第十四章
サザとサキの関係は続いていた。この亡命先である島国でもだ。この世界的な戦争の時代の流れを受け世界各地で秘密結社や宗教が力を帯びてきた。彼らは戦争から逃れる方法や幸せの力について力説を持って市民に布教していた。
この島国、ラングーンという都市では住民が一致してバイルからの亡命人を受け入れていた。彼らは心優しく常に勇敢でラングーンは自由貿易としとして外交でも力強さを発揮していた。
このころサザは魔術に傾倒していた。仕事とは別でである。プロトからもサザは信頼されており逐次日常のことなどを相談していたがプロトからはいい趣味を持ったじゃないかと言われていた。サザは33歳にして魔術に心奪われていた。サザは位相について考えている。
その日は午前雨が降っていた。バイル亡命軍は休日をとっていた。
サザの宿直先に誰かがきた。
チャイムを鳴らし反応を待っている。
一体誰だ?サザは思ったが拒否することも考えてから玄関へと向かう。
「はじめまして。私団長の村上と申します。世界信仰財団の者です。ちょっとお話があってお伺いしました。」
みるからに異国の風体である。服装はしっかりしており怪しい雰囲気はない。
「どうぞ」
サザは言った。特に興味はなかったが好奇心は揺さぶられる風景が目に映ったからだ。
村上という男はトラックで宿直先を訪れていた。
その近くでは団員と思しき人物二名が指示を待っている。大きな荷物だった。
「よかった。それでは早速ですがお見せします。」
不思議だった。それは一種の魔術にも思えた。魔術を志願してまだ間もない俺になぜこういう財団がやってきたのかがまず不思議だ。まるで俺に魔術の手助けをしようとしているかのようで全く持って意外である。世界は不思議で溢れている。
団長は団員へ支持をしすぐに机が持ってこられた。
机の隣に電源、それもかなりのパワーのものを置きその後机の上に木の板が置かれた。電源に電極を繋いで準備は整ったと団長が言った。
「それではお見せします。この木の板に重曹を塗ります。」
団員が重曹を溶かした水を木の板に塗った。
そして電源を入れ電極を木の板に近づける。
すると不思議なことが起こった。
サザはその間何も言わずに黙っていた。不思議なめぐり合わせを黙って俯瞰していたのである。
電極を木の板に近づけると木の板に模様ができた。
黒い模様で雪の結晶のようにも見える。
「以上です。ありがとうございました」
団員たちが机を片付けトラックに載せる。
「一体これは?」
サザが疑問をぶつけた。
「詳しくはこの冊子をお渡ししております」
赤い冊子が渡された。とても薄い。
そして世界信仰財団は帰っていた。
暇ではないが冊子をみてみることにした。
それにしても不思議だ。何度考えてもだ。
異国の地ではそれほどいろいろな団体が力を持ってきたということだろう。この戦争の時代である。
人々は協力しあって生きている。
冊子の内容はなんとなく頭に入ってきた。
*冊子の内容*
我々の存在つまり吾輩と衆生の存在は太古より受け継がれてきた。
一般に衆生の目的はトポロジーの完成にあるが
と同時にトートロジーを深化させることにある。
トポロジーは珊瑚に見られるように空間の最大利用を意味する。
珊瑚の冊はそのまま英語でMagazineであり雑誌のことであり尚且つ銃槍のことであるがこの銃槍は装填される。と同時に一時期装填されていない時期もある。銃を持つことでトポロジー化が可能であり実際そういう国もある。持っているだけで他人を淘汰できるからだ。もちろん見えない霊界の力、宇宙の慣性が働くだろう。
_さきほどお見せした実験はまるで珊瑚のようだったでしょう?
これが位相です。霊、肉体、魂、これら3つには位相が働きます。
是非ともお風呂に入る際は重曹を入れてみてください。まるで銃槍を持つことを許された自由の国のように我々は位相の姿をみることになるでしょう。
*
サザは冊子を手元に置いておいた。
なるほど銃槍と重曹のノタリコンか。
魔術の一種である。実際どういう効果があるかわからないが頭の隅に入れておくことにした。
それにしても誰かと合うと人が恋しくなる。
俺はちょうどサキと終えたばかりだった。みなまで言うまい。これが位相でいう横縞(邪)を生むということだろう。まるで錦にように。
だとしたらやり終えた人というのは淘汰しているのだろう。完全にタブーだが。
と同時に縦縞も位相である。こちらは数が少ないが才能や霊の降霊術に代表される魔術などが淘汰になる。俺は魔術を初めて間もない。儀式を通じて縦縞も高めていくつもりだ。それは閉じる力である。
今日あった世界振興財団のことはプロトさんにも報告することにしよう。いろんな団体がいるものだなと返答があるかもしれない。




