20「急な謝罪」①
そろそろ「ライリート商会」での買い物が終わろうとしていた。
ルナは魔剣を譲り受け、ミナも錫杖をもらった。
ヒルデは気にいった短剣を見つけると、マーゴットから「差し上げます」とプレゼントされた。
さらに、エルザが業物の長剣を気に入ったところ、そちらまでもらってしまった。
さすがにもらいすぎではないかとレダは訴えたが、どうやら最初からマーゴットはレダたちに金を使わせるつもりはなかったようだ。
最愛の息子と和解するきっかけをくれたレダたちに感謝を示したいが、俗っぽいお礼になってしまったことを申し訳ないと言われてしまう。
レダが恐縮してしまったのは言うまでもない。
ただ、善意は素直に受け取るべきだとレダも学んでいるので、心からの感謝を伝え、次回はお客として必ずくることを約束した。
そろそろ店から出ようと考えているレダだが、まだミナたちは店内に興味が月ないようだ。
「――レダ様」
「どうしましたか?」
声をかけてきたのは聖女ディアンヌだった。
「実は、あちらの女性がレダ様にお話があるそうなのですが、お心当たりはありますか?」
「……いいえ。知らない方です」
「そう、ですか」
「王都に何年も住んでいたのでもしかしたらすれ違ったとか、どこかで一度くらい言葉を交わしたことはあるかもしれませんが、ちょっと思い出せないです」
「……なるほど。困りましたね」
「どうして、ですか?」
「それがなんと言っていいか……謝罪がしたいそうです」
「謝罪? なぜ?」
レダは首を傾げた。
視線の先には、身を縮めている女性がいた。
レダよりも少し年下に思える。
マーゴットと一緒に出迎えてくれた店員のひとりだ。
「えっと」
視線が合うと、深々と頭を下げられてしまった。
正直、困る。
ミナたちが気づいていないからいいが、気づかれてしまったら何事かと思われるだろう。
どのような理由で頭を下げられたのかわからないが、勝手にそんなことをされても不快だ。
レダは立ち上がり、女性もとへ近づく。
「すみませんが、顔をあげてください。私が理由もなく誰かに頭を下げさせる人間だと家族に誤解されたくありません」
「も、申し訳」
「ですから、謝罪は結構です」
理由なく謝罪されても意味がわからない。
「レダ様、落ち着いてください。すみません、私が取り次ぐと言ってしまったので」
「いいえ、謝罪はいいんですけど、何がどうしてこの方が俺に謝罪しようということになったんですか?」
「その実は、こちらの方が――かつてレダ様がこちらの店に来た時に、叩き出した方であると」
「その節は申し訳ございませんでした」
「……あー」




