19「ミナにも?」③
ミナたちが店内を再び散策している中、レダはひとり小休憩をした。
「ストレスでハゲそう」
レダは椅子に深く座り、天を仰いでいた。
結局、ミナが手に入れた錫杖は、ウィルソンとディアンヌ、マーゴットが念入りに調べたが、魔力が籠った錫杖であること以外特別なことは見つからなかった。
念の為、魔力を流そうとしても、錫杖はレダたちではうんともすんともしない。
持ち主と認められたミナだけが使用できることだけがわかった。
ただし、使ってみて問題ないかと判断するまで使わない方がいいと判断し、後日教会の場所を借りて使用することを決めた。
ミナも錫杖を気に入ったようだうだが、みんなを困らせたいわけではないので了承してくれた。
また、マーゴットは、錫杖を無償で提供してくれた。何かのタイミングで仕入れたことは間違い無いのだが、まったく記録にないのだからという理由だった。
――とはいえ、ミナが錫杖という魔術を使う媒体を手に入れたことには変わりがない。
もともと魔術は媒体なく使うことができる。
だが、媒体があると魔術が強化される。もしくは、魔術に力が上乗せされるのだ。
聖属性の魔術の才能を持ち、結界術も使えるようになったミナにさらなる強化が与えられると考えると、両手放しに喜べない。
まだ幼いミナはゆっくりと成長していくべきだ。急な成長は、必ずとは言わないが、肉体や心を歪ませることがある。レダはそれが心配だった。
今でも、十分すぎるほど成長しているのだ。
しかも、たった一年に満たない間に、だ。
父親として愛娘のことを案ずるのは仕方がないことだった。
「もうパパったら、そんなこと言ってぇ。本当にハゲちゃうわよぉ。――あ」
背後からレダの肩を揉んだルナが、不穏な声を出す。
「ちょ、ルナさん!? まさか」
「ジョーク! 可愛い奥さんジョーク!」
「わ、笑えないんですけど」
「ふふふ、気にする方がストレスで頭皮に悪いって聞くから、パパも気にしない気にしない。あたしたち可愛い奥様がいるんだから、勝ち組じゃない。違う?」
「――違わないです」
「よし、じゃあ、気にしてばかりいない! パパったらいつもミナばかりだから嫉妬しちゃうわ。ぷんぷん!」
「ごめんね、ルナのことも大事に思っているよ」
レダは立ち上がる。
ルナが差し出してきた手を握った。
「大丈夫ぅ、ちゃーんとわかっているから」
「――いつもありがとう」
「ふふふっ、どういたしまして」




