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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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120「小休憩です」





 ――エンジーとマーゴットの話し合いは、教皇ウィルソンの提案により小休憩となった。


 マーゴットから謝罪があった。それ以上に、お互いに想っていることを言うことができるようになった。

 長年、エンジーを見守っていたウィルソンやルルウッドからすると、今日の話し合いの内容は大きな進展だったようだ。


 マーゴットは、事前に用意してあった部屋に通されており、彼女も感情的になった心を落ち着かせているだろう。


「――エンジー、頑張ったね」

「はい。みんながいてくれたおかげです。言いたいことを言えたと思います。それに、お母様の想っていたことをわかることができました」


 エンジーの表情はどこか明るい。

 母親を憎んでいたわけではない。家族を嫌っていたわけでもない。

 幼少期に負った心の傷の痛みと、抱いてしまった負の感情を持て余していただけなのかもしれない。

 心の傷は時間と、友のおかげで癒えたのだろう。

 何よりも彼自身の勇気によって乗り越えているのかもしれない。


 まだレダとエンジーは出会って短いが、その間に多くの出来事があった。

 今までの経験と、短くも濃厚なアムルスの日々が彼を成長させたのだろう。

 今のエンジーだからこそ、マーゴットと向き合えたと思う。


「ミナ先輩、どうもありがとうございました。ミナ先輩のおかげです! あの時、がつんと言ってくれて、本当に嬉しかったです!」

「いいんだよ、エンジー。私は先輩だもん! それに……やっぱりお母さんとちゃんとお話しできた方がいいもんね」

「――はい」


 ミナの一喝がなければ、ここまで話が進まなかった可能性は多いにあった。

 ミナ自身も母ディアンヌの存在を知り、戸惑ったことはある。

 だからこそ、エンジーのためにあの場で声を上げることができたのだ。


「レダくん、少しいですか?」

「もちろんです」


 ウィルソンが手招きし、レダは一緒に部屋から出て廊下に。


「まだ話は続くでしょうが、ひとまずお疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

「いえ、私は何かしたわけではありません。最悪の場合を想定して割って入ろうとは想っていましたが、ミナちゃんのおかげで避けることができました。むしろ、良い方向に進みましたね」


 本当にその通りだ、とレダはウィルソンに頷き同意した。


「マーゴット・ライリート男爵夫人も悪人ではありません。それは、私はもちろん、関わった誰もがわかっています。しかし、エンジーのような良くも悪くも純粋な人間には少々刺激が強すぎる――と、考えていましたが、アムルスでの日々は彼を大きく成長させましたね。わかっていたつもりですが、実際にこの目で見て本当の意味で理解できました」


 以前のエンジーであれば、マーゴットをまっすぐ見ることもできなかっただおろう。

 レダ以上に、エンジーのことを知っているウィルソンだからこその言葉だった。


「着地点はどこになるんでしょうか? エンジーのお母上は応援してくれるとおっしゃっていましたけど、実際は……」

「そうですね。親としてと、一個人としては想うことは違うでしょう。それでも、彼女は親なのです。悪いことにならないと思います。彼女の部屋には、ディアンヌを向かわせましたので、話し相手になってくれていると思います」

「ディアンヌさんが?」

「ええ、ミナのためにも頑張ると」




「…………おかしいな。エンジーのためじゃないんですね、ちょっとわからないなぁ」






 認めん、認めんぞ!

 次回は少し「母」と「母」です。


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挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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