5「マーゴットと再会」
「ようこそ、ライリート商会へ。レダ・ディクソン様、皆様、心よりお待ちしていました」
マーゴット・ライリート自らが先頭にたち、レダたちを出迎えてくれた。
彼女の背後には、商会に勤める従業員が最優に十人ずつ並んで頭を下げている。
「昨日の今日で歓迎してくださり、どうもありがとうございます」
代表してレダが感謝を述べる。
すると、険のとれた笑顔を浮かべるマーゴットは首を横に振った。
「いいえ、こちらこそすぐに皆様と息子にお会いすることができて嬉しく思います。しかも……いえ、なんでもございません」
マーゴットはウィルソンとディアンに視線を向けたが、ふたりが自分たちのことを言わない様にというジェスチャーを取ったので頷き、言葉を途中で収めた。
「如何なさいましょうか? 本日、商店全てを貸し切っておりますので、中を自由に見回っても構いません。もしくは、お部屋でおくつろぎいただき、我々が厳選した商品をお持ちいたします」
「……えっと」
レダが家族を伺う。
全員が見て回りたいと目で訴えていた。
「では、ご迷惑でなければこちらのお店の中を見てまわらせてください。おすすめがあれば、教えていただけると助かります」
「かしこまりました」
(――まさか貸し切られるとは思いもしなかった)
レダとしては、ライリート商店で買い物ができるだけでわくわくしていたのだが、まさか貸し切りとは予想できなかった。
発想が平民であるので仕方がない。
同時に、今日一日の利益がなくなるのは大丈夫なのだろうか、と勝手なことを思う。
(……アムルスにいるアイーシャが居たらお喜びだっただろうなぁ)
唯一残ったパーティーメンバーアイーシャもレダと同じく、ライリート商店にお断りされた過去がある。
それなりに経験を積んでから挑んだ彼女は悔しくて地団駄踏んでいたことを今でも覚えている。
アムルスにアイーシャが残っている状態で、レダだけ念願の商会で買い物するのは気が引けるが、いつか機会があったらアイーシャも買い物できるようあとでお願いしておこうと思う。
「皆様、バラバラで回りますか? その場合、従業員の中でも信頼できる者をおつけします。皆様ご一緒でよろしければ、最後まで責任を持って私がご案内させていただきますが?」
「では、みんな一緒でお願いします」
「かしこまりました。それでは、私が最後まで責任を持ってご案内させていただきます。さあ、どうぞこちらへ」
マーゴットに促され、レダたちは店の奥へと足を進めた。




