3「買い物リベンジ」①
エンジーとマーゴットの関係が改善に向かった翌朝。
「今日こそ武器を手に入れるわよぉ!」
「おー!」
「うむ! 完璧な武器を手に入れてみようではないか!」
朝食を食べ、身支度を整えたルナ、ミナ、ヒルデの三人は昨日の続きの買い物をするべく気合いを入れていた。
今日はお揃いのワンピースを着て、上からカーディガンを羽織っている。足元は、ルナとヒルデがサンダルで、ミナがパンプスだった。
「ふふふっ、命の恩人だもの。間違いなく伝説の武器を出してくるわね」
「……伝説の武器が簡単に出てくるかな?」
「伝説でなくとも、店で一番の武器が出てくるわよ」
「楽しみ!」
「しかも、お金は結構です、と言われるまで想像できるわねぇ」
「ど、どうしてタダになっちゃうの!?」
「そりゃ、命の恩人だからよ。命よりも高いものなんてないわぁ!」
力説するルナに、ふんふん、とミナが一生懸命話を聞いて頷いている。
控えめに言って、悪い教育だ。
「こらこら、ルナ! そういうこと言わないの!」
白いシャツをグレーのスラックスと合わせ、サスペンダーを吊るしたレダが渋い顔をしていた。足元は茶色い革靴だ。
「だってだって、命の恩人じゃなぁい!」
「そりゃそうだけど」
「わかっているわよぉ、パパ。あの時の私は別に命を助けたら恩返ししてもらえるなんて思って戦ったわけじゃないわ」
「そうだよね」
「でもね、恩返しをしてもらえるのなら全力で受けるのも礼儀よ!」
「そうかなぁ!?」
「レダくんの控えめなところには、ルナちゃんの強気なところがとても相性がよく思えますよ」
微笑を浮かべているのは、黒のスラックスに黒のシャツ、茶色いハンチング帽を被ったウィルソンと、ミナとお揃いの青いワンピースにベージュのカーディガンを羽織ったディアンヌだ。
背後には、護衛役でありルナの母であるエルザ・プロムステットがパンツに編み上げブーツ、半袖シャツを身につけて、腰に巻いたベルトに剣を下げている。
昨日はいなかった、ウィルソン、ディアンヌ、エルザが今日の買い物に同行だ。
代わりに、残念だが、シュシュリーとレイチェル、アンバー姉妹はご自宅で待機だ。
聞けば、レイチェルが勝手にレダの嫁になると言い出し、教会に足を運んでいる件でご両親がついに爆発したらしい。
レダとしては、レイチェルが苦手というわけではないが「その気」がないのでどう接すれば良いのかわからなかったので、申し訳ないが少しだけ不在にほっとしている。
「レダ先生、皆さん準備ができたようでしたら馬車に乗っていただきましょう」
「護衛の方々も準備ができていますよ」
昨日と変わらず同行してくれるのは、ルルウッドとエンジーだ。
エンジーは彼の母の店にいくのでもちろん、ルルウッドも王都に詳しいので同行はありがたい。
「あの」
「うん」
ルルウッドがレダの耳元にそっと囁く。
「ディアンヌ様は仕方がないとして、ウィルソン様は帽子だけでその、バレないのでしょうか?」
「俺もそれは気になっているんだけど、本人は普通の格好をしていてバレたことはないと言っているから」
「教皇様が……それでいいのでしょうか。いえ、護衛の方々は冒険者でいうところのA級やS級レベルの方でしょうけど」
「……そんなに!?」
「ええ、教皇様の護衛ですから」
「……ははは、じゃあ、何かあっても大丈夫ってことで」
「レダ先生、それじゃあ何か起きるみたいな言い方に聞こえるのでやめておきましょうよ」
「そう、だね。ははは」
教皇と聖女という教会のトップと一緒に普通に買い物に行くことが可能なのだろうか。
レダは少しだけ胃が痛くなった。




