117「ミナの想い」②
「エンジーもね、やっぱりお金は大事だから……うんとね、治療に見合ったお金ならちゃんともらってもいいんだよ? 言葉、あっているかな? それにね、お母さんなんだからもっと優しくしてあげてほしいな」
「ミナ先輩、僕は」
「わたしね、お母さんがいるの知らなかったの。だから初めて会ってもよくわからなくて、嫌なことも言っちゃった。言わなきゃよかった、って今も思っているの。だから、エンジーにもそういう気持ちになってほしくはないかな」
親と子という関係は複雑だ。
家族だからこそ、言えることがある。家族だからこそ、揉めることもある。
「あたしも覚えがあるわぁ。今も、ママになんであんなこと言っちゃったのかなぁって後悔するわよぉ」
「ルナさん」
「あのね、エンジー。わたしはエンジーにアムルスにいてほしいと思っているの。ずっとずっといてくれていいの。でもね、お母さんと仲良くしてほしい。きっと、ふたりはきちんと話していないだけだと思うの。絶対、ちゃんと話をすれば、仲良くできると思うの」
「――でも」
エンジーは眉間に皺を寄せて悩む。
そもそも、エンジーは善意で行っていた治療にお金が発生していたことに傷ついたのがきっかけだった。さらに言えば、その善意を当時の友人たちも利用していた。
後者はさておき、前者は治療への善意で払えるお金を支払っただけであるとマーゴット言った。
もちろん、そのことを言わなかったマーゴットにも問題がある。
エンジーが行った善行に水を差したくなかっただけなのかもしれない。
そのお金だって、使いたくて使ったわけではないだろう。
レダには、マーゴットは息子のためにとしていることが空回りしているように見える。
その原因は、長く離れていたからだ。
喧嘩をしてでも、なんでも、ちゃんと話をしてぶつかり合えばよかったのではないかと思う。
今、ここでの話を聞いている限りではあるが、マーゴット・ライリートに悪意はない。
本当によかれと思っているのだ。しかし、その「よかれ」がエンジーにとって思い描くことと違うから、拗れる。
「でも、僕は」
「――――でもじゃないの! ちゃんとお話しするの!」
「は、はいっ!」
立ち上がって返事をしたエンジーに、むふーとミナは頷くが、レダ、ルナはウィルソンはミナが大きな声を出したことに驚き、ウィルソンとマーゴットは、きっとエンジーが幼女の尻に敷かれていることに驚いたのだろう。
みんなが目を見開き、驚いてしまった。




