表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/243

第十七話「対ウイルス戦」(5)

「ウイルス、レベル・スリーを突破っ」

「焦るな、クリス。大丈夫だ」

「はいっ」

「新しいワクチンは?」

「あと百二十秒で完成しますっ」

 すでに、約百人の管制官達がクリスの手足となり、新たなワクチンの作成に取りかかっている。

 クリスとシンの会話に入ってきたのは、ヘレンであった。

「クリス」

「はい?」

「最悪でも、レベル・セブンの最高機密だけは、護らなければなりません」

「はい」

「いざとなれば、メモリーの全てを、私の手で消去します。その前に、敵がレベル・セブンに接触する前に、決着をつけなさい」

「はいっ!」

 クリスが勢いよく答え、ヘレンはゆっくりと頷いた。問題はないと、言い聞かせるように。

 すでに、ハッカーの逆探知を行う余力は管制室に残っていなかった。ウイルスに占拠されていた通信機能が回復できていないため、逆探知も、外部からの応援要請も、やはり不可能なことであった。

「ウイルス、レベル・フォーを突破っ」

 少年は、息を大きく吸い込む。

「みんなっ、ぼくについてきてっ!」

 クリスの声に、五人が答える。

「了解した」

「オーライっ」

「がんばろう!」

「よろしいですわ」

「了解しました」

 孤立無援の、状況の中で。

 管制室の戦いは加速度を増していった。


 ぼくがやらなきゃ。

 クリスは心の中で呟いていた。

 ぼくが頑張らなきゃ。

 呟きは、いつしか強い想いへと変化していく。

「ウイルス、レベル・ファイブを突破っ。レベル・シックスに接触っ!」

 自分で言って、自分で復唱する。

 ウイルス、レベル・ファイブを突破。レベル・シックスに接触。

 時間がない。

 すでに、決して流れてはならない情報が流れている。

 ぼくが、とめなきゃ、だめなんだ。

 レベル・シックスの四十パーセントがハッキングされた。

 負けちゃあ、だめなんだ。

 シンさんや、ユーキさんや、ボーイさんや、ナチアさんや、教官のために。

 ぼくを助けてきてくれた、大勢のみんなのために。

 負けちゃあ、だめなんだっ!

 連邦最高機密、レベル・セブン。

 ぼくが、護ってみせる。

 でなければ。

 ぼくの来た、意味が無いっ。

 レベル・シックスの七十パーセントがハッキングされた。

 時間がない。いや、ある。

 護ってみせる。防いでみせる。

 ぼくと。

 みんなで。

 護ってみせるっ。

 レベル・シックスの八十パーセントがハッキングされた。

 しまった。

 ウイルスが、また進化した。ハッキングのスピードが上がる。

 レベル・シックスの九十パーセントがハッキングされた。

 間に合うのか?

 間に合わせてみせる。

 負けるもんか。

 レベル・シックスの九十五パーセントがハッキングされた。

 負けるもんか。

 レベル・シックスの九十七パーセントがハッキングされた。

 負けるもんか。

 レベル・シックスの九十九パーセントがハッキングされた。

「負けるもんかぁあああっ…!」

 いつしか叫んでいた。

 そして。

 レベル・シックスが、突破、された。

続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ