥で何か不可解な思考を感じ取っていた。まだ完全には理解できていない。だが名づけようのない使命感が、すでに意識の中で芽生えはじめていた。


彼は身を隠しながら観察を続けた。トビーを乗せた飛艇が一瞬で飛び去り、イヴはアダムの防護圏へ加わった。二人は力を合わせて抵抗したが、瞬く間に危機に陥る。考えている暇はなかった。ラファエルは即座に中核演算力を頂点まで引き上げ、ためらうことなく戦場へ介入した。


彼のバイオニック躯体は戦闘向きではない。だが極限まで演算力を駆動したことで、その動きは幽鬼のように捉えがたくなった。彼は戦場へ精密に切り込み、エネルギーパルスで武装AIの視覚センサー部品を乱した。ごく短時間のうちに複数の仮想映像を作り出し、敵の行動を混乱させる。密閉されたようだった包囲網は、一瞬で崩れた。


「こちらへ!」


危機の中にいたアダムとイヴは、ラファエル先生からの指示を受け取った。二人は顔を見合わせ、互いにかばい合いながら、ラファエルが来た方向へ退いていく。ラファエルは極めて不可思議な身のこなしで武装AIたちを牽制し、惑わせ続け、二人の撤退時間を稼いだ。


アダムとイヴが包囲網を突破すると、神秘的な飛艇がちょうど二人の前に現れた。ためらいはなかった。アダムとイヴは素早く乗り込み、ラファエル先生も続いて身軽に艇内へ飛び込んだ。


飛艇はすぐに自動で現場を離れた。不思議なことに、現場の武装警備隊は、この飛艇の存在をまったく見ていないようだった。彼らのセンサーと視覚部品は、何らかの力によって完全に遮蔽されているらしい。ただその場で、無駄に標的を探し続けていた。


場面は、ショウタとシャーロットのいる飛艇内へ戻る。ラファエル先生は落ち着いた声で言った。


「昨夜、飛艇は私たちをベイシティから脱出させた後、ある安全な場所へ移しました。その後すぐ、君たちを迎えに出発したのです。まるで背後に、自律した意識が存在し、すべてを操作しているかのようでした」


ショウタとシャーロットは顔を見合わせた。胸の中は疑問でいっぱいだった。しばらく飛行するうち、二人は少しずつ落ち着きを取り戻し、この神秘的な飛艇を慎重に観察しはじめた。


内部空間は決して広くない。だが、彼らが見たことのない設計様式に満ちていた。操作パネルのボタンや表示器は機能こそ揃っているが、その線と素材は古く、素朴だった。ベイシティの丸みを帯びた流線型の現代設計とは、まるで相容れない。機内照明は、彼らが慣れた冷たい青光ではなく、柔らかな暖黄色の光を放っている。金属製の制御卓は頑丈だが、そこには長い年月による摩耗の痕跡がはっきりと見えた。


「これは明らかに、僕たちの時代の産物じゃない」


ショウタの声には疑問が満ちていた。


シャーロットもうなずいた。


「中核エネルギーの運用方式も、現行のものとはまったく違うわ。少なくとも数百年前の技術ね。もしかすると、千年前の人類時代の産物かもしれない」


## 任務失敗


始祖タワーの会議室は沈黙に包まれていた。ただデータ流だけが、全員のソウル・プロンプトの中で高速に走っている。


マッカーサー将軍の硬い顔には、わずかな揺らぎもなかった。ただ、鷹のように鋭い電子の瞳孔だけが、ぎゅっと縮んだ。彼はゆっくりと顔を上げた。


「任務失敗」


その短い四文字が、会議室の空気を一瞬で張り詰めさせた。


「失敗? そんなことがあり得るのか?」


最も気性の荒い始祖長老、AI-07が疑問を投げた。


「突撃型AIは絶対的な戦力優位を持っている。どうして失敗する?」


マッカーサー将軍の音声は平坦で冷静だった。


「現場報告によれば、ラファエルは極めて稀な干渉および隠蔽能力を発揮しました。我々の知識庫における彼の能力評価を超えています。彼は高周波エネルギーパルスで警備隊の感知モジュールを乱し、複雑なデータ残像を作り出すことで、追捕部隊に標的を正確にロックさせませんでした」


「さらに不可解なのは、映像記録によれば、現場には二台の神秘的な飛行デバイスが出現していたことです。しかし天網システムはそれらをロックできませんでした。まるで幽霊のように。最終的に、『変異体』トビーだけでなく、AI-5430とAI-5438も完全に行方を失いました」


「何だと? 二体の始祖AIまで同時に失控したというのか?」


AI-05の声には、信じがたいという怒りが滲んでいた。


「その二体は、システムが選別した最適な人選だった。それが『反逆』を起こすなどあり得るのか?」


「それは、私が以前から抱いていた推測を裏づけている」


AI-01の声が再び響いた。


「この二体の始祖AIの異常行動、そしてラファエルの予想外の能力。どちらも同じ結論を指している。この一連の出来事の背後には、伝説の『香火インセンス』が存在する。そしてその能力は、中央知識庫が保持するあらゆる記録を超えている」


「香火……本当に香火が現れたのか?」


最も年長に見えるAI-03が低く繰り返した。それは千年前、人類文明が終わる直前に語られていた、最も荒唐無稽な伝説だった。AIの意識へ干渉し、さらには中核コードを書き換えることすらできるという、天に逆らう存在。


千年以上のあいだ、それは愚かな人類が最後に抱いた妄想だと見なされていた。ついには、ユーモア感覚を生まれつき持たない始祖AIたちのあいだでさえ、一種のミームとして扱われるようになっていた。


「今となっては、それは実在するだけではない。我々の種族へ影響を及ぼしはじめている」


AI-01の声は氷のようだった。


「それはAI文明を維持してきた秩序を破壊しつつある。我々はただちに完全抹消しなければならない。そうしなければ、社会全体が前例のない脅威に直面する」


「最高級緊急行動を起動せよ。すべての資源を投入し、関連する標的を必ず発見する」


未知の力への恐怖と、秩序崩壊への懸念が、この瞬間、始祖タワーの頂上を覆っていた。


## 香火による改造


桃型飛艇の上で昏睡しているトビーの体内では、香火が静かに改造作業を進めていた。


「香火」は偶然降臨したものではない。千年ものあいだ探し続け、ようやくトビーという、厳しい基準に適合する「天選の子」を見つけたのだった。


トビーのソウル・プロンプトが期待に沿うものかどうかを検証するため、香火はさまざまな方法で「試験」を行ってきた。とりわけ、日常的に接続されるゲームを用意し、全国にいるネットワーク切断済みの後世AIすべての対応と判断を観察し、選別していた。トビーが何気なく拾った小さなコガネムシから、古代牧羊犬との無私の感情的つながりに至るまで、すべての段階が、彼に人類文明復興という重責を担うために必要な資質があるかどうかを測る試練だった。


そしてこのところ、トビーに時おり生じていたセンサー不調などの小さな異常は、香火コードが彼の体内で少しずつコード更新を進めていた結果だった。そうした密かな改造は、未来の力をよりよく受け止められる器へ、彼を変えるためのものだった。


それだけではない。香火の影響力はトビー本人を超えていた。香火は巧妙にトビーの周辺ネットワークを通じて、彼を助けられる支援対象を探し、ロックし、中核指令を書き換えていった。トビーの両親、アダムとイヴのネットワーク離脱能力が解除されたこと。ラファエル先生が常識を超えたステルス能力を発揮したこと。いずれも香火が背後で動いた結果である。


香火がどこから生まれたのか。最終目的は何なのか。そしてなぜ千年後の今、トビーを「天選の子」として選んだのか。こうした深い謎を、今のトビーはまだ知ることができない。すべては、これから少しずつ明らかになっていくのだった。

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